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みなさんは、今、音楽リズムゲーム(音ゲー)のシーンがとっても熱いことを知っていますか? アーケード、家庭用機、スマホと、さまざまなプラットフォームでたくさんのタイトルがリリースされていて、近年は、音ゲーのサウンド・クリエイターたちが出演するライヴ・イベントに2,000人以上のファンが訪れているのです。そんな勢いを増し続ける音ゲー・シーンのトップ・クリエイターが所属する“EXIT TUNES Dance Production(EDP)”をテーマにしたムック『Sound&Recording Magazine/GROOVE EDPクリエイターズ・ブック』が、リットーミュージックより発売になりました。
ここでは、そのEDPのさまざまなイベント制作や企画を行っている小田原憲治さんが音ゲー・シーンやEDPの特徴についてじっくり語ったインタビューをお届けしましょう。
EDP所属のクリエイター。左から、Ryu☆、P*Light、BlackY、kors k、かめりあ。
ーー小田原さんの考える、音ゲー・シーンの面白さってどういうところでしょうか?
小田原 実は僕自身まったく触れてこなかったシーンだったんです(笑)。今の会社(EXIT TUNES)に入って初めて担当したアーティストがRyu☆さん(数々の音ゲー音楽を手かげているEDPのプロデューサー/クリエイター)。A&Rということで、Ryu☆さんの音源を最初に聴いたときは、“なんじゃこのBPMの速さは?”という印象でした(笑)。僕もクラブにはよく通ってましたので、はたしてこれはダンス・ミュージックなんだろうかとも思いました。ただ音ゲーの人気曲ということもあって、そのCDがすごく売れた。そこで“あ、このシーンでマッチする音楽を作っている人なんだ”と納得しました。音楽ありきのゲームがあって、そこにユーザーさんがいるということは音楽好きとゲーム好き両方が一緒にいる。その独特さが面白いです。
あと音ゲーの面白さは、ジュークボックス感があるところ。クラブに行ったことがない人が、さまざまなダンス・ミュージックを知ることができたり、その音ゲーで初めてアーティストを知ったりとか。ゲームを通じて、さまざまなアーティストや音楽を知ることができる。そういう“ツール”だと思います。僕にとっては、そこが一番興味のあるところです。
ーー小田原さんは、音ゲーのシーンの中でEDPをどういう位置付けにしていきたいですか?
小田原 音楽性やクオリティにおいて、EDPを音ゲー界のトップにしていきたいです。EDPのアーティストが音楽を作るゲームだったら、やってみたいと思ってもらえるような存在にしていきたいと思っています。
ーーこのゲームだったらこの音楽ではなく、この音楽だからこのゲームをやってみたいと思わせたい?
小田原 はい。例えば、Ryu☆さんが音楽制作しているゲームだったらやってみたいとか。EDPに所属しているアーティストが音楽制作しているゲームだったら興味を持ってもらえる、そういうレーベルにしていきたいと思います。いや、しなくてはいけないと思っています。普段クラブには行かないけど、EDPのイベントだったら行ってみたい。逆にEDPを知らない人にも興味を持ってもらえるようにしていかなくてはと思っています。
EDP Labツアーの大阪公演の模様。全国各地に熱いファンがいる。
ーーRyu☆さんが今回のEDP Labツアー(2017年6〜7月に開催)で“どこの箱の人にも、こんなイベントがあるとは知らなかった”と言われたとおっしゃっていましたが、メジャー感があったら、どこの箱の人からも“ウチでイベントをやってください”と言ってもらえるようになりますね。
小田原 その通りです。今回のEDP Labツアーはクラブをメインに回らせてもらったんですが、毎日ダンス・ミュージックを聴いているクラブの店員さんが知らないダンス・ミュージック・シーンだったらしくて。当初EDP Labツアーを企画した時は、ユーザーの反応が薄くて少し不安だったんです。でも実際に蓋を開けてみると、名古屋と福岡はソールド・アウトして、大阪もほぼほぼ埋まった。で、お客さんもすごく盛り上がるわけじゃないですか? そのシーンを観たクラブの店員さんはみんなものすごく驚くし、次回もよろしくお願いしますって言ってくれました。その反応は本当に嬉しいですし、またツアーで全国を周りたいと思いました。
2017年3月18日に開催された『EDP×beatnation summit 2017-beatnation 10th Anniversary-』の模様。2,000人以上の音ゲー・ファンが、人気楽曲と映像&レーザーが激しく活用されたステージに熱狂していた。
ーー今、EDPのイベントに来てくれる人は、いわゆる音ゲー・ファンですよね?
小田原 基本的にはそういう方が多いと思います。
ーー今後の展望は、音ゲーはやらないけどEDPのイベントに行こうと思う人を増やしていくこと?
小田原 それはあります。理想としては、EDPがフェスみたいになったらいいなと思います。音ゲー好きなユーザーさんだけではなく、ダンス・ミュージック好きな方、普通の音楽好きな方にも来ていただけるようなイベントにしたいっていうのはあります。ただEDPは音ゲーから発進したというアイデンティティがあるので、やっぱり音ゲー・ユーザー/リスナーが楽しめるイベントではありたいなと思っています。
ーー今後はどういう新人クリエイターに出てきてもらいたいですか?
小田原 まず面白いのは、クラブに行ったことがない子たちがゲームやネットにインスパイアされてトランスやテクノ、ドラムンベースなどのダンス・ミュージックを作っているんです。さらにアニソンやメタル、民族音楽、クラシックなど、さまざまな音楽がミックスされて、その上にイラストもプラスされた日本発のダンス・ミュージックが生まれている感じがするので、固定概念にとらわれない自由な発想で新しいジャンルを創り出し、世界を驚かせることができる新人クリエイターが出てきてほしいと思います。あと、いわゆる普通のDTMerではないようなアーティストにも出てきてほしいなと。例えば、音ゲーDJ発のアイドルといった。
ーーポップ・アイコン的に?
小田原 そうです。今回のEDP LabツアーにYUC’eという女性アーティストが出演して、DJをしながら機材を叩いて歌うライヴ・スタイルを行ったんです。初めて彼女を観たお客さんは多かったと思いますが、独特の世界観に引き込まれていました。またEDPの大阪公演に出演してもらったkradnessはシンガーで、モデルもやっている。その子とよく話したりするんですが、かなり音ゲーをやっていたと。そして、DJもやり始めた。EDPの大阪公演ではRyu☆さんやkors kさんの曲をガンガンかけて……。音ゲー楽曲はそんなにかけないんですが、EDPで普通のEDMをかけていて。しかも自分で歌いながらDJをしていたんです。そういうDJをして、歌えて、踊れてというハイブリッドな新世代のアーティストも出てきたので、もっとそういう子が生まれてきてほしいなと思っています。
EXIT TUNESの小田原憲治さん。
*本インタビューは、『Sound&Recording Magazine/GROOVE EDPクリエイターズ・ブック』に収録されたインタビューを再編集したものです。
『Sound&Recording magazine / GROOVE EDPクリエイターズ・ブック』(リットーミュージック)
定価:(本体2,200円+税)CONTENTS
◎EDP×beatnation summit 2017 -beatnation 10th Anniversary- イベント・レポート
◎EDP Lab-TOUR 2017-フォト・レポート
◎音ゲー・トラック・メイク術(kors k/かめりあ)
◎EDPクリエイター座談会
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(執筆者: Rの広報ガール) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか