全米で空前の大ヒット、全世界の映画業界を席巻したマーベル・スタジオ製作の超話題作『ブラックパンサー』が、7月4日(水)にMovieNEXで発売、現在先行デジタル配信開始となります。


先日解禁となった本編映像7分では、ロケ地となった韓国・釜山でのカッコよすぎるカーチェイスシーンを観る事が出来ますが、このアクション撮影に大きく関わっているのがセカンドユニット監督のダリン・プレスコット氏。これまで、『ベイビー・ドライバー』『ジョン・ウィック』『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』など数々のヒット作品に携わっています。


【動画】『ブラックパンサー』で最もテンションのアガる本編映像7分解禁!

https://www.youtube.com/watch?v=zloULzhBe_U [リンク]


今回はそんなダリン氏にインタビューを敢行! 『ブラックパンサー』の魅力や、あのシーンの裏話などを伺いました。


――『ブラックパンサー』は世界中で大ヒットを記録しましたが、ダリンさんはこれほどのヒットを予想していましたか?また、ダリンさんが思うヒットの要因は何ですか?


ダリン氏:私自身も含めて、こんな規模の成功は誰もが予想していませんでしたよ。ですからそれが、アメリカ国内はもとより、世界中であれほど驚異的なヒットを記録したのは、月並みなフレーズとは言え、まさしく”嬉しいサプライズ”といった感じで、この映画に携わった人々は皆、心底興奮しています。


ヒットの要因に関しては、まず何にも増して、ライアン・クーグラー監督のストーリーテラーとしての並外れた才能に依るところが大きいと思いますね。彼は本作で、マーベル・シネマティック・ユニバースを新たな次元に押し上げたと言っても過言ではありません。また、とりわけアメリカを中心とした西欧社会が現在抱えている様々な課題や事象をテーマに取り上げているという点で、非常にタイムリーな映画だというのも、観客の共感を呼んだ理由の1つだと思います。そしてもちろん、素晴らしいキャラクターたちや、これまで目にしたことのない斬新でスタイリッシュなビジュアルも、世界中の観客を魅了した要素なのではないでしょうか。


――私は『ブラックパンサー』の撮影後にロケ地となった釜山に取材に行ったのですが、釜山が選ばれた決め手とはどんな事でしょうか?


ダリン氏:私がこの作品に参加した時点で、監督はすでに釜山でロケ撮影をすることに決めていたんです。最初にライアンからそのアイデアを聞かされた時は、「チェイスシーンを撮るのに、なぜわざわざそんな遠くまで行く必要があるんだ?」と正直首を傾げたのですが(笑)、監督と連れ立って実際に現地を訪れ、あちこち見て歩きながらロケハンをした際、どうしてこの街で撮りたいと思ったのか、また、どこをどう生かして、どういったシーンが撮りたいのかといった監督の意図が明確に理解できて、たちまち納得が行きました。


釜山はとても美しい街であるというだけでなく、これまで訪れた世界中のどの国や街ともまったく違った、ユニークな趣があります。坂道の多い港町という点で、サンフランシスコを彷彿とさせる部分もありますが、眩いネオン街から海岸沿いのビーチ、人でごった返す魚市場(*チャガルチ市場)からライトアップによって次々と色を変える巨大な橋まで、とにかくスクリーン映えするアイコニックな景観で埋めつくされているんです。そのうえ、光や色彩、街全体に漂う空気感といったものが、この映画のトーンと見事にマッチしていました。あのシーンのロケ地として、釜山は完璧なチョイスだったと思いますよ。


――釜山でのカーチェイス、バトルシーンは映画の中で最もテンションが上がるシーンになっていますね。


ダリン氏:私が参加した段階で、監督の頭の中ではあの一連のチェイス・シークエンスをどこでどう撮るか、そしてそれが最終的にどんなビジュアルになるのかといったように、かなり具体的な構想がもう出来上がっていたんです。でも協調性を重視する根っからのコラボレーターである彼は、私が思いついたアイデアの数々にも積極的に耳を傾けてくれました。さらには、私の専門分野がカーチェイスに特化したアクションということで、私がこれまで培ってきた知識や経験を存分に活かせるようサポートしてくれるばかりか、自らも私や他のスタッフから学ぼうといった実に謙虚で前向きな姿勢で、つくづく感心させられましたよ。明確なヴィジョンがありながらも、オープンに周りの意見に耳を貸し、取り入れようとするという意味で、本当に素晴らしい監督です。


釜山ロケにあたっては、撮入前に彼と何度も現地に足を運びました。「ここを使ってこんな風に撮ろう」とか色々なパターンを想定して本国アメリカに戻ったはいいが、その後、何らかの理由でやはりこれは無理そうだ、ということになって、また釜山に飛んでは代案を考える、といった繰り返しでしたね。何度行ったり来たりしたか分からないくらいですよ(笑)。そうやってあれこれアイデアを練るのは、創造性が刺激される楽しいプロセスでしたけどね。




――「ブラックパンサー」の釜山ロケを振り返って、意外だった良い点と、最も印象的だった場所を教えて下さい。


ダリン氏:地元の人たちはみんな本当に親切で、温かく迎えて下さいましたし、現地スタッフも実に優秀で、文句などひとつたりともありません。どれだけ無茶なリクエストを投げかけようが、全て二つ返事で快諾してくれるといった、市をあげての協力体制にも感動させられましたね。マリーン・シティのビーチやチャガルチ市場といった人出も交通量も非常に多い観光スポットや、幹線である広安大橋を全面通行止めにしての撮影など、よくもあそこまでやらせてくれたな、と今更ながら驚いていますよ(笑)。


チャガルチ市場は、魚市場と言っても皆さんが想像しているよりはるかにスケールが大きい市場なんです。そもそも釜山は、アジアでも有数の大漁港ですから、3階建てくらいのビルが何軒かあるといったレベルではなく、何百軒という店舗がズラーッと建ち並んでいて、地元民や観光客で常にごった返している場所なんです。そんなところであれだけ大掛かりな撮影をさせてもらえたこと自体、普通ならありえません。ただその反面と言っては何ですが、最も手を焼いたのが、連日大挙して詰めかける見物客の整理(笑)。大げさではなく、どこに行こうが1000人規模の見物客が集まってくるものですから、群衆整理の任務を託された助監督は、さぞや大変だったと思いますよ(笑)。自分たちが暮らす地元でハリウッド映画の撮影が行われるとなれば、スターをひと目見ようと駆けつけたくなるのは当然とは言え、あの尋常じゃない人だかりには、ちょっと圧倒されましたね。まるでビートルズが初めてやって来た時のような騒ぎでしたよ。


ただまぁ、猛スピードで走る車の屋根にスタントマンが乗っているのを見れば、興味がなくとも何事かと思って寄ってきちゃいますよね(笑)。あのシーンの撮影風景を見ていた人たちは皆、目を丸くしていました。


――MovieNEXで繰り返し観て欲しい、渾身のシーンはどこですか? ブルーレイやDVDを一時停止してでも、ぜひ改めてチェックしてほしいアクションシーンを教えてください!


ダリン氏:自分が携わった映画を、DVDやブルーレイで見る際には、「最も厳しい批評家は自分自身」とよく言うように、ついつい批判的な目線で見てしまうんですよ。「ここはもう少し工夫のしようがあったんじゃないか」「このシーンは別の撮り方のほうが良かったかも」なんてブツブツ言いながらね(笑)。そんなわけで私の場合は、ちょっとネガティブな鑑賞体験になりがちなのですが、ファンの皆さんにはただ純粋に、この素晴らしい映画を改めて楽しんでもらいたいですね。先ほどお話した通り、様々な要素が盛り込まれた多層的で複雑、かつディテール満載の内容だという点で、何度も繰り返し観るのに相応しい……と言うか、何度も繰り返し観るべき映画だと思いますし、この映画のすべてを味わい尽くすためにも、リピート鑑賞をお勧めします。


――撮影を思い返して、一番大変だった事は何ですか?


ダリン氏:釜山でのカーチェイスの撮影にまつわる裏話を1つだけ紹介しましょう。ナキアが運転するセダンの屋根にオコエが立った状態で、クロウが乗るSUVを追いかけるシーンがあります。道路というよりは路地に近い、かなり狭い道だというだけでも困難な撮影だったところに加えて、一度通しで撮った後、フッテージを見返したスタント・チームが、「車が勢いよく跳ね上がるように、ランプの傾斜角度をもっと高くしよう」なんて言い出しまして……(笑)。


話し合いの末、その方がよりスリリングでダイナミックなショットになるだろうということで、実際に試してみることにしたわけですが、傾斜の角度が高過ぎたのか、スタントドライバーが運転するセダンが垂直に立つほどウィリーしてしまったんです。一瞬空を飛ぶような形で跳ね上がり、着地した際、その衝撃でリアオーバーハングと燃料タンクが破損してしまい、ガソリンがドボドボと漏れ出しました。


「これはヤバイ!」と焦る私をよそ目にそのまま走り続け、奇跡的にシーンを撮り終えることができましたが、今考えたら、あの状態でよくラストまで完走できたと思いますよ。車の外側と内部に複数のカメラを設置して撮影したのですが、本編の完成シーンでは、ドライバーの視点をメインで採用しているため、猛スピードで走る車の窓越しに流れ去っていく風景しか目に映らないとは思いますが、その裏にはそんなヒヤリとするエピソードがあったというわけです。でもさらに大変だったのは、ガソリンを撒き散らしながら走り続けたせいでベタベタになった1km近い路面の原状回復(笑)。車はおろか、人が歩くことさえ出来ない酷い状態でしたからね。釜山中を駆けずり回り、猫トイレ用の砂を4,000袋ほどかき集めた後、現場スタッフ総動員で道に撒いて歩くという、骨の折れる作業でしたよ。そんな裏話を知った上であのシーンを見ると、また違った楽しみがあるかもしれませんね(笑)。


【関連記事】『ブラックパンサー』の激熱アクションシーンは釜山ロケ!:写真レポート

http://getnews.jp/archives/2018116 [リンク]



7月4日(水) 発売

『ブラックパンサー MovieNEX』/4,000円+税

『ブラックパンサー 4K UHD MovieNEX』/7,800円+税

『ブラックパンサー 4K UHD MovieNEX プレミアム BOX(数量限定)』/14,000円+税

6月6日(水) 先行デジタル配信開始


https://marvel.disney.co.jp/movie/blackpanther.html


(C)2018 MARVEL


―― 表現する人、つくる人応援メディア 『ガジェット通信(GetNews)』
情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 『ブラックパンサー』激熱アクションの立役者に聞く裏話「車がウィリーしてガソリンが漏れ、現状復帰の為“猫砂”4,000袋を使ったよ(笑)」