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仕事をするということは、「人を動かす」こととほとんど同義です。
なぜなら「仕事」(=自分以外の誰かに価値を与える)という言葉の定義上、自分一人だけで「仕事」をすることはできないからです。
そのため仕事がデキる人というのは、例外なく「人を動かすのが上手な人」です。
「人を動かす」秘訣といえば、世界的ベストセラーの『人を動かす』が有名で、この一冊だけ読んでおけばOKと言えるほどの名著ですが、分厚いハードカバーにビビってしまい、きちんと読みきれていない人も多いと思います。
そんな人におすすめなのが、『相手の心をつかんで離さない10の法則』。
2005年に刊行された『心をつかむ技術』の新装・改訂版であり、『7つの習慣』のスティーブン・コヴィー氏も推薦している良書です。
本書は、人に動いてもらうためには「相手の心をつかんで離さない技術」を身につけることが大切だとして、心をつかむ10の法則を紹介しています。
10の法則とは以下の通り。
どれも確実に効果が期待でき、意識的に実践したいと思わせてくれる重要なポイントばかり。
それぞれの章末には、具体的なアクションリストがまとめられているので、読んだその日から行動に移すことできます。
ここでは個人的に習慣にしたいと思った3つの法則、「ほめる」「期待をかける」「絆をつくる」についてピックアップして紹介します。
ほめられることは、人間の最も深い欲求であり、ほめ言葉は相手の行動を変える力を持っていると著者はいいます。
私たちはみんな、誰かにほめられたい、認められたいがために猛烈な努力をしています。
もし世の中に自分一人しかおらず、ほめてくれる人が誰もいない世界であれば、努力をしようとも思わないでしょう。
管理職の人であれば、リーダーシップの観点から、部下をほめることを意識的に行なっている人も多いかもしれません。
しかし仕事かプライベートかを問わず、日常的に人をほめることを習慣にしている人は少ないのではないでしょうか。
むしろ誰かが成功しても、嫉妬や僻みの感情が芽生えてしまい、素直にほめられないばかりか、間違ったことをした人にばかり注目して、すぐに責め立てるような人の方が多いように感じます。
本書の次の言葉が印象的です。
どんな葬式に行っても、必ず故人は称賛される。だが、人をほめるのに、なぜその人が死ぬまで待つ必要があるのだろう。(P.32)
ネットでもリアルでも、誰かの失敗にばかり目を向けるのではなく、意識的にほめられるところを見つけて、毎日人をほめることを習慣にしてみてはいかがでしょうか。
本書では、「ほめる」を実践するためのアクションリストとして、次のことを紹介しています。
私たちは、他人から抱かれる期待にもとづいて行動する傾向があります。そのため「人に期待をかければ、それはやがて現実になる」と著者はいいます。
期待することには、その人の行動を変える力があるのです。
覚えておきたいのは、私たちは自分の抱いている期待を、言葉や声の調子、しぐさなどさまざまな方法で伝えることができるという点です。
もし「期待している」という言葉を直接的に使うのが照れくさかったとしても、このような別の要素によって期待を伝えることができるのです。
これらは多くの場合、無意識にしているだけなので、意識的に使えばさらに大きな力が得られるでしょう。
アクションリストは次の通り。
言うまでもありませんが、相手と自分との結びつきが強いほど、自分の言葉の説得力は増します。つまり相手に動いてもらいやすくなります。
結びつきを感じた相手とは絆が生まれ、その人の言うことに耳を傾けようとするからです。
そして、人は好感を持った相手のことは何でも好意的に捉えてくれるようになります。
本書では、絆をつくるための要素として「魅力」「類似性」「社交術」「ラポール(共感に基づいた心理的なつながり)」の4つを紹介しています。
ここでは「類似性」についてピックアップしましょう。類似性の法則とは、文字通り自分に似ている人を好きになりやすいというものです。
意見や個性、家柄、学歴、教養、ライフスタイルなど、何かしらの共通点があると、相手に親近感を抱くようになることが複数の研究からわかっています。
こうした「共通点」は、大別すると「考え方」「価値観」「外見」「背景」の4つの要素に分けられます。
中でも重要なのが「考え方」と「価値観」です。そのため心をつかむ達人は、相手と共通する考え方と価値観を常に探し求め、さまざまなシーンで自分が相手に似ていることを強調していると言います。
アクションリストは次の通り。
他の7つの法則はもちろん、ここで紹介した3つの法則についても、もっと詳しく知りたい方はぜひ本書を手にとってみてください。
『人を動かす』よりもページ数が少なくてシンプルにまとめられているものの、その内容は濃く、たくさんの「人生を変える」気づきが得られる1冊です。