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6月10日の「時の記念日」にちなみ、毎年“時間”に関する意識調査を実施しているセイコーホールディングス。今年も全国の10代~60代の男女1200人を対象にした「セイコー時間白書2022」を発表しました。
ニューノーマルな暮らしが定着しつつあるコロナ禍生活3年目においては、定点観測で時間の感覚や使い方にポストコロナの兆しが見られたほか、青春という貴重な時間をコロナ禍で過ごす10代にフォーカスした調査結果も明らかにしています。
まず時間の意識について聞くと、「時間を意識して行動する」(87.3%)と答えた人が、2021年(85.0%)より2.3ポイント増加。
66.3%が「時間に追われている」と感じ、約半数(48.0%)が時間に追われる感覚が以前と比べ「強くなった」と答えています。
昨今、日常生活の一部が徐々にコロナ前の形に戻ってきていることが、「時間に追われる」「時間が足りない」という意識に影響しているのかもしれません。
多忙な時間感覚が戻りつつあるからか、1日24時間が「足りない」(57.2%)と答えた人が、前年(55.1%)に比べて2.1ポイント増加。
また、自分の1時間の価値(=時価)を聞いたところ、仕事や家事・勉強をするオンタイムは1時間4983円となり、前年(4253円)より730円上昇。
プライベートなオフタイムも1時間1万3639円と、前年(1万2992円)より647円上昇し、2017年の調査開始から史上最高額を更新しています。
コロナ禍で青春の思い出となるイベントが軒並み中止された10代。感動や驚き、学びなどの感情を揺さぶられる、「心を動かされる時間」について年代別に見ると、意外な傾向があらわれました。
コロナ禍以降の「心を動かされる時間」の変化を聞くと、「変わらない」(62.9%)が多いものの、2割は心を動かされる時間が「増えた」(21.3%)と回答。年代別では10代が最も多く、37.5%が心を動かされる時間が「増えた」と感じているようです。
またコロナ禍以降、心を動かされる時間が欲しいと感じる頻度を聞くと、3割が「増えた」(30.9%)と答えています。感動できるイベントに参加しづらい中、心を動かされる時間への渇望感がより高くなっているようです。多感な10代では4割以上(42.5%)が、心を動かされる時間を望んでいます。
感動への欲求に対し、心を動かす時間を能動的に「作った」のは全体の26.8%でした。年代別に見ると10代では34.5%とより能動的ですが、50代まで年代とともに消極的になっていく傾向が見てとれます。
また、七つの時間(感動する時間、何も考えない時間、ひとりになれる時間、楽しい時間、熱中できる時間、学びの時間、リアルで人と会う時間)を、100万円を元手に割り振ってもらうと、心を動かされる時間にかける金額は、10代は8.62万円と低く、60代は14.31 万円と高くなっています。感動時間を能動的に作ることができる10代は、お金をかけずに自分で心を動かす力が強いようです。
心理的なアプローチによる「時間学」を提唱する千葉大学大学院の一川誠教授は、「“青春イベントが無くなってかわいそう”と思われてきた10代ですが、コロナ禍の2年間で自分たちの身の処し方や、自ら動くことによる感動の見つけ方を学んだのかもしれません。実際、学生たちを見ていると、こちらからの指示を待つよりも、自分でやれることや課題を見つけて積極的に動く学生が増えているように感じます」と、日ごろ大学で接する10代の学生の多くが、コロナ禍を悲観的に捉えることなく、自分や時間に前向きに向き合っていることを紹介。
また、Z世代を研究する「SHIBUYA 109 lab.」の長田麻衣所長も、10代はコロナ禍でも「心を動かす時間を能動的に作った」という傾向について、「これは、彼らの環境適応力の高さが心を動かす時間を創り出す力につながっていることの表れだと思います。コロナ禍以前から“体験”を重視している世代ですが、それがコロナ禍で制限される中でも、どうしたら今まで楽しんでいたことがこの状況でも実現できるのか、思考と行動を巡らせ続けています。直接会うコミュニケーションが難しいからこそ、リアルで友達と会う時間の濃度を高めたいと考える傾向もあるのではないでしょうか」と、もともとSNSで常に人や社会とつながるのが当たり前の世代ならではの感覚である点を指摘しています。
調査時期:2022年4月28日(木)~5月1日(日)
調査手法:インターネット調査
調査対象:全国の10代~60代の男女1200人(男女各600人、各年代別に男女各100人ずつ、10代は15歳以上)
調査委託先:マクロミル
Photo by Veri Ivanova on Unsplash