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どうもライターの丸野裕行です。
コロナショックの影響で、爆上がりしていたスポーツロレックスが値下がりしはじめて、数ヵ月。皆さん今後の時計投資の動向がどうなるのか、気になるところでしょう。
とはいえ、スポーツロレックスの王者であるデイトナは、値崩れが起こりにくく、未だ人気を誇っています。
《マーク1ダイヤル》と称された初期ダイヤルの4ケタデイトナは個体数も少なく、稀少品として確固たる地位を確立しているわけですね。
しかし、年代物のデイトナ以外の現行デイトナにだけ、価値を見出しているのも退屈ではないですか?
今回も、ROLEXコレクターであり、副業としてビンテージロレックスへの投資ビジネスを行う神戸製薬株式会社代表の吉田斉彬(ナリアキラ)さんにお話をお聞きし、ロレックスを含めた時計の真の楽しみ方をお送りしたいと思います。
■『オトナの時計投資:ビンテージウォッチで、こう愉しむ! こう稼ぐ!』
https://getnews.jp/archives/2378319 [リンク]
■『オトナの時計投資:買い時?! 文字盤修復した“リダン”ロレックス(ROLEX)“復権”の可能性』
https://getnews.jp/archives/2443127 [リンク]
■『オトナの時計投資:コロナショックでROLEX価格大暴落!しかし今がチャンスかも!?』
https://getnews.jp/archives/2506964 [リンク]
丸野(以下、丸)「前回もお送りしましたが、新型コロナウイルス騒動の影響で、値崩れを起こしている時計投資の世界ですが、“今が逆にチャンス!”などと言われていますよね?」
吉田さん「“今のうちに値崩れしたロレックスを資産として買っておきましょう”という動きが主流になっていますが、“《リセールプライス》(※)といいながら、損益リスクを考えたことがありますか?”と時計に投資する皆さんにお聞きしたいんですよ」
(※リセールプライス:買って資産として寝かせておくこと)
丸「と、言いますと?」
吉田さん「例えば、投資目的でムリをして280万とか300万円でデイトナを買ったとしましょう。次に売るとき、いくら損しますかといえば、100万単位で損益が出ますよ、ということなんですね。今、木村拓哉さんがしているアイスブルーというROLEXデイトナを買ったとすれば、700万超。これだと売ったときの損金は200万円程度になります。お金持ちの人ならいいですが、実際に果たして資産としての役割を果たしているのか、と。それに、損益というものは分散させた方がいいと思うんですよね」
丸「なるほど」
吉田さん「300万円のデイトナを買うよりも、デイトジャストやデイデイトなどのレアなドレスウォッチを数本かった方がいいのではないかと思うわけです。例えば、ピンクゴールドとか文字盤が変色していい味が出ているものとか、バックリーとかを数本買ったほうがいいのではないかと。タイミングもありますが、1本売っても100万単位の損は出ないし、今後ドレスウォッチの価値が上がって、ひょっとすると利益が出るかもしれない。さらに毎日時計を替えられる楽しみが出てくるわけですよ。デイトジャスト、デイデイト、オイスターデイトなどのスタンダードロレックスを見直してみませんか、ということなんです」
丸「僕はスポーツモデルではなく、ドレス派ですね。でも、クロノグラフには興味がありますね、やっぱり」
吉田さん「クロノグラフを楽しめるのは、何もデイトナだけではないわけです。丸野さんが手に入れたジャケモナは、手巻きのバルジュー7736を搭載したムーブメントが入っています。今高騰中の数千万円級のデイトナの手巻きモデルと同じムーブメントなので、かなり楽しいのではないでしょうか?」
<写真:筆者が入手したジャケモナ1970s 市場価格で20万円弱になる>
丸「毎朝、手間のかかる手巻きに愛情を注いでいますね(笑)」
吉田さん「ここに用意したのは、ハミルトンのカーキアクションクロノグラフなんですけどね」
丸「デカいですね」
吉田さん「まずフェイスがデカいし、目立つし、存在感があるし……これ自体、クロノグラフじゃないですか? この廃盤モデルを10万円とか20万円とかで購入できるので、このようなものでクロノを楽しんでみてもいいんじゃないでしょうか、と」
丸「なかなかいい時計ですね」
<写真:ハミルトンカーキアクションクロノグラフ(廃盤)>
吉田さん「このクロノグラフ時計の他にも世の中にはロレックスよりも性能のいいオメガやタグホイヤーなどもあるので、そちらで楽しんでみればいいのではないでしょうか? デイトナは、ちょっと正直なところ、市場価格が釣りあがりすぎです。本来の適正価格比較ならまだしも、上がりきった時計を買うユーザーは損をするだけです。もっと適正価格になって、たくさんのユーザーさんに楽しんでほしいですよ。それに、もっと安くて楽しめるものがたくさんありますよ」
丸「ホント、そうですよね」
吉田さん「前述のデイデイトやデイトジャストなどは、普段着にも合いますし、シーンを選びません。年齢を重ねれば重ねるほど、ロレックスマニアというのは、結局最終的には、1940年代に製造された小ぶりの“バブルバック”(※)のロレックスに結局は戻ると言われています」
(※バブルバック:初期の自動巻きムーブメントで、手巻きムーブメントに自動巻きユニットを重ねた分厚いムーブメント。試行錯誤した末に、裏蓋部分に膨らみを持たせ、分厚いムーブメントをケースに収めることに成功した。この裏蓋の膨らみを泡にたとえ“バブルバック”と呼ばれる)
<写真:ROLEXバブルバック>
<写真:リューズに刻印がある>
<写真:裏蓋のふくらみに特徴がある>
<写真:裏蓋内部……ここに分厚いムーブメントが収まる>
<写真:バブルバックコンビ>
<写真:裏蓋>
丸「ほほう。こりゃ、かなりのビンテージ感がありますね~。ロレックスマニアで知られる俳優の木下ほうかさんも前に飲んだときしていたのは、渋い小さめのボーイズサイズロレックスしてました」
吉田さん「そんなときに“スポーツモデルって何だったの?”という違和感を感じてしまう瞬間があったら哀しいじゃないですか」
丸「そういう可能性もありますよね」
吉田さん「だから、スタンダードなロレックスだと飽きがこないと思うんです。このスマホやAIなどがあふれるIT時代に、若い子がデイトジャストなどの渋い時計をしていると、“あっ、あえてそれするのってセンスあるな”と思ってしまいます(笑)。自分たちの祖父が活躍していた時代の時計をするってすごく素敵だな、と。それが未だに現役で動いているという奇跡に美学があるんじゃないかと思うんです。ロレックスの楽しみ方は、そのあたりだと思うんですけどね」
丸「いいですね」
吉田さん「ちなみに、このデイトジャストのバックリーモデル(ローマ文字)とか昔のやつは、エンボス前の印刷プリントというものは、廃盤でレアです。こういったものに視点を移して、ロレックスを楽しめるということを多くのロレックスユーザーに知ってほしいですね」
<写真:エンボス加工されていない「印刷プリント」のバックリー文字盤ブラックはかなり希少>
大幅に釣りあがったデイトナの価格ですが、リアルに喜ぶのは、20年来の正規ユーザーだけだと吉田さんは言います。70万円~100万円の相場で購入できたユーザーの時計は、約3倍ほどの値段になってしまっているんですね。
<写真:稀少価値の高いピンクゴールドのブレス>
そこまでの価格の時計に手が届かないユーザーは、スタンダードロレックスを購入し、クロノグラフに関しては、コストパフォーマンスのいい別のブランドを楽しんでみてはいかがでしょうか?
では、さらにディープなビンテージ時計の世界を次回も綴っていきたいと思います。
※ビンテージROLEXへの投資はあくまで自己責任でよろしくお願いいたします。
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)