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『Kickstarter』でのクラウドファンディング成功を経てSteamでリリース、そして6月27日にはNintendo Switch/PlayStation 4用のパッケージ版とダウンロード版、Xbox One用のダウンロード版がPLAYISMから発売される国産インディーゲーム『LA-MULANA 2』。レトロPC・ゲーム専門店のBEEP秋葉原では、パッケージ版のケースを収納できる“MSX風の外箱”を予約特典として提供します。
ここでしか手に入らないBEEP特典の試作品ができたぁ〜https://t.co/vh4GaEDbn4
ご予約はお早めにどうぞどうぞ(^。^) pic.twitter.com/6pOZKA03nv—BEEP (@BEEP_SHOP) 2019年5月28日
ここでしか手に入らないBEEP特典の試作品ができたぁ〜
ご予約はお早めにどうぞどうぞ(^。^)
https://twitter.com/BEEP_SHOP/status/1133331550966169600
外箱のイラストは、NIGOROのボス、楢村匠氏が『魔城伝説』をモチーフに描き下ろしたもの。
BEEPさんの特典で私が描いたのは絵の部分のみ。その他の再現はお店の人がやってます。元ネタは魔城伝説。
この絵は他で出す予定がないのでBEEPのみの限定だ。#LaMulana2pic.twitter.com/4thf84g9To—楢村匠 (@naramura) 2019年5月29日
https://twitter.com/naramura/status/1133541864777236481
BEEPさんの特典で私が描いたのは絵の部分のみ。その他の再現はお店の人がやってます。元ネタは魔城伝説。
この絵は他で出す予定がないのでBEEPのみの限定だ。
『魔城伝説』は、1986年にコナミが発売したMSX用ゲーム。Windows用に開発された初代『LA-MULANA』は、『魔城伝説』の続編であるMSXゲーム『魔城伝説II ガリウスの迷宮』をモチーフに開発されたことが知られています。そこで今回は、NIGORO楢村氏とBEEP通販部法人営業部の丸山満氏、BEEP秋葉原スタッフ(概念)というメンバーで、MSXゲームについてトークを繰り広げていただきました。
――キリは悪いのですが、『ガリウスの迷宮』発売から32周年ということで、皆さんにMSXゲームの思い出を語っていただきたいと思います!
楢村:うちはお小遣いが少ない家だったので、そもそもゲーム機を買うなんていう発想が親にはないんですよ。でも父親の同級生の家がナショナルの電気屋をやっていて、パソコンならいいということでMSXを買ってもらったんです。
周りはみんなファミコンを持っていて、友達同士でソフトの貸し借りができる。MSXユーザーは少ないので、その友達とは「お前の家のゲームは全部やったよ」というレベルでお互いにやり込んでいました。MSX版の『グラディウス』とファミコン版の『グラディウス』で言い合いをしている小学生でしたね。
丸山:うちの実家は埼玉の北部で、北の方に三洋電機の工場があったんですよ。近所に三洋の協力店の電気屋があって、そこで『WAVY』の前の機種かな、MSXを売り出しているので、買わずに遊びに行ってましたね。
図書館で「MSXプログラム大全集」とかいうチープな内容のプログラムが載った本を借りてきて、電気屋で打ち込んで試していました。
楢村:最初に遊んだゲームはこれが遊びたい、ではなく、お店で本体に差してあったのが『王家の谷』と『タイムパイロット』(いずれもコナミ)。
(概念):いいお店ですね!
――MSXゲームあるあるとして、ファミコンを持ってる子たちとゲームメーカーの序列が違う、というのはありませんでしたか?
楢村:ありますね。当時はMSXだったらコナミを買っておけば間違いない。あと好きだったのが日本ファルコムとT&Eソフト、エニックスですね。面白さもそうですけど、他と比べて出来が1ランク違う。でも、あの当時の子供たちに日本ファルコムやT&Eソフトがどうこう、と言っても通じないですよね。
PC-8800シリーズで名をはせたゲームメーカーでも、MSXでは今一つ、というのもありました。MSXのことを分かっていて、こだわって移植しているメーカーは他と違いましたね。
(概念):コンパイルも、よくできたシューティングやアクションがありましたね。僕は『ジャガー5』が大好きで。限られた色数で、独特な東南アジア感を出していたりとか。ゲームに出てくるメンバーのプロフィールを書いた書類とか独特な付属品があって、BEEP的な話をすると付属品の有無で中古市場では売値が5000円ぐらい違いますね。
楢村:僕は地方在住だったので、BEEPさんのようなレトロゲームショップの存在は知っていても、行けないんですよね。東京の大学へ進学するために、予備校の夏期講習で東京に来たときに秋葉原へ行って、MSXの裸ROMが並んでいるような衝撃的な光景を目にするわけです。
その時にROMを買ったんですけど、取扱説明書がない。だから遊ぼうとしても、まずルールが分からない(笑)。でもルールを探りながら遊ぶのが面白かったですね。説明書がないゲームを遊ぶときは、ひととおり全部のキーを押してみるところからやってみたり。
説明書を読むとすごく壮大なファンタジー的なオープニングが書かれてるんですけど、電源入れるとポツーンと自キャラがいて、どこに進むのかも分からない。間違えて進むと敵にやられて即死……という中を歩き回るのは面白かったですね。
(概念):『ハイドライド3』(T&Eソフト)はその点、よくできている気がしますね。朝があって夜があって、村があって生活があって、でも村から外に出ると敵に殺されて死ぬ。放っぽり出した感がすごい。
楢村:あれは上質な方ですね。放っぽり出した感の中でも上質な放っぽり出し感。あれより後の『イース』(日本ファルコム)とかになると、冒頭は依頼を受けてからじゃないと先に進めないとか、進行がしっかりしてきてる。
楢村:夏期講習のとき秋葉原で『トリトーン』(ザインソフト)のROM版を買って。テープ版は遊んだことがあったんですが、ROM版は最後のダンジョンが倍ぐらいのサイズがあったり、謎解きが違っていて解けないんですよ。その時にネットの掲示板で4~5人ぐらいが「オレここ進んだよ」「教えて教えて」とやり取りをして。それが楽しかったので『LA-MULANA』の開発につながったんですよ。
ネットを通して「あーでもない」「こうでもない」と一緒に攻略するのが楽しかったので、『LA-MULANA』でもネットで答えを探したり相談したり、というのを含めた遊びになっているんです。最近のゲーム実況の配信でも、視聴者にヒントを教えてもらったり一緒に考えたり。根っこはファミコンでもそうですが、友達の家に集まってわーわーやっていた、あの延長だと思います。
――初代『LA-MULANA』は、MSXをどれぐらい意識して開発したものだったのでしょうか?
楢村:僕はプログラムをやる人間ではなかったのですが、さっき話に出た出来が1ランク上のメーカーはグラフィックがすごかったですね。あの世界観が好きだったので、それを当時はかなわなかった環境で作るというコンセプトはありました。ゲームのアイデアは小学生の頃からノートに書いてずっとたまっていたので。
MSXのゲームは面白いものがあったけど、しょせんは容量が8kBなので、面白いけどすぐ終わってしまう。もっと長時間続けばいいのに、という願望を今のWindowsの環境でかなえた、ということです。
初代『LA-MULANA』のグラフィックって、MSXで表示するのは無理なんですね。スプライトが多すぎる。それは僕が子供のときに遊んだ記憶で、あれぐらい敵がいっぱい出たイメージがあるんです。
音なんかも、僕はMSXマガジンについていた『MuSICA』というソフトで再生するコナミのSCCカートリッジの音源と、MSXもともとのPSG音源の音を同時に鳴らす仕組みを録音して、さらにマイクロソフトのゲーム開発用のライブラリを使って流していた。だから音はたくさん鳴ってるんです。
初代『LA-MULANA』を作った当時はMSXの実機を買い集めたりもしていなったので、ずっと触っていない分、子供の頃遊んでいたゲームのイメージが一番ふくらんでいたのかもしれないですね。
――子供の頃遊んだMSXゲームの世界観が頭の中でふくらんでいって、それを現代の環境で作ったものが『LA-MULANA』だったと。
楢村:そうですね。
楢村:さっきの裸ロムで買って来たゲームを遊んでた話もそうですけど、ルールから探るのはけっこう面白い。『LA-MULANA』も自然とそうなってると思うんですよね。ゲーム中に説明はないんですけど、遊ぶとトラップ仕掛けられているのが当たり前で、仕掛けを起動したらスっと逃げるというのがみんな自然になってる。そういうところにMSXゲームのスピリッツは生きているんじゃないかなと。
遊んでいる人を誘導する気もないゲームデザインとか、電源つけたら野っ原でひとりぼっちだとか。ああいうのが好きなんですよ。あと、ゲーム中にメッセージが多いとか、いろんなキーを使って操作させるとか、あの当時のゲームってそういうものですから。
グラフィックの面でも影響があります。『LA-MULANA』を作る以前、『ガリウス』のリメイクを海外の人がWindows版で勝手に出していたことがあって。これがグラフィックと音楽をフォルダ分けするとユーザーが選べるようになっていたんです。その外国人が作ったグラフィックセットが、僕はどれも気に入らなかったので、自分で作って出したんですよ。そのグラフィック手法が『LA-MULANA 2』まで綿々と息づいていますね。
外国人が作るグラフィックは、もともとのMSXの15の色数から色を増やしたようなテイストばっかりだったんです。『ガリウス』の“青色のレンガ”なんて本当はこの世に存在しないじゃないですか。それを色数増やしてテカテカした青いレンガにするのは違うと思って。僕はもっとグレーな石っぽい質感にしたりとか。そういうレトロテイストだけど新しい絵のゲームというのは、それが原点だったりしますね。『LA-MULANA』でも「これ何が原料だ?」っていうオブジェクトはいっぱいありますけど。
いまインディーゲームをドット絵で作ってる人で、たぶん真っ青なレンガとか誰も描かないと思うんですよ。MSXのときはあれしか色がなかったから。プレイヤーの色が決まるとそれしか選択肢がなかった。レンガを青く描く感覚を持ったインディーゲームの開発者を見ると、だいたい30代より上とか。ユウラボくん(『神巫女』『フェアルーン』などで知られるインディーゲーム開発者)とか見ると、あれは若者の絵じゃない。こんな地面の色あるわけない、とか。
――そんなMSXゲームのスピリッツを持つ『LA-MULANA 2』がパッケージ版で発売になるわけですが、BEEPさん限定のコラボパッケージを作ることになった経緯を教えてもらえますか?
丸山:前々から『LA-MULANA』のことは知っていて、丁寧なゲームを作るな、と思っていたんです。そうしたら、コナミの営業さんが「このゲームは“魔城伝説”のイメージで作ってるので、BEEPさんに合うと思います」とおすすめされたんですよ。
楢村:コナミさんが!?
丸山:営業の人がアツいんですよ。『LA-MULANA』のこともよく分かっていらっしゃって、いまMSXの『魔城伝説』や『ガリウス』の雰囲気を持ったパッケージを作れるのはBEEPだと推薦があった。
楢村:コナミでMSXのソフトにかかわっていた人が、まだ何人かいるんですよね。偉い人になっていたりするんですけど。
丸山:MSXのコナミイズムに感銘を受けて入社された方がいる、というのが嬉しかったですね。よくよく聞くと、その営業の方もBEEPのお客様だった、つながっちゃったなと。
一同:笑
丸山:そんな経緯で完成したのが、コナミのMSXゲームのパッケージを模した外箱だったと。
――パッケージ版の流通をコナミが手掛けているんですよね。これはどういう経緯なんでしょう。
取材に同席していたPLAYISMの水谷俊次氏:『LA-MULANA 2』はPLAYISMがパブリッシャーで、流通はコナミがやったら面白いかなと。
昨年の『東京ゲームショウ』もコナミブースで『LA-MULANA 2』を出展いただいて。で、楢村さんがコナミのステージイベントでステージに立つのは面白かったですよ。
僕もコナミのゲームに憧れがあったし、コナミの中でこれを評価してくれそうだ、と。BEEPさんに『魔城伝説』風のパッケージを作ってもらう話も、コナミさんに怒られるんじゃないかと思っていたら、案外怒られなくて。
丸山:コナミさんの熱量を感じましたね。
水谷:プロモーションの主旨を理解して、作品を愛していただいて。頑張って売っていただいてるんですよ。
――いい話ですね。
丸山:ありがとうコナミ、と。
この日、初めて完成したパッケージ版を手にした楢村氏。印刷されたパッケージには感慨深いものがある様子。
楢村:最近のパッケージの裏面って、画面がいくつかあったら他は但し書きみたいなのがビッシリ書いてあるじゃないですか。
※『LA-MULANA 2』のパッケージ裏面は、主人公ルミッサのイラストを大きくフィーチャーした仕様。
楢村:僕はいまだにゲームショップ行くと、パッケージの裏面も見ますよね。『LA-MULANA 2』のパッケージは贅沢ですよね。
予約特典にメモ帳をつけてるんですけど、攻略するためにはメモを書け、ということですからね。
もう一つ、セブン-イレブンのネットプリントで攻略用のマップをプリントできるようにする予定です。昔は自分たちで書いてましたからね。
(概念):僕も昔、『魔王ゴルベリアス』(コンパイル)のマップを方眼紙に「どこに何がある」と1コ1コ手書きで埋めていったことがあります。大変だったけど、自分の手で世界を切り開いている感が楽しかったですね。今考えるとヒマだったのかな……。
楢村:でも、僕らもそれやってるから、今でもマップづくりとか好きでたまらんのですよ。
一同:あー(納得の声)
楢村:今はサラっと遊ぶゲームが中心で、僕もガラケーが出てきたぐらいに「ゲームは山手線1駅で終わるぐらいじゃなきゃダメだよ」と言われたことがあって、サラっと受け流しましたけど。こういう腰を据えて攻略するゲームは少ないし、メジャーじゃないんですけど、ゲームの歴史のたかだか20~30年ぐらいでこの面白さが色褪せているとは思わないんで。これにハマる人は必ずいると思っています。
丸山:BEEPで予約特典を作る話があったときに、本家がメモ帳にサントラCDに、攻略マップまで作るという話を聞いて「これはいかんぞ」と。こういう熱量があるものを入れるケース、箱を作るにしても、ただMSXに似せただけじゃダメだ、と。これはしっかりしたもの作らなきゃな、と試行錯誤して。社内でも、これはMSXゲームのおなじみのパッケージ、横から入れる外箱だねと。おかげ様で予約の予定数は埋まりまして、ありがたいです。
――ところで、パッケージ版は海外では販売されるんですか?
水谷:まだ言えないです……。
楢村:出します。WiiWare版『LA-MULANA』のときは海外版を出す出さないと色々ありましたけど、今回に関しては出さないと。
水谷:意外な展開があるかも。
楢村:コモドール版が出ます。
LA-MULANA 2 (ラ・ムラーナ2)
本作は、「ゲームが2Dのまま進化していたらどうなっていたか」をテーマに、こだわりを持ったゲームづくりをするインディーゲーム開発チームNIGOROが開発した、広大な遺跡、難解な謎、膨大なアイテム、そして、強敵たちが織りなす遺跡探検考古学アクションアドベンチャーゲーム『LA-MULANA』の続編タイトルです。
前作『LA-MULANA』は全世界で累計50万本以上のヒットとなり、2014年にクラウドファンディングサイトKickStarterにて続編開発プロジェクトを実施。5,200 人のバッカーの皆さまより$266,670を集めた本作が、ついに家庭用ゲーム機に登場します。
探索サイドビュージャンプアクションゲームに分類されるタイトルですが、アクション性だけではなく、数々のヒントを元に謎を解くアドベンチャーゲームの要素も強い作品です。
【ゲームの特徴】
冒険者となり、広大な古代遺跡を探索
数々のヒントを元に謎を解くアドベンチャー性
行く手を阻む敵との手に汗握るアクション性
ドットで緻密に描かれた美しい世界
7つのメインウェポンと10以上のサブウェポン
遺跡探索をサポートする多種多様な60以上のアイテム
冒険家愛用タブレット”Mobile Super X 3″ にインストールできる20以上のアプリケーション
200種類以上のモンスター・登場人物を収録した図鑑機能を搭載■開発元: NIGORO
■販売元: PLAYISM
■ジャンル:遺跡探検考古学アクションアドベンチャーゲーム
■対応機種:Nintendo Switch/PlayStation®4/Xbox One(DL 版のみ)
■対応言語:日本語・中国簡体字
■発売日: 2019 年 6 月 27 日(木)
■小売希望価格: 3,980 円(税抜) / DL 版は 2,980 円(税抜)
■プレイヤー数: 1 人
■CERO: CLA-MULANA 2オフィシャルサイト
https://la-mulana.com/(C) ASTERIZM CO., LTD. Game Production Division NIGORO All Rights Reserved. Licensed to and published by Active Gaming Media Inc.
取材協力:BEEP秋葉原
https://www.beep-shop.com/[リンク]