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地域に根付いた産物を独自の方法で調理し、長く伝承され続けている地域固有の料理のことを「郷土料理」といいます。
全国にはさまざまな郷土料理が存在していますが、それぞれの郷土料理について深く調べてみると、その地域の文化や昔の生活などを知ることができてなかなかおもしろいものです。
そんな郷土料理の中でも、特に強烈なインパクトがあるのが栃木県の「しもつかれ」。味や匂いにクセがあるだけでなく、使用している食材から見た目まで衝撃的。
特にあらゆる食材がグチャグチャになっている見た目はまるで駅のホームにぶちまけられた吐しゃ物のようだと例えられることもあるほどなのです。
しもつかれは栃木県内のスーパーに行けばお惣菜コーナーで入手することができます。昨年、栃木に出かけた際にお土産として購入することができたので食べてみることにしました。
しもつかれの主な材料は鮭(新巻鮭)の頭部、大豆、大根、にんじん、酒粕など。鮭の頭部をピンポイントで使う料理ってすごいな……!! なにやら鮭の頭部には悪魔を追い払う呪力があるという言い伝えがあるため、頭部だけを使用しているそう。
そして2cmほどのサイズに切った鮭の頭部と、粗くすりおろした野菜を酒粕とともに煮込むというのがしもつかれのざっくりとした調理法。なかなかシンプルです。
ゆえに鮭の生臭さや酒粕の独特の味や香りが強く出るうえ、あまり美味しそうに見えないビジュアルも相まって、好き嫌いはかなり分かれるのだとか。
袋を開けて食器に盛り付けてみると、やはり独特の香りが部屋を包み込んでいきます。見た目もやっぱり美味しそうとは間違っても言えませんね。いっそのこと目を閉じていたほうが美味しそうに感じられそうです。
ところが、その見た目と独特の香りの悪いイメージとは裏腹に、いざ食べてみると全然悪くない! むしろウマい!!
おそらく市販の商品だということが大きいのでしょうが、鮭の生臭さはほとんど感じられず、砂糖や醤油で味も調整されているため、ちょっとクセが強くて煮崩れた煮物くらいの感覚で食べられます。小鉢に移せば居酒屋のお通し気分で、いい感じにお酒のお供になってくれそう。
酒粕の味が苦手な人はさすがに厳しいかとは思いますが、そうでなければ問題なく美味しく食べられるのではないでしょうか。
しもつかれは家庭によって味や材料、製法が大きく変わる傾向があるらしく、地元民でも慣れ親しんでいない味のしもつかれを食べることはなかなか難易度が高いそう。
なのに学校給食で出たりする地域もあるうえ、「7軒の家のしもつかれを食べると病気にならない」という言い伝えもあるため、近所の人たちと分け合って食べることも多いのだとか。これはトラウマになってしまう人も多いんだろうなあ……。
というわけで、しもつかれは本来初午(はつうま・2月最初の午うまの日・2021年は2月3日)に食べる行事食なのですが、栃木県内のスーパーなどでは一年中入手することができますよ。気になった方はぜひチャレンジしてみてください!
(執筆者: ノジーマ)
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