中国旧正月初日の2/12に公開されるや、初日に約10.1億元(約164億円)の興行収入を記録。歴代1位の『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)を抜き、全世界オープニング週末興行収入No.1の新記録を樹立した歴史的・超ヒット作『唐人街探偵 東京MISSION』(原題:唐人街探案3)が、日本に緊急上陸! 7月9日(金)より大ヒット公開中です!

舞台は、日本・東京。中国のスター俳優、ワン・バオチャンとリウ・ハオランが演じる中国の探偵コンビに加え、日本の探偵、タイの探偵も揃い、ヤクザ絡みの密室殺人事件解決のミッションに挑みます。日本人探偵・野田昊(のだひろし)を演じる妻夫木聡さん、中国でもファンの多い長澤まさみさんをはじめ、染谷将太さん、鈴木保奈美さん、浅野忠信さん、三浦友和さんら日本を代表する豪華俳優陣も集結!さらに、ハリウッド映画にも出演するタイのアクションスター、トニー・ジャーも参戦!

関東各地で大規模ロケを敢行し、中国映画が壮大なスケールで放つ<コメディ×ミステリー×アクション×ドラマ>全ジャンルメガ盛りの超絶エンターテインメント作品となっている本作。特に冒頭から「えええええええ!!!!!」と驚いてばかりのアクションの連続なのです。「これ、どう撮影しているの?」「現場はどうだったの?」そんな疑問を、本作でスタントマンのコーディネートを行った、富田稔さんにお話を伺いました!

<妻夫木聡さん演じる野田>をイメージしたファッションをしたつもりが、<ワン・パオチャン演じるタン>っぽくなってしまったオサダ記者がお話を伺います!

「スタントマンを130人集めました」大迫力のアクションシーン、裏側を聞く!

――本作大変楽しく拝見させていただきました! まず、富田さんがどの様に本作に携わっているのか、教えていただけますでしょうか。

富田:中国のジャッキーのスタントチーム側から「日本で大量のスタントマンが必要です」という要望を受け、映画のプロデューサーから紹介を受け参加することになりました。基本的には、むこう(撮影地の中国)で、スタントマンと話しながら「この人にこういう動きをつけたい」「このキャラクターにはこのアクションで」という要望を聞いて、人数とスケジュールを管理するというのが僕のポジションでした。アクションをつける事自体は、100%中国のスタントマンがやっています。

――ジャッキーというのは、ジャッキー・チェンですよね…?!

富田:そうです。ジャッキーのスタントチームは何代にもわたって受け継がれてきていて、相当な人数がいると思います。本作に参加しているアクションの皆さんも中国の中では“エリート”にあたるのかなと。

僕がビックリしたのは、これだけの規模の作品で、(アクションに使う)ワイヤーを全部仕切っているポジションの子がまだ25歳とかで。日本では絶対に無いんですよね、こんな大規模の作品で25歳の子が仕切っているというのは。運動神経だけではなくて、とても頭の良い方が集まっているチームだと思います。

――富田さんは中国のアクション監督と、日本のスタントマンの間に入ってコーディネートをするわけですよね。

富田:はい。中国のスタントマンが言っていることを、なるべく通訳を介さずに日本のスタントマンに伝える様にしていました。感じる<NG>の部分というのは、世界共通であると思います。例えば、韓国のバイオレンス映画のアクションをやる、今回でいえばジャッキーのスタントチームのみなさんとご一緒するという上で、「どういう毛色のアクション」なのかを僕が分かっていたら、先方が求めているアクションと、日本側のアクションのズレであったり、違いを正す事が出来るので。

――実際にはどのくらいの人数のスタントマンが参加しましたか?

富田:声かけたスタントマンは200人超えていて、スケジュールの都合などで実際に参加してもらったのは130人ですね。バラバラに出ているシーンもありますが、一回は130人を一気に集めています。『サイレント・トーキョー』という作品で「50人集めて」って言われたのですが、この作品の後だったので余裕でした(笑)。

――130人が集結するのは、壮観ですよね! 冒頭の空港のシーンは一気に作品に引き込まれました。

富田:あのシーンにはスタントマンは総勢120名参加していて、1回NGが出ちゃうと大変なんです。1日頑張っても2カットですかね。一週間くらいずっと同じ動きをしていました。日本だと泊まりで100人以上が動くということはほとんどないのですが、中国は広いので泊まるのが当たり前で、そこのコストは問題視していないんですよね。

――東京を縦横無尽に移動するシーンも見どころ満載でした!

富田:秋葉原はしっかり道路を封鎖して。時間制限もあったと思うのですが、監督には、「間に合わせる様に撮りたくない」という気持ちが強くあったみたいで。監督は撮りたい絵を撮るまで諦めない方でしたね。ロケハンの時に「平日の品川駅でロケをしたい」という要望があって、絶対無理だってなったんですけど(笑)。「そこじゃないと意味がない」と。結局無くなりましたが。

カメラも面白いカメラをたくさん使っていて、とあるシーンで360度撮影している所があるのですが、日本の作品だと「1作品に1シーン」撮れたら良いと思うんです。それが何シーンも出てきたり、面白い画がたくさんありましたね。

中国のアクション超大作に参加して学んだ事

――トニー・ジャーさんは、アクションに携わっている方にとっては憧れの存在だと思うのですが、ご一緒していかがでしたか?

富田:すごく礼儀正しい方でした。ご自身が『マッハ!参』の公開後に出家をされていて。現場に出る時も必ず一礼して、挨拶をして、話す時も正座だったりして、佇まいがすごかったです。トニー・ジャーさんはアクションに特化した俳優さんの印象が強かったのですが、今回はカッコいいだけのキャラクターでは無いので、与えられた役柄に対して全力で取り組む姿勢が印象的でした。

いつものトニー・ジャーさんが得意としている芝居とは違うと思うのですが、監督が「こういう感じで」ってお手本で見せてくれるお芝居が分かりやすくて、(実際の本編の)あんな感じなんですよ。

――かっこいいですね…! 日本の探偵である妻夫木聡さんとはいかがでしたか?

富田:空港での撮影で少しお話したのですが、空港では妻夫木さんのアクションが無かったので「みんな大変だね」なんて言ってたんです。でもその後歩道橋にぶら下がるシーンで急にワイヤーとハーネスをつけさせられて「何も聞いてないんだけど!」って(笑)。

――その甲斐があってといいましょうか、とても見応えのあるシーンとなっていますね。今回参加されて、中国と日本のアクションとの違いをどの様な部分に感じましたか?

富田:韓国と日本は少し似ているなと思うのですが、中国の方は同じアジア系でも欧米に近い感覚があると思います。喜怒哀楽の感情も激しいですし、アメリカ人と同じ様に「ビックリした時の体の動きが大きい」という感じで。

本作で言えば、ジャッキーのスタントチームなので、暴力的すぎないというのも特徴だと思います。冒頭の空港のシーンもあれだけの大人数でバトルしていますけど、すごい怪我人が出た感じがしないというか。派手なアクションをしておきながら、骨折していたり流血している、ということを感じさせない。そこの作り方とバランスがすごく上手だなと思います。エンターテイメントに特化したアクションを作れる人たちだなと感じました。

安全にもすごく気を遣ってくれていて、セッティングの仕方などは僕もすごく勉強になりました。今後に活かしていきたいなと思うことがたくさんありました。

――監督をはじめ、作り手の情熱がとても伝わる素敵なお話をありがとうございました!

【動画】映画『唐人街探偵 東京MISSION』メイキング映像
https://www.youtube.com/watch?v=-FD1mLjRtBA

実際に動きをつけながら“ポップ”なアクションを学ぶ!

富田さんのお話の中で印象的だった、「暴力的すぎないアクション」「エンターテイメントに特化したアクション」というフレーズ。「シリアスなアクション」との動きの違いはどんな所に出るのか? 実際に動きをつけていただきました!

こちらはぜひ動画でご覧ください!

【動画】ポップなアクションとシリアスなアクションの違いとは? 唐人街探偵 東京MISSION』アクションコーディネーター富田稔さんに聞く!
https://www.youtube.com/watch?v=YRNftY9WkFY

富田稔さん、こわいくらい全身が赤色のオサダ記者の無茶振りに対応してくだり、本当にありがとうございました!

動画作成:オサダコウジ

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 『唐人街探偵 東京MISSION』アクションコーディネーター富田稔さんに聞く! “シリアス”なアクションと“ポップ”なアクションの違いとは?