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今回は米田敦さんの『note』からご寄稿いただきました。
米国株式市場は荒い値動きの中、下落して取引を終えた。民主党によるトランプ米大統領の弾劾機運の高まりを背景に下げが加速し、S&P総合500種の下落率は約1カ月ぶりの大きさとなった。
トランプ大統領は24日、7月に行ったウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談前に同国に対する約4億ドル規模の支援を保留するよう指示したことを確認。ただ、次期大統領選の民主党有力候補であるバイデン前副大統領に打撃を与えることを目的にウクライナに圧力を掛けたとされる疑惑は否定した。
複数の報道によると、民主党のペロシ下院議長は同日、トランプ大統領弾劾に向けた正式調査を開始する方針を表明する見通し。トランプ氏はツイッターへの投稿で、25日にゼレンスキー大統領との電話会談の記録を完全な形で公表する方針を明らかにした。
ウェドブッシュ証券の株式トレーディング部マネジングディレクター、マイケル・ジェームズ氏は「市場のボラティリティーは高まっており、今後数日中に双方向に動く可能性がある」と指摘。
トランプ米大統領は24日、国連総会で行った演説で中国の通商を巡る慣行を改めて非難し、米中通商協議で望ましくない合意は容認しないとの考えを示した。
トランプ大統領は、中国は2001年の世界貿易機関(WTO)加盟時に示した確約を順守しておらず、米国やその他の国の雇用を大量に奪う略奪的な通商慣行を実施していると指摘。「改革を実施するとした確約を反故にしただけでなく、大規模な市場障壁、手厚い政府補助、為替操作、強制的な技術移転、知的財産権の侵害などに依存する経済モデルを構築した」と非難した。
中国のWTO加盟以降、米国にある6万件の工場や420万人分の製造業の職が失われたとも指摘した。
その上で「米国が関する限り、こうした日々は終わりを告げた」と指摘。米中通商合意は得られるとの期待を示したものの、両国の関係の再均衡化に向けた合意を望んでいるとし、「米国民は中国との関係の再均衡化に絶対的にコミットしている。双方に恩恵をもたらす合意が得られると期待している。これまでも明確に示してきた通り、悪い合意は容認しない」と述べた。
ナショナル・セキュリティーズの首席市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「中国に関する指摘は辛らつだった」と述べた。
インディペンデント・アドバイザー・アライアンスの最高投資責任者クリス・ザッカレリ氏も、中国に「敵対的な」演説だったとし、ここ数週間出ていた米中貿易問題を巡る楽観的な見方が「消滅し、悲観的な見方が台頭した」と述べた。
主要株価指数は序盤に上げる場面もあったが、トランプ大統領がこの日の国連総会で行った演説で中国の通商を巡る慣行を改めて非難し、通商協議で望ましくない合意は容認しないと述べたことで下げに転じた。
キングスビュー・アセットマネジメントのポール・ノルテ氏は、市場にとって現時点でより重要な問題は弾劾手続きより貿易戦争だとし、「弾劾の根拠がどれだけ明確かは不明で、どう展開するか分からない」と述べた。
ムニューシン米財務長官は23日、中国との閣僚級による通商協議を再来週に開催することを明らかにした。また、中国当局者らが米農業地帯の視察を中止したことについて、単なる延期で大きな問題ではないとの認識を示した。
財務長官は先に、国連総会の場で記者団に対し、米中通商協議が来週ワシントンで再開されると述べていた。しかし、FOXビジネスのインタビューで、自身とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、中国の劉鶴副首相による協議は「実際は来週ではなく、再来週に開催する」と訂正した。
また、中国による米農産品の購入は「良いニュース」で「善意のしるし」だと評価した。
中国側が米農産地帯の視察を中止したことについては「最適なタイミングでは必ずしもないと判断した。そのため、われわれの通商協議後に日程を再調整する見通しだ」と説明した
ムニューシン氏はこれより先、記者団に対し、視察中止は米政権が要請したと明らかにしていた。
その場に同席したトランプ大統領は、ムニューシン氏に対し、なぜ視察中止を要請したのかと尋ね、貿易問題で混乱が生じることを避けたかったとの説明を受けると「それはそうだが、中国には農産物を購入して欲しい」と即座に答えた。
さらに中国は大量の米農産物購入を約束したとし、早急に中国に出荷すると説明した。
トレーダー2人によると、中国の輸入業者は23日、約60万トンの米国産大豆を購入した。10─12月に太平洋岸北西部の輸出ターミナルから出荷される予定という。
株価き上昇すると強気発言を繰り返すトランプ大統領。
法則通り通商協議前に強気発言を繰り返している。
予定通り中国が米農産物を購入すれば、12月に延期となった追加関税は中止される可能性もあり、ムニューシン氏の発言を信じるならその可能性は高い。
この日の米国市場は上下激しい値動きとなっている。
市場というのはいつも売る理由を探しており、ちょっとした事由に飛びつく。
トランプ大統領の弾劾やツイートに騙されず、真実を常に見極めたいところだ。
出展
ロイター 9/25 米株下落、トランプ大統領への弾劾機運高まる
ロイター 9/25 米大統領、中国通商慣行を改めて非難 「悪い合意」容認せず
ロイター 9/25 米中閣僚級通商協議、再来週開催へ=米財務長官
執筆: この記事は米田敦さんの『note』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2019年10月16日時点のものです。