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エコや健康のことを考えた体力づくりのために、今自転車人気が最高潮なわけですが、気をつけたいのが自転車の防犯意識の向上。
最近では、ファッション性や操作のしやすさ、スピード、軽さなどを兼ね備える“高級自転車”が人気ですが、このような自転車の盗難被害も年々増え、10年前のおよそ5倍の自転車盗難事件が続発しています。
このような高級自転車は、頑丈なワイヤ―錠を付けていたとしても、専用工具で簡単に断ち切られるケースもあるそう。車体自体を分解して、ネットオークションで海外にまで売りさばかれた例もあったと言います。
「駅までちょっと遠いなぁ~」と魔がさして拝借してしまうという犯行は減り、利益を得るための犯行が横行しているようです。すべては換金目的。最近では、駐輪場からだけでなく、自宅の敷地から盗まれることが増えてきてもいます。以下はその関連記事です。
大阪府警が「ビアンキ」など高級自転車専門の窃盗団を逮捕 自転車買い取り店に売りさばく
高級自転車を狙って盗みを繰り返したとして、大阪府警大正署などは11月14日、窃盗容疑で府内の建設作業員の男(22)と無職の男(19)を逮捕・送検し、29件(総額約466万円相当)の被害を裏付けて捜査を終えたと発表した。「生活費がほしかった」と容疑を認めているという。
逮捕・送検容疑は平成28年8月上旬、大阪市内の会社敷地内に止まっていた無施錠のロードバイク1台(時価約70万円相当)を盗むなど、府内や兵庫県で自転車などを繰り返し盗んだとしている。
同署によると、建設作業員の男は自転車好きで、イタリアのブランド「ビアンキ」などの高級自転車ばかりを狙い、盗んだ品は自転車買い取り店に売りさばいていたという。
(2017/11/15 15:00 産経WESTより引用)
こちらの記事で取り上げられているのは、自転車に強い関心があり、「サドルが……」「フレームが……」と趣味として楽しんでいる方々の高級自転車。我々庶民にはあまり関係のないことものですね。
私たちの自転車は、自転車屋さんで気軽に代える“生活の足”としての欠かせないアイテム。高級自転車ばかりが狙われていると言われていますが、とんでもない誤解です。
自転車窃盗を行う犯罪者たちの眼は、私たちのその大切な“生活の足”にも向けられているんです。
ここに、とあるマンションの監視カメラが捉えた窃盗手口を克明に記録した画像があります。
[写真] 最近の防犯カメラはすごい性能
「普通の自転車に乗っている私には全然関係ないこと」なんて思っているあな! ここで、防犯と犯罪手口を知るライターとして、私は断言します。あなたのその自転車、ちゃんと価値があるんです!
これは今年(2018年)の年明けに自転車専門窃盗団の犯行を映したものです。
ちょっと古くても、サビが浮いていたとしても、子供用の自転車だったとしても、折り畳み自転車でも、東南アジアではかなり高額で取引されます!
窃盗団は、まず朝駆けでやってきます。深夜に行動起こすと、非常に怪しまれるし、警察がパトロールで目を光らせているのでトラックに自転車を積み込んでいるところを発見されると職質を受けてしまうからです。
早朝であれば、朝早くから仕事をはじめる廃品回収業者に見えるからなんですね。
時刻は、朝7時。コワモテ風とサラリーマン風のふたりの男と怪しさのかけらも感じさせない女ひとりが、マンションの駐輪場にやってきました。
彼らは、新しそうな自転車を数台物色します。
目を凝らしながらチェックするその視線は真剣。
何かを話しはじめ、狙いを定めた自転車を駐輪場の出口付近に移動させます。
そこには、通勤や通学で自転車を使うマンション住人が当然のようにやってきます。
どうするのかと思いきや、平然と会釈。朝の挨拶をしていました。住人は特に怪しがらずに、自転車に乗って駐輪場を去ります。
さらに、長年ここに住んでいる住人の中年女性が、何事かと話しかけているところも確認できました。後日女性に聞いたところ、「マンション側から依頼をもらって、いらなくなった自転車を回収しにきました」と語っていたようです。
コワモテ風が駐輪場入り口、自転車を集めた場所にトラックをつけます。
その後に積み込み。物色から積み込み、トラックが見えなくなるまでその間、わずか5分。数日前から、この駐輪場に置かれている自転車を下見していたと思われます。
4分割された赤枠のカメラ画像を見てください。目ぼしい自転車がほとんどなくなっています。
[写真] もぬけの殻
もちろんこの動画は、犯人逮捕につながる所轄の警察署に提出されました。ここまでしっかりと犯行が映し出されていれば、逮捕までは時間の問題でしょう。
日本の自転車の性能はかなりレベルが高く、人気が絶大です。
あなたが盗られた自転車は窃盗専門の業者を通じて、防犯効果のない簡易な鍵を取り除かれ、車体番号などを削り取られ、少しでも多く積めるように買い物カゴまで外されて、コンテナで海を渡ります。
高級自転車が部品目当てなどのケースがあるのに対し、これらの自転車はベルやタイヤ、サドル、ハンドルなど個別に解体されることもなく、すぐに実走できる自転車として取引されるのです。
最近は、放置自転車などを簡単に再生してしまう法人なども急増しています。あなたはこの意味がわかりますか?
決して安全ではなくなってしまった日本で自分の自転車を守るには、ママチャリであってもその場の柱などに頑丈なチェーンで自転車を固定しておいたり、安全な屋内に収納してしまうなどの自己防衛策を取る必要があるでしょう。
(C)写真AC
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(執筆者: 丸野裕行) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか