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どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。
昨今、いろいろな刑務所関連の本が購入できますが、こと細かなことや詳細な話までしっかりと網羅しているものというのは数少ないと思います。刑務所体験記のほとんどが、受刑者の生活やムショメシ、受刑者の個性、生活のことについてです。
そこで《シリーズ・細かすぎる刑務所の話》では、「こと細かなムショの仕組みやしきたり」を綴っていきたいと思います。
<※写真はすべてイメージです>
■シリーズ・細かすぎる刑務所の話 記事一覧
第1回 https://getnews.jp/archives/2568172
第2回 https://getnews.jp/archives/2570149
第3回 https://getnews.jp/archives/2592497
第4回目となる今回は、懲役の中での取り調べについてです。
刑務所内で、懲罰の対象となる禁止行為が発覚したときには、まず舎房から出され、取り調べ専用房に移され、刑務官からの取り調べを受けなければなりません。この取り調べが終了すると、懲罰審査会が開かれ、度合い別の処分が下されます。
5日、7日、15日、20日、25日、30日、60日間という風に処分別で区切られる懲罰は、朝食を摂ったあとから16時までの間、刑務作業が許されずに正座や安座で時間を過ごさないといけません。
その間は生活必需品以外の私物を単独房に持ち込むことができず、自由時間を迎えても本すら読むこともできません。さらに、仮釈放に影響が出ます。
刑務官からの厳重注意で、次に何かを起こせば懲罰確定となるものです。仮釈放にごくわずかですが影響が出ます。
作業報奨金を没収されるという痛い罰則です。500円や1,000円という定額の場合とその時点で保有している全部の作業報奨金の20%~50%という割合で没収されます。
懲罰房で正座させるよりも、没収された方が効き目がある受刑者に向けて行われます。ちなみに領置金(所持金)まで没収されることというのはありません。
刑務官からの注意のみなので、これらの処分の中で一番軽いといわれる処分です。仮釈放には影響はないことが多いです。
懲役に行ってまで取り調べを受ける……そんな事態に陥ってしまう刑罰はこちらになります。
刑務所の中で提供される食事や私物などの交換、やり取りは全面禁止になっています。刑務官に発覚すると、ほぼほぼ懲罰になります。
ですから、物品を交換したり、売買、譲り渡しした場合は、定期的な捜検(保安検査)で発見されるケースが多いようです。
工場や舎房内の道具(民芸品用のノミや彫刻刀、木工用ノコギリなど)や消耗品、備品などを刑務官の許可もなく持ち出すことはできません。検身(パンツ1枚で胴回りのゴム広げて前から後ろに広げ、何も持ってないことを証明する)をかいくぐり、持ち出してしまうものは意外と多いといいます。
これは窃盗になる可能性も高いので、刑期延長や懲罰などもあり得ます。
刑務官に対し、口答えや文句を言うことは許されません。とことん失礼な態度や物言いをされてもじっと我慢するのみ。
抗弁して取り調べ専用房に移されれば、懲罰対象になる可能性は高いです。
運動の時間(休憩時間)以外に、刑務官の許可なく、受刑者同士で世間話などの会話をしたりすることはできません。
刑務作業後に生活している雑居房内や運動場以外、基本として受刑者同士の会話には許可がいります。
これに関しては、間違いなく暴行及び傷害の事件に発展します。
かなり厳しい懲罰処分が下され、さらに刑期が延びる可能性があるんですね。
ケンカなどの暴力行為を行って、相手にケガを負わせれば傷害事件として扱われ、刑期自体が延びる可能性も……。
口ゲンカになっても、刑務官の判断で懲罰処分は避けられないと思います。刑務所内では、基本として互いにケンカ両成敗になるということですね。
刑務所内の設備や備品などを故意に壊した場合、懲罰処分になり、さらに弁償となります。
作業報奨金での弁償になるために、高額になると返しきれないということもあります。
作業している途中で木材を切る音やドアが開く音に反応してしまい、もし振り返れば、脇見と見なされます。一般的な生活では考えられませんが、それだけで取り調べに発展してしまうことも少なくありません。
ほとんどが刑務官に一喝されてすぐさま戻ってきますが、そこで反抗すると懲罰処分になってしまう場合もあります。
パンと桃缶で密造酒を作ったり、歯ブラシの柄を削ってプラスチックの玉を作ったりすると不正製作に当たります。
ナイフ状の武器を作ったりした場合は、悪質なものと判断されて懲罰対象に。
陰茎に自分で作ったプラスチック玉を真珠代わりに入れる、リストカットをするなど自らの体を傷つけるような行為は懲罰確定です。
これら以外にも様々な懲罰対象の行為があります。次回もあまり知られていない“刑務所の真実”をお伝えしたいと思います。
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)