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朝日新聞が2020年12月23日に『村上春樹氏「日本の首相、批判に批判投げ返す」 仏紙に』と題した記事を配信。フランスの日刊紙『Libération(リベラシオン)』が2020年12月21日に掲載した村上氏のインタビューについて要約した約500字の短い記事ですが、フランス人の日本特派員から「見出しは正しくない」と指摘され、タイトルを変える事態となっています。
村上春樹氏「日本の首相、批判に批判投げ返す」 仏紙に:朝日新聞デジタル https://t.co/viwhx7HSEY#新型コロナウイルス
—朝日新聞 国際報道部 (@asahi_kokusai) December 22, 2020
この記事に対して、『Libération』日本特派員のカリン・西村氏が次のようにツイート。
見出しを直して欲しい。
朝日新聞の記事は間違いもあるし、リベラシオン紙に掲載された村上さんのロングインタビューを全く反映しないと思うから、インタビューした記者として怒りを感じている。@asahi#村上春樹—Karyn NISHIMURA 🔊(@karyn_nishi) December 23, 2020
見出しを直して欲しい。
朝日新聞の記事は間違いもあるし、リベラシオン紙に掲載された村上さんのロングインタビューを全く反映しないと思うから、インタビューした記者として怒りを感じている。
インタビュー記事は「Haruki Murakami : «La littérature seule ne suffira pas»(村上春樹:「文学だけでは物足りない)」と第しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が大きかった2020年を振り返り、世界秩序やSNSでの言葉の扱われ方やコミュニケーションのあり方について懸念を示すという内容。
村上氏はインタビューで「パンデミックな状況はネットやSNSの普及、グローバル化、ポピュリズムなどと合わせて起きている現象で、コロナを別のものとして捉えるべきではない」と述べて、「日本政府と政治家は失敗した」として日本の政治の意思決定が一人のリーダーシップに依るものではないと示唆し「市民にとって、システムを理解するのは非常に難しい」と語ります。「日本の首相、批判に批判投げ返す」というくだりは、「SNSの言葉は、もはや私が書く言葉ではなく、新しい語彙は私を心配させる」と語ることを受けた「言語が貧弱になり、議論が少なくなっているのでは?」という問いに対して、「私たちはもはや議論していない。誰かが批評をすると、別の意見で返している。日本の首相でさえそう振る舞っている」と述べた箇所で、政府批判というよりもオンラインコミュニケーションが現実の世界でも行われていることに対する懸念のように読めます。
「酷いな」「フランス語が読めて間違いようがないなら悪質」といった声が上がっていましたが、朝日新聞はタイトルを『村上春樹氏「コロナ禍、一連の出来事の中に」 仏紙に』と変更。Yahoo!ニュースに配信された記事のコメント欄では村上氏への批判も寄せられており、「風評被害では?」といった声も上がっていました。
Haruki Murakami «La littérature seule ne suffira pas»(Libération)
https://www.liberation.fr/planete/2020/12/20/haruki-murakami-la-litterature-seule-ne-suffira-pas_1809243 [リンク]