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どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。
最近、コロナ禍で一旦下火になったロレックス市場も持ち直し、右肩上がりになってきています。そんな中で横行していたのが「ロレックス強盗」。高額のアンティークROLEXを「見たい!」と無人の場所に呼び出して奪い取るという手口が多発しました。
『昨年から続発!「プレミア価格のロレックス」強盗に遭遇してしまった男性に話を聞いた』
https://getnews.jp/archives/2967345
2021年の今、多発しているのが「ROLEX詐欺」だというのです。さて、その手口とは?
今回は、そのROLEX詐欺に関して被害に遭った方にお話をお伺いしました。
『ROLEX』は世界的に知られたるスイスの高級腕時計。古く長きにわたり世界中に認められた一流時計ブランドです。
近年では、ロレックスをはじめとした時計自体が価値の下がりにくい資産として認められ、個人だけではなく企業投資の対象として注目されています。
ロレックス側も以前は他社のムーブメントを使用して時計を生産していましたが、自社のムーブメント生産に成功。その技術の進歩に合わせ、限定品の絶版モデルが数多く輩出されてしまったために、手に入りにくいレアモデルが市場に出回り、買い取り合戦がはじまってしまいました。
さらにこのコロナ禍、外食や旅行、娯楽などに回していた金がモノへの投資などに回されたものですから、《時計好きの投資=レアロレックス》という図式が出来あがってしまい、ニーズと供給バランスが崩れ、その価値が一気に急騰してしまったということです。
現在、中国人の富裕層が世界中のROLEXを買い漁っています。それはもちろん投資目的です。世界中の土地を買い漁り、日本の土地も水源もすべて買ってもまだまだ買い足りないというところで目をつけたのが「ROLEX」というわけです。
英国で取引されている、日本で取引されているものは美品が多いのですが、アメリカで取引されているロレックスを中国人は買わないと言います。なぜかアメリカ人の国民性として、骨とう品やヴィンテージ品を大切に扱わない傾向があるらしく、稀少でもキズなど非常に悪い状態のロレックスが多いというのです。扱いが雑なのでしょうか。真偽のほどは不明ですが、それらは安値で取引され、アメリカの中だけで流通しているといいます。
貴重な時計は青天井に価格が上がる絵画と同じです。数億円ものロレックスももちろん存在するわけですね。絵画ではなく、なぜROLEXなのかというとそれはしっかりと実用性を兼ね備えたものだから、万人が認めてくれるものだからだと推測されます。
このようにROLEX自体の価値が上昇し続けているなか、ロレックス売買やアンティークROLEX投資詐欺に遭ったという詐欺被害が増えてきたそうです。
以下、実際にどのような手口で行われているのか、被害に遭ったAさん(39歳/不動産業)にお話をお聞きしました。
丸野(以下、丸)「ロレックス詐欺に関しては、WebキッカケでフリマアプリやSNSなどが主流になっているといいます。やはり足がつきにくいからか、顔が見えない状態での詐欺が横行しているのですよね」
Aさん「手口としては、あらゆる手段で価値を高く上げている、知人の中国人ブローカーから“私であれば、高値のロレックスを安く手に入るのでいかがですか?”とアプローチがありました。要するに自分自身は「中国からの独自ルートがあるプロ」だというわけです」
Aさん「価格高騰中のデイトナやエクスプローラー、エクスプローラーⅡ、GMTマスター、サブマリーナなどの名前を挙げてきて……購入すれば“もうすでに転売先は決まっている”“すべて話ができる”と勧誘してきたわけです」
丸「それで?」
Aさん「もし転売先がポシャったとしても、『クォーク』や『なんぼや』などロレックスの価値がわかる高額買取ショップに持ち込めば、すぐに現金化できて、利益になるんだよと丸め込まれまして……。多種多様なロレックスを取り扱っていることを連想させるようなサイトなどを見せられ、現金を先払いしてしまいました」
丸「購入代金を支払ったあとですが、相手はなんと?」
Aさん「途端に“コロナの影響で仕入れ先からの郵送が遅れている”や“転売する中国人投資家が実物を確認したいからといっているので渡してある”と言い訳ばかりをして、到着期日になってもROLEX自体が届かず、メールを送っても金額を返金することはできない、の一点張り。その後はまったく連絡がつかなくなるという感じで……」
Aさんは結局、アンティークROLEXデイトナ代金130万円を詐取されました。
さらに筆者が別の被害者から聞いたその他の手口としては、本体を注文したつもりが、ロレックスの部品(文字盤やベゼル、ブレス)だけを送ってきて、「あなたが注文したのはこれでしょ?」という強引な手口もあります。それらはもちろん偽物ばかりです。
<写真:こちらは本物です>
簡単にいってしまうと、売買する代金は商品との交換をするべきだと思います。しかし相手が中国人の場合は「料金が先!」と言ってくるためにトラブルになってしまうのわけです。このような場合は、取引はやめておきましょう。
そんな価格上昇中のアイテムが届くという保証はどこにもありませんし、実際に届いたとしても、それが本物か偽物か、専門家に見てもらわないとわかりません。
その後、詐欺師は「あなただからお話したのに……」「他の人はだいぶ儲かりましたよ」とコンタクトを取ってくる可能性が高いのですが、すべて無視して構いません。
騙すつもりであなたにすり寄ってきたのですから。自分が買って売れば儲かる話をわざわざ他人のあなたになぜ持ってくるのか、ということです。
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)