M-1グランプリ2017優勝者の「とろサーモン」久保田かずのぶ(39)と、本年度出場者の「スーパーマラドーナ」武智(40)が、放送終了後のインスタライブで審査員の上沼恵美子(63)を「右のオバハンにはみんなうんざり」「更年期障害か」などと罵った。2人の行動はネットSNSメディアで話題となり、「よく言った」とする声がある一方、「大先輩に失礼だ」など賛否の声が飛び交っていた。


 ところが12月4日になり、2人はいきなり翻意してSNSで謝罪。久保田は「不徳の致すところ」「上沼恵美子さまに失礼極まりない言動をしてしまい申し訳ございませんでした」とし、武智も「昨日の僕の醜態について、上沼恵美子さん、M-1に携わる方々、すべての方々にお詫びしたいです。申し訳ございませんでした」と謝った。


 現在のところ、この久保田らの行動に対し、 M-1を主催した吉本側は沈黙。審査サイドの顔役ともいえる松本人志(55)もコメントを出していない。だが、久保田らに「謝る必要なし」と断じ、謝罪を促す状況を「いまのテレビ界と吉本興業の窮屈さ」として懸念するのは、長年テレビ演芸を取材してきた週刊誌記者だ。


「道徳や社会規範から距離を置いた芸人が、同業界内における失言を謝る必要はありません。そもそも34年前に同じABC系列の漫才グランプリで、審査員批判をして脚光を浴びたのは松本人志にほかならないのです」


 若手の登竜門だった「お笑い新人グランプリ」(朝日放送)に出場したデビュー当時のダウンタウンは、当時おわらい界のご意見番的存在だった作家・藤本義一に「どこがおもろいねん!」「そんなの漫才じゃない」と漫才を酷評される。そこで松本は相方・浜田雅功(55)とともに「お前なんかにわかるか、ボケ!」と生放送中に反論。以後、在阪局で力を持っていた藤本の息がかかった番組に一切呼ばれなくなったという。それでも、藤本の意見などものともせず、彼らがスターダムへの階段を駆け上ったのは言うまでもない。


 同様に藤本の”漫才批評”に対しては、明石家さんま(63)も若手時代に「テレビで言っていいことと悪いことがある」と窘められ、公然と抗議。以後一線を画し、後年番組で「笑いが理解できてない」と藤本批判ともとれる発言を何度もしている。また島田紳助(62)も同様に批評に猛反発し、番組で「勘違いしたおっさん」と揶揄している。すなわち、芸人の権威や審査への反論は叱責されこそすれど、それを逆境として乗り越えさせる寛容さを併せ持つことが「吉本の良き伝統」だったのだ。


「久保田と武智はよく言ったと言いたいところですが、”上沼”という関西限定の権威を選んで反論してる感は拭えません。M-1の歴史を振り返っても、かつて50点という低得点を付けたりもした松本の審査に反論する芸人が出てきていないことが、吉本に蔓延する小物症候群「ダウンタウンになれない病」を作り出す根源なのかもしれません」(同記者)


 34年前に猛然と審査員に噛み付いた松本人志が、今度は権威サイドとして久保田らの行為をどう対応するのか楽しみにしたい。

情報提供元: Daily News Online
記事名:「 松本人志、とろサーモン久保田の”M-1上沼罵倒”に沈黙も34年前の「審査員批判」過去