国内外で活躍する現役コスプレイヤーの麗華さん、五木あきらさん、KANAME☆さんの3人によって設立されたコスプレプロダクション“12COMPANY”の本格始動が2018年3月20日に発表されました。


同社には、様々な作品の公式コスプレイヤーやイベント出演、雑誌や商品モデル、衣装製作・監修などで長年活躍してきた3人のほか、うらまるさん、あんにゅい豆腐さん、せんじさん、まめだいふくさん、ひのきおさん、えい梨さんの人気コスプレイヤー6人が所属(2018年3月現在)。


9人合わせた『Twitter』や『Facebook』などのSNSのフォロワーは述べ120万超となっており、コスプレの持つ本来の趣味やファンアートとしての側面、世界と日本での違いを理解した運営を強みに、企業のコスプレイヤーを用いた作品や商品プロモーション活動を手伝うため設立しました。


同社の社長を務め、世界42か国以上のコンベンションに出演し、コスプレの世界大会では審査員も担当する麗華さんに、設立の経緯と“プロコスプレイヤー”とは何なのかをお聞きしました。


3人がそろったから立ち上げるしかないと思いました



ーー会社は3人からのスタートだったと聞きましたが?


麗華 五木あきらちゃん、KANAME☆さんとは元々、知り合いだったんですよ。五木あきらちゃんが、「自分達の事務所を作りたいね」と言ったことがきっかけでした。海外のコスプレイベントに何度か一緒に出て、彼女のコスプレに取り組む姿勢を見ていて、いいなと思っていたので「うん、あきらちゃんと一緒にやれたらいいね」と答えたら、「麗華さんが社長やってくれたら超嬉しいんだけどなぁ」と言ってくれて。


私もずっとコスプレ業界にいて、個人のコスプレイヤーと企業のマッチングの難しさを見てきて「もっとコスプレの可能性を広げたい」と思っていたので、やってみたい気持ちが強かったです。そこで、三本の矢の逸話がありますから、もう1人、それも男性のコスプレイヤーが必要だと考えて、志が似ていて一緒にやることで広がりそうなKANAME☆さんを誘いました。「その2人がやるって決めたならならやるでしょ!」と即答してくれたので、「3人そろったからやるか!」と。そこから立ち上げるまで3か月弱と早かったですね。


これまでお仕事でご一緒させて頂いた企業の方々にも相談して、サポートも頂きながら2017年12月に設立しました。会社の名前は「コスプレイヤーとしてどんな色にもなれるぞ」という意味です。「鉄は熱いうちに打て」の精神で、3人集まった時の勢いを大切にしたので立ち上げられたのだと思います。


ーー個人で感じたお仕事の限界とはなんだったのでしょうか?



麗華 どんなに良い子でも個人だと、企業としては仕事を頼むのにリスクがあるんです。私がクライアントの方から聞いた話ですが、大きなイベントのコンパニオンを個人のコスプレイヤーに頼んだものの、集合時間に家で寝ていたことがあったそうです。衣装はその子が持っていて、挙げ句の果てに「遅刻したから恥ずかしくて行きたくありませんって言われた」とか。


企業がそういうことを一度でも経験したら、もう個人に頼まなくなりますよね。当日来なかったとしても、責任を取るのはその子を選んだ企業になってしまいますから。それが会社同士の契約であれば、事務所に電話して「今すぐ代理のコスプレイヤーをよこして」とも言えるじゃないですか。現状、コスプレイヤーが個人として受けられる仕事はもちろんありますけど、企業としては直接会って「この子大丈夫そうだな」という見極めから段階を踏んでいく必要があります。なので、大きな案件であるほど個人には頼みづらい傾向があります。


それと企業は知名度のあるコスプレイヤーに依頼しがちですが、こちらも会社であれば「その作品のキャラクターなら、こちらの子のほうが合うと思います」と提案することができます。まだスポットライトが当たっていないだけで、ポテンシャルを持った子はいますから。合っているということが作品のファンに響くための大前提で、結果として「紹介してくれた子がとても合っていて、評判良かったよ」となればその子の評価にもなり、良いマッチングができたと言えますよね。


これが個人に来た依頼だと「私はそのキャラクターに合わないと思うので、他の子を紹介します」とはならないじゃないですか。その子がやらなければそこで止まるので、コスプレ業界としてもチャンスロスだと思います。


タレントを目指してはいません。あくまでプロフェッショナルなコスプレイヤーであるべき



ーー現状、それだけコスプレイヤーとしての仕事が増えているのでしょうか?


麗華 一般の方とコスプレイヤーが、『Twitter』のような同じSNSツールを使うようになって仕事が増えてきたと感じています。数年前までは、コスプレイヤーの『Twitter』のフォロワーが何万人もいることはなかったので、見ようとしなければ見ることがなかったコスプレ写真が今は誰かのリツイートでタイムラインに流れるようになり、池袋ハロウィンのような街でのコスプレイベントも増えて、コスプレが身近に感じられるようになってきました。


今はソーシャルゲーム全盛の時代で、新作ゲームが多く出ていますので、そのプロモーションの一環で公式コスプレイヤーの仕事も増えています。ヒットするか未知数の新作ゲームだと知名度の高いコスプレイヤーに頼むことで、「あのコスプレイヤーがやっているキャラクターってどのゲームだろう?」と周知を期待できますから。


また、五木あきらちゃんが昨年クリスマスにサンタクロースの衣装をプロデュースしましたよね。彼女は女子が可愛く見える着こなしを考えてコスプレをしていますから、そういった点が評価されてオファーが来たのだと思います。コスプレイヤーは衣装のディティールを追究しますから、衣装デザインの仕事も依頼されるようになってきました。


ーープロダクション所属であれば、いわゆるプロのコスプレイヤーだと思いますが、元来の趣味であるコスプレとはどう違うのでしょうか?


麗華 プロにも色々な定義がありますけど、弊社では「プロフェッショナルのコスプレイヤー」という意味で捉えています。コスプレでお金を稼いでいるからプロではなく、プロフェッショナルのコスプレができているから仕事の依頼が来て職業にできているわけです。なので、弊社のメンバーは基本的にはタレントを目指していません。


上3人(麗華さん、五木あきらさん、KANAME☆さん)がそうですが、コスプレイヤーとしていかにクオリティーを高められるかが全て。だから別にトークが上手くなくてもいいです(笑)。クライアントから頂いたコスプレの案件を、どれだけ自分の中に落とし込んでキャラクターに寄せられるかが大事です。「○○さんは何着ても可愛いではなく、このキャラクターのコスプレしているこの子はすごく雰囲気合っている」と注目されることが望ましいですね。


作品のキャラクターに寄せられる技術がコスプレイヤーの強みです



ーー企業が期待するコスプレイヤーだからこその強みは何でしょうか?


麗華 「キャラクターに自分を寄せられる」と「狙った層に訴求できる」だと思います。例えばメイクであれば、可愛い女の子のキャラだけど、平安貴族のような点しかない丸眉毛だったとしますよね。コスプレイヤーであれば、キャラクターの絵がそれであるなら「今日の仕事のために眉毛剃って丸描いてきます!」となるぐらい、キャラクターに寄せる意識が強いと思います。


ウィッグと衣装でも、「イラストを見ると、髪の毛の流れがこっち向きのほうがキャラクターに近いと思うんです」といったような提案ができますから。それが総じて全体の見映えの良さにもつながります。自分のファンに向けてではなく、作品のファンにいかに納得して頂くかなので、キャラクターの本来のイメージを崩さないことが大切になってきますから。有名なコスプレイヤーであっても趣味でやって来た子がほとんどじゃないですか。やっぱり作品の版元からの依頼は嬉しいですからモチベーションが高いです。


アニメやゲームが好きな人達への訴求力でも、コスプレイヤーのほとんどがアニメやゲームが大好きでコスプレをしていて、SNSで好きなものが近いフォロワーと繋がっているわけですよね。だからそのコスプレイヤーに好意を持っている人達からすれば、お仕事で頂いた作品であっても、その子が普段から見たり遊んだりしている姿を見ているので「すごく面白いよ」という言葉には説得力があると思います。それこそ、友達に勧められる感覚に近いのかもしれません。


たった1枚の立ち絵に肉付けできるコスプレイヤーに弊社で活躍して欲しい



ーー現在は始まりの3人以外に6人の所属コスプレイヤーがいますが、その選考基準はどのようなものでしょうか?


麗華 そこも自分達3人の主観ではなく、コスプレイヤーに詳しい人達に「今はどういうタイプの子が評価されているのかを」を聞いたうえで決めました。特に女性のコスプレイヤーを選ぶ時は、男性の意見の方が重要ですから。今いる初期メンバーはこちらから声をかけさせて頂いた、一緒に頑張っていこうと思える子達ですね。現在もメンバーは募集しております。


私達ベテランの3人がいますから、コスプレのクオリティーコントロールはいくらでもしてあげられるので、弊社でご活躍頂くのであれば、コスプレが好きという気持ちが第一にある方に来て欲しいですね。頂くお仕事はメジャー作品ばかりではありません。まだキャラクターの立ち絵しかないような案件を頂くこともありますから。自分を売るためのプロモーションの気持ちが強すぎると、一枚の絵に肉付けしてコスプレをすることは難しいと思うんですよね。


ーー会社として今後どういったコスプレの仕事をしていきたいとお考えですか?


麗華 私の場合、海外で新しく出るゲームの公式コスプレイヤーに決まった際、作品に登場するキャラクターの原案を考えていいと言われたことがあります。そこまでコスプレイヤーと作品がミックスできたらありがたいですよね。


版元からお仕事を頂けただけで嬉しいですが、現状は公式コスプレイヤーであっても、ステージでポーズを取っただけということが多いじゃないですか。コスプレイヤーの発信力を活かしたコラボ企画をもっとできるように弊社も頑張っていけたらなと思います。


最後に、社長の麗華さんも含めた“12COMPANY”に所属する9人のコスプレイヤーを紹介します。


麗華(@reika2011)



これまでアジア、ヨーロッパ、北米、南米など述べ42か国以上の国に招致され、年間24回ほど海外コンベンションなどに出演。メイクやウィッグ、衣装製作などコスプレに関するワークショップの講師としても活動しており、コスプレの世界大会では審査員も担当する。国内では企業の衣装製作・監修なども行い、イベントステージにも多数出演している。


五木あきら(@itsuki_akira)



様々な作品の公式コスプレイヤーとして活動し、これまで世界10か国以上の大規模イベントに招致されている。また、コスプレイヤー(表現者)としての視点を活かし、TV出演や雑誌のグラビア撮影、商品モデル、さらには衣装デザイン監修など活動範囲を広げている。


KANAME☆(@knm0q0)



アニメやゲームの公式コスプレイヤーとして活動。着用モデルだけでなく衣装の制作や監修を担当する事も。世界に知られる日本の著名な男性コスプレイヤーとして海外の様々なイベントへ招致され、アンバサダーやコスプレ大会の審査員も務めている。


うらまる(@uramaru_y)



福岡出身。コスプレ歴はまだ短いが、撮影会や企業モデルなど広く活躍している。2017年11月に初めて東京の撮影会に参加したことをきっかけに、東京でも認知度が高まる。色んな自分を知りたい思いから、作品のキャラクターだけでなくオリジナルコスプレにもどんどん挑戦をしている。エンゲージメント率の高さにも定評がある。趣味はTwitter、ひきこもること。


あんにゅい豆腐(@p_cos4)



日本一KAWAIIを発信できるコスプレイヤーコンテスト『リゼカップ』でU20賞を受賞。公式コスプレイヤーや商品モデルなどで活躍している。コスプレと可愛いものが大好きで、特技はコーラ当て(利きコーラ)。


せんじ(@Sen_cos00)



様々な媒体のモデルや公式コスプレイヤーとして活躍。男装コスプレも得意としており、女性キャラクターだけでなく男性キャラクターにも対応できる。イラストや服のデザインも手がける。趣味はゲーム、映画・音楽鑑賞。


まめだいふく(@pipipoyon06)



作品のキャラクターだけでなく、ポートレートモデルやオリジナルコスプレが支持され、フォロワーが急増。独特の世界観を醸し出せる写真はまめだいふくの真骨頂。


ひのきお(@hinokio_q)



コスプレイヤーとして様々なイベントに出演。また海外のイベントへの参加や、自主企画のイベント、オフ会など積極的に開催している。趣味は人と話すこと、お酒を飲むこと、アニメを見ること。英語が話せる。


えい梨(@kaorokuri)



友達とコスプレを楽しみたい思いからコスプレを始める。クオリティーの高い写真が多くのフォロワーに支持されている。趣味はイラストを描くことで、イラストレーター“六理”としても活動している。


<12COMPANY公式サイト>

http://12company.co.jp/


現在はコスプレイヤーやクリエイター(フォトグラファー、衣装・造形、イラストレーター)として所属(登録)してくれるメンバーを募集中。それぞれの案件によって仕事の依頼をするだけでなく、事務所としても創作活動や表現活動を積極的にサポートしていくそうです。


画像提供:12COMPANY


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(執筆者: 日本コスプレ通信) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか


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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 人気コスプレイヤー3人から始まったコスプレプロダクション“12COMPANY” 社長の麗華が語る“プロコスプレイヤー”の定義