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今回、初のメディア公開となる工場へ潜入してきました。
ターゲットは静岡県磐田市にある『日本たばこ産業株式会社(JT) 東海工場』。
このJT東海工場、正式には40年前となる1979年(昭和59年)9月に操業を開始していますが、前身となる工場の操業は明治時代。東京ドーム5個分の建屋で、およそ800名が働いています。
JT東海工場の主要製造銘柄は『ピース』『ホープ』『メビウス』、キセル専用の『小粋』、そして加熱式たばこ『プルーム・テック』シリーズです。
400年前の刻みたばこから最新の加熱式たばこ用カプセルまで、幅広く手掛けているというわけなのです。
早速、工場内へ行ってみましょう……と、その前に、専用の帽子とウェアを身につけます。
入り口の吸引式のエアーマットで靴裏の汚れを取り、専用の掃除機で身を清めます。手洗いも徹底。
いざ入ってみると、想像していた“工場”のイメージよりもどことなく“オフィスっぽさ”があります。
大きな機械が動く音はするけれど、通路含め十分なスペースが確保されていることや、清潔感があるからかもしれません。
ただ、めちゃくちゃに広いですから、やっぱり非日常感は強いですけどね。
奥に進むにつれ、葉たばこの香ばしい匂いが強くなってきます。火をつける前のたばこの、あの香りです。
※本文中には『セブンスター』『メビウス』それぞれのラインの写真を使用しています
おなじみの紙巻たばこの場合、買い付けた葉たばこを加香、ブレンドされ刻まれたもの(刻み)を紙で巻き、カットされたものがパッケージングされていきます。
まず、長~~~いたばこが機械で作られ、2本分の長さにカットされます。その2本分が半分にカットされた間にフィルターとなる部分が接着されたのちに1本分のたばこへとカットされます。
その製造スピードは脅威。なんと1秒間に作られる紙巻たばこの長さは10m、本数にして2万本分に相当します。
長い歴史で培われたノウハウが蓄積された結果、紙巻たばこの製造スピードは100m走の世界記録と変わらない速度にまで進歩しました。
箱詰め箇所では製品チェックのため自動撮影が行われ、超高速で良品・不良品の選別が行われます。
数々の巨大な機械を経ながら、たばこ葉が巻かれ、カットされ、パッケージングされる様子には美しさすら感じます。
場所が変わり、次は加熱式たばこ『プルーム・テック』の製造ラインへ。場所が変わったら先ほどの紙巻たばことはまた違う香ばしさが。ほんの少し湿り気があるようなコーヒーのような、アロマっぽさが漂う区画に入りました。それもそのはず(後から知ったのですが)ここでは『ブラウンアロマ』という種類のカプセルを作っていました。
さて『プルーム・テック』や『プルーム・テック・プラス』の場合、粉砕された原料となる『プルーム・テック用顆粒』をカプセルに充填するところから製造はスタート。カプセルはブリスターパックと呼ばれる密閉容器に封入され、パッケージングされます。
2016年に導入された第一世代の製造機械から比べると、現在稼働している第三世代の製造機械は約40倍の能力!
紙巻たばこが30年で重ねてきた3世代分の進化を、加熱式たばこの製造ラインは3年間で実現したというスピード感なのだとか。おそるべし。
「特許関連が詰まりすぎていて撮影不可」という“フィルター製造エリア”を超えると、カートリッジやフィルターの封入を行うラインに入ります。
ロボットアームが、一度に多くのカートリッジを包装し、その香りをブリスターパックに閉じ込めます。扱っているものがプラスチック部品主体のためか、紙巻たばことはまた違ったハイテク感が漂っていました。
紙巻たばこの頃は生産量の予測やコントロールがしやすかったそうですが、加熱式たばこが加わってきた現在は以前より予測が立てづらいのだとか。だからこそ、生産に関してはスピード感重視で進めているそうです。
「たばこ屋だけれど、家族の前で胸を張って吸えないことにジレンマを感じていた」と語ったのは、『プルーム・テック』開発チームの山田学氏。
氏はにおいの少ない『D-spec』や無煙たばこ『ZERO STYLE』の開発を経て、『プルーム・テック』そして『プルーム・テック・プラス』を手がけるに至ります。
目指すのは「吸う人と吸わない人が共存できる社会」。その起点がこの工場にある事を今回の取材を通して感じました。
そして山田氏と同様にJTで働く人たちの心意気をよく表していたのは、綺麗に清掃された喫煙所の灰皿かもしれないな、とも思いました。
■プルーム公式サイト
https://www.ploom.jp/