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DJとして活動していたという異色の経歴を持つ福井県福井市の浄土真宗本願寺派・照恩寺の朝倉行宣住職による『テクノ法要』。築地本願寺やパリでのイベントでも執り行うなど、いまや国境や宗派を超えた活躍ぶりを見せています。
そんな朝倉住職の活動が広く知らしめる一助となったのが、『ニコニコ超会議』の出演。さまざまな日本の伝統文化を体験できるイベント『寺社フェス向源』とコラボしたブースでは、『テクノ法要』のステージをはじめ、座禅体験や僧侶と話すコーナーが設けられ、さまざまなカルチャーが交錯する中でも異彩を放っています。
『ニコニコ超会議2020』で3回目の出展となる『超テクノ法要×向源』では、「過去最高規模の極楽浄土を超会議会場に出現させる」という目的のために、総額1000万円目標のクラウドファンディングを『CAMPFIRE』で敢行。支援は3000円から可能で、オリジナル数珠が受け取れるコース(10000円)や、運営スタッフになれる権利と半袈裟がついたコース(50000円)、特別祈願コース(50000円)、朝倉住職と『向源』代表の友光雅臣常行寺副住職の出張法要の権利つきのコース(400000円)、『テクノ法要』の誘致権利(2800000円)など、ユニークなリターンが用意されています。
果たして「過去最高規模の極楽浄土」とはいかなるものなのか……。少しでもヒントを得ようと、朝倉住職にお話をお訊きしました。
--『超テクノ法要×向源』も今回で三回目になります。『テクノ法要』をはじめた時に、このような規模で出来ることを想定していらっしゃいましたか?
朝倉行宣住職(以下、朝倉):もう全部が予想とはるかに超えていて、こんなふうになるとはまったく思っていなかったですね。もちろん福井の小さなお寺で活動していた時と軸は変わっていないのですけれど、興味を持つ方の幅が広がりました。何より僕が変化していくのが非常に楽しいです。
--関わる人が増えて、コンテンツを軸にコミュニティが出来ている印象です。
朝倉:それはすごく大きいです。僕が「まさか」というところでも『テクノ法要』をさせて頂けていますし、関わって頂けるクリエイターの方にも制作の過程やビジュアル面でもヒントを得たり、手伝って頂いています。何より、やりたいことがどんどん出てくるので、同じことができないんですよね。「変化しないといけない」というより「変わっちゃう」という感じです(笑)。
--『ニコニコ超会議』に出演するようになって、特に映像面での進化があるように感じます。
朝倉:映像について最初は本当に何も知らないところからはじめて、最初は知り合いが手伝ってくれて教わってから、AdobeのPREMIERで作ってそのまま編集して流していたのですけれど、『ニコ生』のクリエイターたちの作業を見ていると「どうもそうじゃない」と。それでいろいろ教えてもらうようになって……。だから、すごくワクワクすることがたくさんあるんですよね。
--住職にとって『ニコニコ超会議』というのは、どういう存在なのでしょう?
朝倉:僕にとっても特別な場所です。最初はアニメ系とかオタク文化の聖地というイメージで、偏見をもっていたのは確かなんです。それが、はじめて参加させてもらった時にまったくそうじゃないと知りました。僕が理想としているのは極楽浄土という形で、いろいろな個性があってそれぞれが輝ける場所というイメージを持っています。『ニコニコ超会議』はお客さんも表現者も、みんなが尊重しあえるという場所で、理想形に近いなと。だから僕自身だいぶ感化されました。このような素晴らしい感覚やコミュニティをより多くの皆さんに「知って欲しい」「体験して欲しい」と思うようになりました。だから、前のめりで参加させてもらっています(笑)。
--『超会議』での出展は『向源』の友光代表の存在も大きいと思います。
朝倉:友光くんとは3年前の京都でのイベントにパネラーとして呼んでもらって、その時にはじめて話したのですけれど、向かっている意識が同じでいきなり意気投合しましたね。彼もDJをやっていて、使っている機材が同じで親近感を覚えたり(笑)。歳こそひとまわり以上違いますが、昔から知っている同士みたいで。最初は僕の方に『ニコ超』出演のコンタクトがあったのですが、「それなら『向源』さん一緒にどうや」と。『テクノ法要』だとどうしてもステージだけになってしまうし、僕一人ではたくさんの方とお話しできないので、「お坊さんとしゃべろう」とか「座禅をやろう」とかをぜひ一緒にやろうとなりました。彼との出会いがなければこういう形ではなかったと思います。いわば彼は編集者で、僕はコンテンツの人なので、立ち位置がかぶらない。なので、とてもいい関係ですね。個性を大事にしながら同じ目標に進んでいける相棒です。
--今回のクラウドファンディングを実施する理由について教えてください。
朝倉:前回はうちのお寺でさせてもらう機材を調達するためでしたが、今回は巨大なブースを運営するための資金が必要です。やっぱり今回は皆さんの夢とか期待を形にして頂いてご支援頂くというのが一番の目的です。表現したい目標は常に変わっていないのですが、今何ができるかを考えて、包み込むような画面の使い方ですとか、体験ブースをより魅力的なものにすることを目指しています。
--「包み込む」というのがキーワードとして重要な気がします。
朝倉:最近は自分のお寺やいろいろなホールでも、天井に光を当てて「仏様とつながる」感覚の範囲を広げて表現しようとしていますが、「包み込まれる」というイメージをスクリーンサイズなどで表現したいと思っています。ですが、これが終わりというのはないんですよね。だから楽しいです。
--『テクノ法要』をはじめてから4年で、一番マインドが変わったことは?
朝倉:ふっきれたってことですね。最初は「怒られたらどうしよう」といった不安がつきまといながらの活動でしたが、「怒られてもいいや」となりました。『テクノ法要』に興味をもってくれる方もいらっしゃるし、賛同してくれない人もいらっしゃる。それがすごく当たり前に思えて「なんでみんなに気に入られるようにしていたんだろう」と思うようになりましたし、最初は拒否反応をお持ちだった方が僕の意見を把握してくれて、賛同する側にまわってくれたことも体験しています。だから、僕が迎合しないといけないことってないんだな、僕の表現を続けることが大事なんだな、と思っています。あとは、誤解を与えないようにちゃんと表現して説明することが大事だという思いは変わりませんが、それを恐れていたら何もできなくなってしまう。僕が焦っても仕方がないので、100人いて一人にでも伝わればいい、と考えられるようになって気持ちが楽になりました。
--先程「終わりがない」というお話もありましたが、今の段階で『テクノ法要』で挑戦してみたいことはありますか?
朝倉:新しい道具や新しい技術が出てくると、それを使った仕掛けができますよね。例えばこれから5Gが普及すると、世界中の別の場所にいるお坊さんが、透過スクリーンで現れて、一緒におつとめをしてくれるリアルのセッションができますよね? それは極楽の表現の一つで、東西南北上下、阿弥陀さんのことを称えるということなので、その時々の最新技術で極楽浄土の具現化するのが目標です。
--まさに「時空を超える」の表現ですね。
朝倉:「阿弥陀」という言葉は、簡単に言うと時空を超えた存在ということになりますから。それは1000年前は無理でしたが、今なら仮想で表現できる時代なので使わない手はないですよね。今ある道具をどう使うのかが大事です。国宝の寺院の建物や仏像、飾り付けは当時の最新技術が今も残っているわけですが、例えば宇治の平等院は、いわば極楽を体感してみようという体験型アミューズメントですからね。
--体験型アミューズメント……。そう考えれば『ニコニコ超会議』に『テクノ法要』があるというのも腑に落ちますね。
朝倉:実をいうと僕は楽器が全然できないのですが、コンピューターによって頭の中のイメージを具現化できる。作ろうと思えば誰でも作れるありがたい時代です。お坊さんでも音楽のプロではないけれど、好きな人はたくさんいて、DJ坊主もたくさんいます。彼らが僕の活動で「怒られない」ということを知ったと思うので、いろいろな広がりができると嬉しいですね。
--『超会議』での法要がますます楽しみになりました。ありがとうございました!
みんなでつくるニコニコ超会議!超会議2020はクラウドファンディング企画を実施します!(ニコニコインフォ)
https://blog.nicovideo.jp/niconews/126351.html [リンク]
「テクノ法要」と「向源」で幕張に体験可能な「極楽浄土」を出現させたい! (CAMPFIRE)
https://camp-fire.jp/projects/view/226361 [リンク]