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どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。
将来的に抜群の安定感を誇っていきそうな職業が、“ボディガード”。
ボディガードというのは、公的な機関や民間企業などで、要人警護や身辺警護などの警備業務を行う人のことです。
この職業に必要なポテンシャルの高さはいうまでもなく、ケビンコスナーがこの職業を演じた映画『ボディガード』のような忠誠心も要求されます。
この仕事に就くためには、学歴や資格はあまり求められることはありません。しかし公的な機関で活躍したいのであれば、厳しい公務員試験を受け、各機関の警護部門に配属されなければいけません。民間警備会社でなら、警備各社の採用試験を受けて合格しなければいけません。
今回は、現役のボディガードである上田孝明さん(仮名/37歳)に話をお聞きし、知られざるボディガードの世界を綴っていきたいと思います。
丸野(以下、丸)「上田さんはどのようにしてボディガードになられたんですか?」
上田さん「僕は警備会社に入社しまして、施設の見回りなどの警備員として働きながら専門的な訓練をしっかりと受け、スキルを身につけました。やっぱり格闘技や護身術の訓練を義務付けている警備会社だったので、時々ロシアの護身術・システマの先生が来たりして、超専門的な格闘術を学べたりするんですよね。あの映画『ジョンウィック』でキアヌリーブスが使っていた格闘術のことです」
丸「めちゃくちゃ素早い動きのあれですね」
上田さん「それに、現役ボディガードや元SPの講師に直接指導をしてもらえるスクールにも週末に通いました。そこでも、身辺警護知識を学べ、有事を想定した実習を受けることができます。これは、実務経験を積むことになるので、ボディガード志願者にとっては有意義です」
丸「主なボディガードのお仕事内容ってどんなものですか?」
上田さん「要人警護や身辺警護がほとんどです。でも、民間のボディガードというのは非常に少なく、ほとんどが警視庁に所属している“SP(セキュリティポリス)”になりますね。政治家などの要人を、身を挺して護るわけです。日本国内では、全国46都道府県の公安委員会から警備業法という法律に基づき、警備業認定を受けないと警備業は営めません。海外では需要が多いですが、日本では普通の人が日常的にボディガードに身を守ってもらうようなケースはほとんどありませんし、実際は私邸警備や施設警備などの仕事が多いです」
丸「ほとんどお仕事がないんですか?」
上田さん「いえ、ウチの会社の上層部とつながりのある大手企業の重役を警護する仕事はあります。僕も実力がついてきたので、“そろそろフリーランスになれば?”とよく言われますが、さすがに会社を辞めてまで個人的に仕事を取るのは、なかなかどうして難しいと思います。ですから、ボディガードが活躍できる場としては、公務員になってSPになるか、皇宮警護官になるか、民間警備会社に就職するのかしか、(収入を)安定させることはできないでしょうね」
丸「いくらくらい稼げるものなのですか?」
上田さん「う、うん……年収というは、勤務先や経験によってまちまちですが、僕みたいな30代では、500万~850万円くらいになります。体を張って仕事しているので、一般的な会社員よりは給料は高めですね」
丸「ボディーガードの1日のスケジュールってどんな感じですか?」
上田さん「警備対象によりますね。1日前や当日に突然スケジュールを明かされるときもあります。これは依頼者の守秘義務に関わることですね。仕事内容が明かされない、急な依頼なんてのも突発的に対応することになります」
丸「それは精神的にも肉体的にもハードですね」
上田さん「1日警護対象者に張りついていると、休憩はもちろん食事すら摂ることができないときもあります」
丸「そりゃ大変だ」
丸「警護対象者を守るとき、どんな武器を携帯しているのですか?」
上田さん「日本では拳銃を携帯することはできませんから、特殊警棒やスタンガン、催涙スプレーを頼ることになります。また車を運転しての警護もあるので、車両の中にはトンファーなどを載せています。ちなみに特殊警棒を使った護身術や攻撃術も学んでいるので、自分の体の一部のように使用することができます」
丸「ボディガードとして働きはじめるうえで、有利になることってありますか?」
上田さん「元警察官や元警備会社勤務、武道の有段者などはやはり企業が欲しがる人材ですね。ボディガードは、警護対象者と非常に密接な関係なので、コミュニケーション能力と無駄口を叩かない人柄というのも大切です。さらに英会話などの語学力があれば、なおさらいいですね」
丸「なにか危険な目に遭ったことはありますか?」
上田さん「某企業の重役を警護していたときに、移動中銃弾のようなものが飛んできました。それが、窓ガラスを貫通して入ってきまして……。車のシートに食い込んでいたんですが、どうも相手はその重役を傷つけることが目的だったようで……。その事件から我々の会社から、警察の身辺保護に変更されました。警察は、威力を落とした“弱装弾”を犯人が使用したと発表していましたね。あのときは、肝を冷やしました」
丸「怖い……」
丸「ズバリ、このお仕事のやりがいを教えてください」
上田さん「確かに、常に神経を使っている緊張感のある仕事で、休憩を取ることも生活が不規則になることもあります。ですが、大事な人を守ることができる、平和を守ることができる仕事です。“ありがとう”や“安全に1日を過ごせた”など声をかけられることも多く、それが大きなやりがいです。さらに、常に体を鍛えたりすることで自己研鑽でき、生きていることを強く実感できることもやりがいですね」
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いかがでしたでしょうか?
日本の犯罪も凶悪化の一途を辿り、決して安全な国とは言えなくなってきました。今後、公的機関だけでなく、民間機関でも需要が増えるであろうこのボディガードという職業。
あなたもしっかり訓練を受け、スキルを身につけ、経験を積み、「将来的に明るい」といわれるボディガードを目指してみればいかがでしょうか?
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)