故スティーブ・ジョブズをはじめ、シリコンバレーの起業家たちがこぞって「禅」や「マインドフルネス」を実践していることで、その波は逆輸入という形で日本にもやって来ています。



と語るのは、若くしてスターツピタットハウスという上場企業の社長まで上り詰めたのに、そのポジションをあっさりと手放して独立企業、その年に曹洞宗で出家得度した島津清彦さん。現在は、大手企業を中心に禅を取り入れたコンサルティングを行う一方で、修行を続ける禅僧という二つの顔を併せ持つ島津さんに、前回のインタビューに続いて初心者のための禅のプチ講座を開いていただきました!


▼第1回インタビュー:ビジネスの問題解決に“禅語”が良い理由

https://getnews.jp/archives/2080756



———ビジネスパーソンやアスリートに人気の「禅」は、いつ頃始まったのですか?


仏陀が坐禅して悟りを開いたのが今から2500年前なのですが、ここから始まりました。インドで生まれ、中国で育ち、日本で開花した「」は今、「ZEN」や「マインドフルネス」に変容し、世界中でブームとなっていますね。


———「禅」は国籍を超えてあらゆる人種の人に受け入れられていますが、一体「禅」とはどんなものでしょうか?


まず、禅の歴史を簡単にお話しましょう。仏陀の説く教えには四つの真理「四諦(したい)」があって、一つ目に「苦締(人生は苦しみである)」があります。二つ目に「集締(その苦しみには原因がある)」、三つ目に「滅締(苦しみは消すことができる)」、四つ目に「道締(消すには方法・道がある)」という言葉があります。



この四つ目の「道締」には、さらに八つの「八正道」という道があって、この七つ目に「正念(正しく今に集中する)」、八つ目に「正定(安定している状態)」という言葉があります。実は「マインドフルネス」と「坐禅」は、ここからきているのです。


正念=マインドフルネス

正定=坐禅



マインドフルネスから入られた方でも、好奇心が掻き立てられ、広く禅を学んでいく方は多いですね。禅には「大道無門(大きな道に門はない)」という言葉がありまして、悟りの大きなゴールがあるとしたら、どこの道から登ってもいい。つまり「マインドフルネス」からでも「坐禅」「禅語」からでも、どんな道から登ってもいいという教えがあります。例えると、富士山に登るのに、御殿場コースから行っても河口湖コースから行ってもいいですよ、ということです(笑)。



一番怖いのは、新しいことにチャレンジしようという風土やスピリットが失われること



以下、『翌日の仕事に差がつく おやすみ前の5分禅』より抜粋(文・島津清彦)


「これは絶対すごいアイデアだ」「このやり方の方がきっとうまくいくはず」と思って上司に相談したら、完全にスルーされたり全面否定されたりして、モチベーションが急降下したことはありませんか? 私にもそんな経験が何度もあります。「これは!」と思って相談しても「本当にそんなプランがうまくいくの?」「本当にそんな商品が売れるの?」と、上司からそんな切り返しをされてモチベーションは急降下。でもね、結果なんて正直、誰にだってわかりませんよ、神様じゃないんですから。とりあえず、やってみなけりゃ何も始まりません。まずはスタートして、途中何度も試行錯誤しながら最終的にうまくいけばいいわけで、最初からすべてがうまくいくとは誰だって思っていませんから。しかし「これは絶対いける」と思ったからこそ提案したわけで、そんなに否定しなくてもいいじゃないですか! すみません、少し取り乱してしまいましたね(笑)。


「大道無門」という禅語、私は大好きです。悟り(ゴール)への道のりは、人それぞれだという教え。これまでの経験を振り返っても本当にそう思います。それでは上司から否定された私はどうしたか。なんだかんだと上司を言いくるめて、自分の企画をどんどん進めました。そして結果的に一定の成果を出しました。するとどうでしょう? その企画がうまくいったら上司はせっせと外部にPRし始めました(笑)。はい、そんなものです。一番怖いのは、新しいことにチャレンジしようという風土やスピリットが失われること。やり方は人それぞれ、最後までやればいいんです。


◆ ◆ ◆


いかがでしたか? ビジネスに役立つ禅語をもっと知りたくなったは、島津さんの著書『翌日の仕事に差がつく おやすみ前の5分禅』をどうぞ!




『翌日の仕事に差がつく おやすみ前の5分禅』


著者:島津清彦

定価:本体917円+税

発行:天夢人/発売:山と溪谷社



PROFILE

島津清彦(しまづ きよひこ)

株式会社シマーズ代表取締役。1965年、東京都生まれ。元スターツピタットハウス代表取締役。元ソニー不動産取締役。 東日本大震災での被災を機に上場企業の社長というキャリアを捨て、2012年に独立起業。 その後、多くの世界一流のリーダーが禅にたどり着くことを知り、自らも出家得度して仏門入り。 経営者と禅僧という二つの顔を持ちながら、現在は官公庁、大手企業を中心に禅を生かしたコンサルティングや研修、講演、坐禅指導などを行う。 NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」、BSジャパン「日経プラス10」、『日経ビジネス』、『朝日新聞』、『毎日新聞』、『AERA』など、メディアにも多数出演。著書に『仕事に活きる禅の言葉』(サンマーク出版)がある。



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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 「禅とマインドフルネスの関係性」上場企業社長から禅僧に転身した島津先生に教えてもらった!