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スマートフォンの普及により、「写真を撮る」ということが僕らの周りではより身近な行為になりました。スマホの進化にともない、スマホカメラ画質も著しい変化を遂げています。
今回、ガジェット通信編集部では『FUJIFILM XF10』(以下XF10)というコンパクトデジタルカメラに触れる機会を得ました。が、筆者は内心「もう、スマホでいいんじゃね?」と思っておりました。本当に失礼ながら。
「コレ(XF10)はボディの割にかなり大きいセンサー積んでて、カメラ内のフィルターが充実しているみたいだ。まずはこれで“インスタ映え”させなさい」
そんな編集長の指令を受けつつ、まずは『XF10』に触れてみることになりました。
※本記事は写真を多数掲載した記事となります。すべての写真が表示されない場合はこちらへ
小さい。
ボディはかなり小さく、そして軽い、というのが『XF10』の第一印象でした。
しかしながら、そこに積んでいるのは「APS-Cサイズのイメージセンサー」だというのですからことさら驚きました。
すごく乱暴な言い方をするとイメージセンサーは大きければ大きいほど画質が安定します。ぶっちゃけ、キレイな写真が撮りやすいということ。
イメージセンサーは、人間の眼でいうところの網膜にあたる部分。デジカメにおいては、レンズと並んで非常に重要な部分なのです。
『XF10』が搭載している“APS-C”サイズのセンサーは一眼レフカメラやミラーレスカメラでも使われている大きさ。これまで主流だったコンデジのセンサーは大きくても1型(13.2mm×8.8mm程度、親指の爪くらい)、多くのコンデジ、そしてスマホは1/1.7型もしくは1/2.5型(小指の爪くらい)のセンサーがほとんどでした。
しかし、『XF10』のような小さいボディに大きなイメージセンサーを積むのはこれまで非常に(本当に!)難しかったのです。今でこそコンデジにAPS-Cサイズのセンサーを積んでいる機種もいくつか存在はしていますが、このボディサイズ感はかなり稀有と言えるでしょう。
そうしたこともあり、手にした時の印象は強烈でした。
試しにちょこっと撮ってみても、その描画は歴然。拡大はもちろんのこと縮小された状態でも納得の安定描画でした。
「インスタ映えさせてみて」という無茶ぶりに応え、筆者はメイクを開始。ハロウィンが近いのでかぼちゃをイメージしたコスプレにしてみました。
ひどいもんです。しかしながら、これならばどこから見てもかぼちゃの妖精ですね。
(※メイク画像はスタッフのスマホによるものです)
『XF10』にはFUJIFILMがこれまでのカメラで培った様々なフィルターが搭載されています。今回は19種類の『アドバンストフィルター』機能を使い、どんな写真が撮れるのかを試しつつ、インスタグラムにアップするところまで紹介してみたいと思います。
と、その前にカメラの画角を標準の3:2からインスタ向けに1:1へ変更!
いざ、アキバへ。
ここからは各フィルターの種類別に『XF10』で撮影した写真を紹介していきます。
■トイカメラ
「レトロな雰囲気のあるトイカメラ風に撮影します」
周辺の光量が落ち、色味もやや変化しています。
■ポップカラー
「コントラストと彩度を強調します」
彩度が上がり、かなりメリハリのある画になりました。
■ハイキー
「全体の階調表現を明るくしコントラストを抑えます」
明るく、白飛びギリギリを狙える描画です。
■ローキー
「全体を暗く落ち着かせつつハイライト部を強調します」
こちらは暗部が強調され、明るい部分が目立つようになっています。
■魚眼
「魚眼レンズのような効果を加えます」
おなじみ魚眼! 狭い場所の方が、効果が出やすい印象でした。
■ダイナミックトーン
「ダイナミックな階調表現で幻想的な効果を加えます」
ポップカラーよりもシャドウが強調され、色味も強いハードな描画。
■HDRアート
「階調とダイナミックレンジを強調し、アート調の効果を加えます」
HDR表現の中でもより強い絵画調の描画となりました。
■ミニチュア
「ジオラマ風に上下をぼかします」
まるでフィギュアのよう。ミニチュア感あふれます。
■クロススクリーン
「光源の光を放射状に強調します」
光源やハイライトを抜き出し、放射状のエフェクトをかけてくれます。夜景で映えそう!
■リッチ&ファイン
「卓上の料理などを撮影するのに適した効果を与えます」
周辺の明るさを抑えつつ中央の彩度が程よく上がり、食べ物が美味しそうな色味になりました。
■モノクロ(近赤外風)
「赤外線カメラ風に撮影します」
モノクロの中でも近赤外風のちょっと変わった画作り。明るめでライトな印象です。
■パートカラー レッド
「赤色の色域だけを残し残りをモノクロにします」
パートカラーは説明の通り、ある一部の色だけをピックアップします。
レッドとオレンジは割と似通っているみたいですね。
■パートカラー オレンジ
「オレンジの色域だけを残し残りをモノクロにします」
■パートカラー イエロー
「黄色の色域だけを残し残りをモノクロにします」
■パートカラー グリーン
「緑の色域だけを残し残りをモノクロにします」
森の中で撮ったら、人物が石造っぽくなりそう!
■パートカラー ブルー
「青の色域だけを残し残りをモノクロにします」
空の色や看板がキレイに抜き出されますね。
■パートカラー パープル
「パープルの色域だけを残し残りをモノクロにします」
■霞除去
「霞成分を取り除きクリアに撮影します」
作例では、光の反射のある水面がクリアに描画されました。
■ソフトフォーカス
「全体にぼかしを加え柔らかな雰囲気を与えます」
かなりガーリーな印象の描画。たとえ背景がとんこつラーメンでも!
駆け足でアドバンストフィルターを紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。かなり使い出がありそうなフィルター揃いですよね。
他にもフィルムメーカーでもある富士フイルムならではの11種類の『フィルムシミュレーションモード』を備えるなど表現力は多彩。センサーやレンズ、高性能プロセッサーなどカメラとしての地力があるからこその表現力です。
インスタにアップする前にスマホに写真を転送する必要があります。まず、アプリ『FUJIFILM Camera Remote』をダウンロード。今回はBluetoothでペアリングを行い転送しました。もちろん、Wi-Fiを用いての転送にも対応しています。
スマホに転送した画像を改めてインスタにアップロード。今回はガジェット通信のアカウントにいくつかアップロードしてみました。
■instagram ガジェット通信
https://www.instagram.com/getnewsjp/ [リンク]
今や、スマホ写真でもフィルター加工はもちろん出来ますし、デジタル合成処理によりボケ味も表現できるようになりました。しかしながら、発色や描画力、手前ボケなども含めた光学的な表現についてはまだまだ専用機であるデジタルカメラに一日の長が認められます。
センサーやレンズ、専用の演算エンジンなどの物理条件はそれだけ大きいと言えるでしょう。無論、小さいカメラに大きいセンサーを入れた場合に生じる、レンズを含めた構造上の無理がこれまでありました。富士フイルム独自にチューニングしたフジノン単焦点レンズとの組み合わせで、センサーの良さを最大限に生かせる軽量・コンパクトなコンデジの誕生に結びついたのです。
冒頭、「もう、スマホでいいんじゃね?」などと思ってしまった自分の無知を恥じるほどの写真が、今回撮れたと思います。
“映える”写真の良さと携行性、利便性を備えた『XF10』、皆さんも是非体験してみて下さい。
■FUJIFILM XF10 | 富士フイルム
https://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_xf10/ [リンク]
FUJIFILM XF10
有効画素数:約2,424万画素
撮像素子:23.5mm×15.7mm(APS-Cサイズ) 正方画素CMOSセンサー 原色フィルター採用
焦点距離:f=18.5mm(35mm判換算:約28mm相当)
開放F値:F2.8
写真(ロケ撮影):二ノ宮市丸