「ハリー・ポッター」「ファンタスティック・ビースト」全10作で興行収入が1000億円、「ファンタスティック・ビースト」シリーズの観客動員数が1000万人超え、と国内洋画シリーズ映画興行成績でもNo.1の成績を誇る魔法ワールドシリーズ。「ファンタスティック・ビースト」は、「ハリー・ポッター」の生みの親、J.K.ローリング自ら脚本を手掛ける映画作品として注目を集めています。そして遂に、最新作となる『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』が4月8日(金)に公開となります。

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魔法界と人間界の支配を企む黒い魔法使い、グリンデルバルドに5つのトランクで立ち向かう!ダンブルドアの“秘密の作戦”とはいったい!?

公開を前に、「ハリー・ポッター」シリーズ全8作&ファンタビで小道具を手掛ける造形美術監督のピエール・ボハナさんにインタビューを実施。本作での美術的なこだわりについてお話を聞きました。

――本作にはブータンでのシーンなど、新しい要素が次々と登場しますが、ボハナさんが携わった新しいことについて教えてください。

「ファンタスティック・ビースト」というのはあらゆる新しいチャレンジをぶつけてくる作品です。僕らのとってのまず大きな仕事は「セットで時代を再現すること」なんだ。例えば、ベルリンのシーンでは、現在もう使われていない街灯を再現する必要がある。ドイツでグリンデルバルトが本拠地にしている古いお城は、当時の時代性を意識しながら再現していくのが楽しかったよ。同じくドイツでのシーンで「魔法省」が出てくるのだけどシャンデリアやフラワーアレンジメントを考えて作るのも楽しかった。

――本作で美術を手掛けるにあたって、影響を受けた芸術やアートがあれば教えてください。

本作で描いている時代のドイツにはアールデコ(※)の影響があります。それは様式だけではなくて、「ドイツでどう解釈されたか」ということが大きな要素であるんですよね。非常に不穏な時代で、ナチス、帝国主義の影というのが美術にも大きな影響を及ぼしている。そういった時代をデザインすることはすごく興味深いことでした。膨大なリサーチをして挑んだよ。

※シンプルで合理的な、幾何学図形をモチーフにした直線的で記号的な表現が特徴の装飾美術。

――「ファンタスティック・ビースト」はどんどんダークな展開になっていくと予想されていますが、ボハナさんたちが手掛ける美術の映画における役割とは?

観客が物語の感情面、核心に入っていけるように、助けることが美術のしごとだと思う。特に「ファンタスティック・ビースト」シリーズが、魔法の世界に皆さんをお連れする時に、自分たちの作るものが助けないといけないし、監督のヴィジョンに沿った素晴らしいものを作ることが必要なんだ。

――新しい杖のデザインでこだわった部分を教えてください!

今回新しいキャラクターが登場するので、そのための新しい杖をデザインするのがすごく楽しかったよ。ジェイコブが杖を渡されるシーンがあるのだけど、その杖は使い古された、(ジェイコブにとって)安全な杖なのだけど、そのデザインにもこだわった。他にも当時のデザインや社会の流行が反映されたデザインを杖にこめているので注目していただきたいです。

――ボハナさんは長年魔法ワールドに携われていますが、技術やテクノロジーの発達で、美術制作に変化はありましたか?

僕らの様な仕事にとって技術の進化はとても身近なもので、僕も新しいものを取り入れていきたいタイプなんだ。映画に関わっている中で、最新の技術に触れられることも楽しいんだ。コンピューターでデザイン出来るということは僕らにとってとても大きなことだったよ。これまでと製造の過程も変わったし、新しいやり方が増えた。具体的にいうと型取りをする時に、以前だったら金属で行うのはとてもコストと時間がかかりすぎてしまうものだった。それがすごく楽になったり、新しいチャレンジが出来る様になった。ソニックカッター(超音波加工機器)のマシンや、プラスティックを溶接出来るマシンなど、産業界で使われているマシンを映画作りにも取り入れているんだ。

――そういったものが使われているとは驚きでした。今日は素敵なお話を聞かせていただきありがとうございました!

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』

■監督:デイビッド・イェーツ(『ファンタスティック・ビースト』シリーズ、『ハリー・ポッター』シリーズ後半4作品)
■脚本:J.K.ローリング(「ハリー・ポッター」シリーズ著者)、スティーブ・クローブス 
■プロデューサー:デイビッド・ヘイマン(『ファンタスティック・ビースト』シリーズ、『ハリー・ポッター」全8作品) 
■出演︓エディ・レッドメイン、ジュード・ロウ、エズラ・ミラー、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、カラム・ターナー、ジェシカ・ウィリアムズ、キャサリン・ウォーターストン、マッツ・ミケルセン 他

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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』造形美術監督のピエール・ボハナに聞く「描かれた時代の不穏な影が美術にも影響を及ぼしている」