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日本のメディアでも幾度となく取り上げられている、アメリカに実在する幽霊屋敷“ウィンチェスターミステリーハウス”。ウィンチェスター銃を開発し、莫大な財産を築いたウィンチェスター一族の未亡人サラが、銃で死んだ人々の呪いを恐れ、生涯にわたって奇怪な増改築を続けたという不思議なお屋敷です。
そんな“ウィンチェスターミステリーハウス”が映画化され、『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』として6/29よりいよいよ日本公開。サラ・ウィンチェスターをアカデミー賞女優ヘレン・ミレンが演じるという豪華キャストも話題になっています。
監督を務めるのは、傑作SF『プリデスティネーション』で観客を圧倒させ、『ソウ』シリーズ最新作『ジグソウ:ソウ・レガシー』の監督にも大抜擢されたスピエリッグ兄弟。
実際に屋敷を訪れ、その存在に魅了されたという監督が、今作へのこだわりを語ってくれました。
――実際の“ウィンチェスターミステリーハウス”にはどんな印象を持ちましたか。
マイケル:脚本を書く前に何度か足を運びました。屋敷はいまは観光地として有名になっています。僕が屋敷を訪れて抱いた印象は「怖い」というより「美しい」でしたね。奇妙ではありましたけど。屋敷を建てたサラという人は頭のいい人で、とても面白い建築様式を取り入れていて、それが素晴らしかったんですね。ただ、夜にも行ったことがありますが、迷路のような廊下は少しドキドキしましたね。
――今作では屋敷の増改築を続けたサラの精神状態もキーになっていますね。
マイケル:屋敷を実際に見たとき、屋敷そのものにも圧倒されましたけど、サラ自身とその歴史にも圧倒されたんです。サラのリアルな姿を映画の中で描こうと思いました。
ピーター:実際に彼女の近しい人たちもサラの精神状態を危惧していたようです。どこにも続かない階段とか、開けても何もないドアだとか、そんな不思議な増築を、霊にインスピレーションを受けて続けていたわけですからね。なので彼女の精神状態はもちろん映画の中でもキーになっています。
――サラは実在の人物ですが、映画の中でのキャラクターはどう作っていったのでしょうか。
マイケル:サラについて調べた資料をヘレンに渡して、サラという人物に対する自分たちの解釈をヘレンに伝え、ヘレンからもフィードバックをもらいました。そうやって意見交換をしながらキャラクターを作っていったんです。そしてウィンチェスターハウスをよく知る案内人のような方がいて、その人にも意見をもらっていましたね。
――ヘレン・ミレンは今回が初めてのホラー映画への出演ですね。
ピーター:実は僕たちはあまりホラー映画だと思っていないんです。ホラーと言うか、“スリラー”とは言っていましたね。実話を基にしたスリラーで、ドラマチックなストーリーに焦点を当てている、という感じでしょうか。サラに関しても、“夫と子供を亡くして悲しみに暮れている女性”、として考えていました。
マイケル:ヘレンは人としても役者としても本当に素晴らしい人です。一番苦労したのは、ヘレンが自分でスタントをやろうとするんですよね。「私できるわよ」と言うんですが、「スタントマンに任せるから」と止めるのが大変でしたね(笑)。 彼女が出てくれることになったのは、大きなターニングポイントでした。おかげで資金集めもスムーズに進みましたし、実はヘレンは僕たちの『プリデスティネーション』のファンだったらしくて、サラ・スヌークの出演(サラの姪・マリソン役)も彼女の希望だったんですよ。
――今作に影響を与えたホラー映画はありますか?
ピーター:たくさんありますよ! まずは『死霊のはらわた』でしょう、それに実話の幽霊屋敷ホラーならジェームズ・ワンの『死霊館』、あとは大好きな恐怖映画の『エクソシスト』、そして恐ろしい幽霊ホテルを描いた『シャイニング』ですね。
――兄弟で監督をする役割分担はどうしているんでしょうか?
マイケル:これまで5本作品を作ってきましたが、同じ家で育ち同じ作品に影響を受けてきたからか、意見の相違が起こることってないんです。
ふたりとも本当に慎重に作品を作っていくタイプですね。ストーリーボードをきっちりつくって、リハーサルも何回も重ねて、きっちり計画通りにやっていくんです。こういう映画の場合、時間短縮の意味も含めて2班に分かれて撮影をするんですが、毎回スムーズに進みますよ!
――正直なところ、サラが恐れていた亡霊の存在を信じていますか?
マイケル:実は僕自身は幽霊というものに関して懐疑的なんです。ウィンチェスターハウスにいた幽霊の正体っていうのは誰も分かっていないんですよね。“ウィンチェスター銃で殺された人”であるというのは分かっているけれども、ネイティブアメリカンという説もあるし兵士だという説もある。いろんな予測は立てられるけども、正体はわからないですよね。
僕は幽霊は見なかったんですけど、実際の屋敷は行くたびに変な空気を感じる、というのはありましたね。外の気温にかかわらず一階が常に寒かったり、そういう違和感はありました。
――映画の中の屋敷はどうやって再現したのでしょうか。
ピーター:実際の屋敷を訪れて、寸法を測って正確なデータを集め、セットを作りました。屋敷のファサード(正面)も本物のように再現しています。ただ、一部地震で倒壊して現存しない部屋があるので、そういった部分は予測に基づいて作っていきました。屋敷内に狭い曲がり階段があるのですが、あそこも寸法通りつくったので、役者や撮影スタッフやスタントマンを全員詰め込まなければならなかったので大変でしたね(笑)。
――実際の屋敷も、撮影の一部で使ったそうですね。
マイケル:ええ。撮影のときは、撮影隊ごとに案内人をつけてもらいました。本当に迷路のような作りなので、一歩間違えると本当に迷ってしまうんですよ。夜の撮影は本当に不気味でしたね。とても美しい屋敷なんですけどね。
ちなみに、僕は見なかったけれど何人かのスタッフは「(幽霊を)見た」と言っていましたよ! 地下室とか屋根裏で見る場合が多いみたい。実際に見たかったら、ぜひ現地へ行ってみてください(笑)。
『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』
2018年6月29日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
【監督】マイケル・スピエリッグ&ピーター・スピエリッグ
【出演】ヘレン・ミレン/ジェイソン・クラーク/セーラ・スヌーク
【提供】ポニーキャニオン/REGENTS
【配給】REGENTS/ポニーキャニオン
【宣伝】REGENTS
【字幕翻訳】栗原とみ子
2018/オーストラリア、アメリカ/英語/99分スコープ/5.1ch/原題:Winchester/G
【公式サイト】winchesterhouse.jp
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