今回はバルセロナの日本人宿:カサデバルサさんのブログ『カサバル通信:From バルセロナ 』からご寄稿いただきました。

記事の元タイトルは「【日本人宿オーナーの96日間戦争】 」です。

不法滞在者が24時間以上居たので居住権を持ってしまったスペインのホテルの話(カサバル通信:From バルセロナ )

 

オクパ=なにが文化だっ(怒)!

みなさん、オクパ という言葉を聞いたことありますか?

スペインでは空き家など人の家に勝手に住んで(不法居住者)、出ていかない人やグループ(不法占拠者)などを総称してこう呼びます。

日本では考えられませんが、夏休みのバケーションに家を出たら、オクパにその家に入られて住めないという笑い話もあります。

…イヤイヤ、一体どうやって???

彼らは鍵やドアを壊して勝手に侵入してきます。
建物丸々一棟を占拠することだってあるのです。
バルセロナの街を歩いてて、落書きのされた建物を見たことはありませんか?そこはオクパ(不法占拠)されている可能性の高い建物です。

不法に占拠した場所でアート展やスポーツ興行などをして、文化センターを担ってると主張するオクパ達もいますが・・・なにが文化だーっ!

さてさて、前置きが長くなりましたが、私の宿の一室がオクパされました

無銭宿泊で不法占拠されたのです。その日数【96日間】。人生の中でこんなに人に対して怒り、恨んだことはありませんっ。

今日からその96日間を、少しづつ記していきたいと思っています。

コロナ禍に忍び寄る魔の手

スペインに来て15年、カサデバルサという宿をバルセロナの中心地に営業してから今年で9年経ちました。

色々と浮き沈みはありましたが、何とか9年やってこれました。

しかし、2020年3月15日 緊急事態宣言がスペイン全土で発令
夜間外出が10時までに規制、レストランの営業時間も大幅縮小、観光地のクローズ、大手ホテルは無期限で休業。

私の宿も例外ではありませんでした。
コロナ禍によりお客様が激減し、売り上げは前年度の90%減
出来るだけコストを削減し、宿泊費を大幅に安くしたり、長期貸しなどにも対応し、コロナを頑張って乗り切ろうと試行錯誤の日々でした。

喉から手が出るほどお客さんに来てほしい状況でした。

そんな中に彼らが来たのです。

1月27日に某ブッキングサイトより一件の当日予約が入ります。
1組のカップルがやって来ました。

国籍はイタリアとスペインですが、肌が浅黒くTheモロッコ系

宿泊は1日のみ。クレジットカードで決済。

翌日・・・
チェックアウトの時間になっても出て行かないのは日常茶飯事。
(きっちり時間を守ってくれるのは日本のお客様だけです…ありがとうございます!)
昼すぎになっても出て行かないので部屋に行くと、「今日も泊まりたい」とのこと。

現金で延泊代を支払いました。

夕方、荷物を持ってくるといいスーツケース二つと・・・
犬2匹を連れてきたのです。

本当なら犬はNG(過去に酷い目にあってる)だけど、延泊で収入もはいるし、こんな時期にどんなお客さんであれ、泊ってくれることがありがたかったのです。

後々、あんな死闘を繰り広げる相手にこの時点で感謝してたとは情けない(涙)

その後ずるずると「今日も」といった感じで延泊が続きました。
翌日以降は2日遅れ、その後は4日遅れでの支払になりました。
それでも1週間分程度はチャンと払っていたので気にしていませんでした。

食べ物が次々に神隠しに!?

ヤツラ(=オクパのカップル)がやってきてから、宿泊者専用の共用冷蔵庫などから食べ物が次々に神隠しにあう怪奇現象が多発。

クロワッサン、コカ・コーラ・・・次から次へと食べ物がなくなります。

宿泊者専用の共用の冷蔵庫に食べ物を入れると最後、あっという間になくなっていくのです。

犯人はもちろんヤツラです。

クロワッサンを食べられた人が怒ってオクパ女に文句を言うと、
「なんで食べちゃいけないの~!?」 と言われたとのこと。

私からも 「他人のクロワッサンは食べちゃダメ!」 と再度注意(こんな注意を人にするなんて笑)すると、

「自分のものしか食べてない。もしそれが他の人のだったら、ごめんね!」

はい、あちらの国の十八番が出ました。自分肯定の言い訳、嘘。

ポカーンとする言い訳(という名の嘘)に、これからどんどん悩まされるとはこの時は微塵も思いませんでした。

状況の悪化は私の信念が招いたものだった!

ヤツラ(=オクパのカップル)が来てから、1週間が過ぎたころ何やら「相談」があると言ってきました。

その相談とは、

「今お金が手元にないが、ここへ来る前に住んでいたアパートの保証金(2か月分1300ユーロ)が2月20日に返金されるので、それまで支払いを待ってくれないか?」

とのことだった。

1泊25ユーロ×20日分=500ユーロ
を2月20日に払いたいという事である。

そしてここでヤツラの必殺技の泣き脅し(はい出ました、あちらの国のお家芸!)

「他に行くところがない」

「犬とともに道で寝れば良いのか!?」

「頼れる家族がいない。俺は独りぼっちなんだ!」

次から次へと、「そんなのこっちは知らないよ!」と言いたくなるような言い訳をずらずらと畳みかけるように話します。(相手の話を聞かずに自分の主張ばかりの会話、本当に体力を消耗します)

賃貸契約書の保証金の欄に1300ユーロと記載がるのことをこの日は確認して、2月20日まで支払いを待つことにしました。

このことを妻に話すと、「えっ!? そんなの信じたの? 噓でしょっ???」と呆れられ(怒られ)ました。

でも私にはとある信念があったのです!

犬を2匹も飼っているんだから、ヤツラも根は良いやつに違いない!
万国共通、犬を好きな人に悪い人はいないんだっ!

そう思っていたのです。
今となっては、例外がこんな近くにいたとは……。

シハライキジツ ッテ ナンデスカ?

さて、前回約束していた500ユーロの支払期日【2月20日】がやってきました。

まぁ、私の性格上その日が来たからといって取り立て屋のように強く出ません。(これが彼らから舐められた一因でもあります)

1日が過ぎ、2日が過ぎ、3日が過ぎ・・・・

何もヤツラからのアクションはなく、ただただ日にちだけ過ぎていきました。

しびれを切らし、

「お金はどうなった?」 と聞くと、

「今から銀行に行ってくるね!」と返事がきました。

しかしお金が支払われることなく、館内で顔を合わせても・・・何も言ってこない!

支払い期日から10日が過ぎても、何のアクションもない。
一体どうなってるのか聞くと、

「不動産からまだ保証金の返金が入金されていない。」 と言ったかと思えば、翌日には
「不動産から保証金が返金されたので、数日待てばもらえる。」 と言ってきます。

期日を守れないなら、その謝罪をしてから理由、この常識が守れないくせに、とにかく何かこちらが言えば、お家芸の言い訳ばかり。

ただ、こんな子供のみたいな嘘を付いているうちは、まだ良かったんですけどね。

金銭賃借契約書を交わす!

支払いの約束から10日経ち、3月となりました。

一体支払いはどうなっているのか聞いてみると、今度は

「月末に仕事の給料が入るので、それで払いたい」

と言うではありませんか!  え?保証金は?なんで?? と思っても、ヤツラの中では保証金の話しなど、まるでなかったかのようになっていました笑

1ヶ月未払いで住まわせ続けるのは、いくらなんでもリスクがあると思う反面、コロナでお客さんがいないなか後払いとはいえお金になるのなら・・・そんな考えもあり、OKを出してしまいました(猛省)

ただOKするのではなく、まず

ヤツラと金銭賃借契約書を交わすことにしました。

内容は、

支払い期日は、3月15日(2月の未払い分)と3月30日(3月の未払い分)とする。

たったこれだけの簡単な内容ですが、口約束よりもマシだと思い簡易のものを自分で作成しました。契約書の最後には、2人の身分証明書のコピーを添付。この時、表面だけをコピーし裏面を忘れたことを、後に大後悔することになるんです・・・・。

 

「オクパ=なにが文化だっ(怒)!【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.1】 」
https://casadebarcapension.blogspot.com/2021/05/96vol1.html

「コロナ禍に忍び寄る魔の手【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.2】 」
https://casadebarcapension.blogspot.com/2021/05/96vol2.html

「食べ物が次々に神隠しに!?【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.3】 」
https://casadebarcapension.blogspot.com/2021/05/96vol3.html

「状況の悪化は私の信念が招いたものだった!【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.4】 」
https://casadebarcapension.blogspot.com/2021/05/96vol4.html

「シハライキジツ ッテ ナンデスカ?【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.5】 」
https://casadebarcapension.blogspot.com/2021/05/96vol5.html

「金銭賃借契約書を交わす!【日本人宿オーナーの96日間戦争Vol.6】 」
https://casadebarcapension.blogspot.com/2021/05/96vol6.html

 
執筆: この記事はバルセロナの日本人宿:カサデバルサさんのブログ『カサバル通信:From バルセロナ 』からご寄稿いただきました。
記事の元タイトルは「【日本人宿オーナーの96日間戦争】 」です。

寄稿いただいた記事は2021年5月29日時点のものです。

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 不法滞在者が24時間以上居たので居住権を持ってしまったスペインのホテルの話【前編】(カサバル通信:From バルセロナ )