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『君の名は。』では、オーディションでその座を射止めたとのことだが、彼女の確かな演技力と表現力は、映画の中でも遺憾なく発揮されている。
ただし、彼女のブレイクで興味深いのは、単に女優・声優として注目されただけではなく、歌手としての評価もされている点だ。
映画の公開と合わせるように、10月にアルバム『chouchou』がリリースされ、その中で『君の名は。』の主題歌『なんでもないや』(映画ではRADWINPSが歌唱)をカバー。ミュージックステーション(テレビ朝日)やFNS歌謡祭(フジテレビ)でその歌声を披露し、卓越した歌唱力で話題となった。
それもそのはず、彼女は小さい頃から歌うことが大好きで、小学生時代から地元のミュージカルスクールで腕を磨いてきたという本格派なのだ。
そして、ここからは私の個人的な分類になるが、芸能界には“アイドル女優”と“女優アイドル”がいる。
“アイドル女優”とは、女優でありながらアイドル的な人気を博している存在。石原さとみや戸田恵梨香、北川景子などが代表例で、基本的に歌は歌っていないか、歌っていたとしても女優としての余技的なものである。
一方“女優アイドル”は、女優とアイドル的な活動を平行して行っている人。歌手活動も積極的に行っているのが特徴だ。
古くは薬師丸ひろ子や斉藤由貴、今井美樹、そして最近は少なくなってきているが、柴咲コウ、初期の深田恭子、AKB卒業後の前田敦子などが挙げられる。
“女優アイドル”の特徴としては、元々演技力があることもあって、歌声に確かな『想い』が乗り、一曲の中でまるでひとつの物語を演じきるかのように表現ができることだ。
上白石萌音は、そんな女優アイドル界の期待の新星と言えるだろう。
一度でも歌を聴いてもらえればわかる。とにかく、一曲一曲が言葉を慈しむように歌っているのが印象的。これこそが、私の思う“女優アイドル”の真骨頂なのだ。
ドラマや映画での演技だけではない、ひとつの歌の中で物語を紡いでいく、私たちはそれを感じて心を委ねればよい。
もちろん、女優としての活躍もめざましい。広瀬すず主演の映画『ちはやふる』では、古風で生真面目なかるた部員役を好演。11月に公開された『溺れるナイフ』でもメインキャストの一人として出演している。さらに、来年1月からは、TBS系のドラマ『ホクサイと飯さえあれば』で、連続ドラマ初主演も決まっている。
女優としての活躍にとどまらず、歌手として、アーティストとして、彼女がどんな作品を生み出していってくれるのか、これからが楽しみでならない。
※画像は、上白石萌音オフィシャルブログより http://ameblo.jp/mone-kamishiraishi/
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