- 週間ランキング
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルの力でビジネス変革を強力にサポートし、生産性アップと企業競争力の強化、そして企業価値の向上を図ることを指します。
単にITソリューションを導入して業務をデジタル化するだけでは、DXとして十分とはいえません。
DXツール導入による業務効率化やデータの有効化などが事業展開の加速やマーケット開拓、新たなビジネスの創出をリードし、革新的な飛躍で企業の競争優位性がアップするというゴールまでをDXの推進計画に含める必要があります。
多くのDX事例が示すように、「企業価値の向上」という目的を具体的な目標に落とし込み、そこに至るステップをバックキャスティングして現在採るべきDXの方向性を決定することで、変革の道筋が明らかになります。
自社のビジョンや課題を洗い出し、DXで課題解決と成長を一気に推し進める、と考えると分かりやすいでしょう。
DXにおいて何から着手すべきか検討中であれば、まずは先駆的な事例に目を向けてみることがおすすめです。
他社のDX事例を参考にすると、自社で盲点となっていた課題や成長材料に気づける可能性もあります。同業種や同規模の企業における事例は直接的な学びが多い一方、異なるタイプのビジネスの事例からは新しい視点やアイデアを得ることも可能です。
事例研究では、以下のようなポイントに注目します。
もちろん、成功事例と同じステップでDXを推進することもできますが、企業ごとに抱える課題は千差万別であるため、自社と近い課題を持つ事例からヒントを得ることを意識してみるといいでしょう。
経済産業省によるバックアップの継続やDXのニーズの高まりに伴い、日本国内でもDXの成功事例が出てきています。
商慣習や国民性という共通点を持つ日本企業のDX事例からヒントを探ってみましょう。気になる事例は、より深く掘り下げてリサーチしてみてください。
経済産業省が中堅・中小企業を対象に主催するDX推進の優良モデル企業の事例選定「DXセレクション2022」で、グランプリに輝いた大阪府の山本金属製作所。
精密機械加工や計測機器製作を主要事業とするBtoBのビジネスで、海外拠点も持つ中小企業です。工作機械や機械加工ロボットの製造販売で世界的なシェアを持ち、工場のIoT化なども支援しています。
同社は、工場、生産業務プロセス、開発、営業、人財育成、海外展開の6分野に対して重点的にDXを進める方針を採っていることから、これらを自社の成長の要と位置づけていることがうかがえます(※1)。
また、「Intelligence Factory 2030」という経営ビジョンに向かって、計画的なDXによる技術の高度化やデータ活用の戦略を実践。工場の自律化やデジタルマーケティングの導入を進め、DXそのものをビジネスの成長機会と位置付けています(※2)。
※2:【DXセレクション2022】グランプリ企業取組紹介 株式会社山本金属製作所
DXセレクション2022で準グランプリを受賞した群馬県の日東電機製作所は、発電所や浄水場向けの電力制御装置の開発・製造企業。
同社のDXの歴史は長く、1990年代から経営管理システムを自社開発。材料原価や在庫の管理、設計データと加工機械のオンライン接続による業務工程の半デジタル化などを進めてきました(※3)。
生産性向上とものづくりの付加価値向上のためにDXを進める同社の事例の背景には、市場の再生可能エネルギーシフトへの対応、電力装置産業における省力化のニーズがあります(※4)。
2020年には自社の課題解決ロードマップを作成し、製造現場へのタブレットPCの導入、通信環境の整備、社内アプリの開発など、従業員のデジタル活用環境を改善。
同社の事例で特筆すべきは、ものづくりの力を生かしたDXツールの内製により、「デジタル人材の育成」と「デジタルによる業務改善の風土醸成」も実現している点です。
DX推進において障壁となりやすい「DX人材の不足」といった課題を、DX推進全体の取り組みの一環として対処し、結果として効率的なDX推進に繋げています。
※4:【DXセレクション2022】準グランプリ企業取組紹介 株式会社日東電機製作所
経済産業省と東京証券取引所がDX推進に積極的な国内企業を株式市場のロールモデルとして指定する「DX銘柄」では、製薬大手の中外製薬が2022年のグランプリに選ばれました。同社は、デジタル技術による革新的な創薬を経営ビジョンに掲げています。
時間とコストを要する新薬開発のプロセス変革や、遺伝子データなどを活用した「個別化医療」の市場開拓を、DXで探求する同社(※5)。この事例では、DXを活用した事業展開のために、社内外の人とモノのDXにも力を入れていることが分かります。
独自のデータ解析システムの構築、親会社との基幹システム統合を行っている他、従業員からデジタル技術活用のアイデアを公募する仕組みや、社内のデジタル人材育成の仕組みも運用しているなど、学びの多い好事例です(※6)。
※5:デジタルトランスフォーメーション “CHUGAI DIGITAL”|会社情報|中外製薬
※6:中外製薬DXの2年を一気に振りかえる!|ビジョン実現に向けて取り組んできた道のり、そしてチャレンジ(前編)|CHUGAI DIGITAL
「ニチガス」の商標で知られる日本瓦斯は、プロパンガスと都市ガスを個人・法人に供給する大手エネルギー事業者。
東日本を市場とする同社のDXは、エネルギー産業の課題であるCO2排出の削減、人材不足の解消、働き方改革の推進、情報化社会への適応などに取り組むために、他社との「共創」の必要性を挙げている点がポイントです(※7)。
具体的にはデジタル技術を活用したガス供給プラットフォームの導入、ガス配送の効率化、検針データのデジタル化、アプリによる消費者の利便性向上などで他社と連携しています。外部の技術や知見を取り入れた同社のDX事例は、多くの組織にとって光明となり得るでしょう。
デジタルツールやデータ活用で業務を効率化しているだけでなく、エネルギー事業者のビジネスのあり方を大きく変えた事例でもあります。
※7:DXへの道のり|法人のお客さま|ニチガス(日本瓦斯株式会社)
倉庫運営や輸送を主要事業とする日立物流は、企業の物流機能を請け負う3PL(サードパーティーロジスティクス)の分野で国内No.1。
効率化や省人化、安全性の強化などが求められる物流業界で、2019年から社内の業務変革を中心としてDX戦略を展開中です。
同社は、物流現場に蓄積されたアナログ情報をデジタル技術で見える化し、収集したビッグデータを仮想空間でAI解析、そこから得られた知見を現場にフィードバックするDXの循環を生み出しています(※8)。
この事例では、サプライチェーン情報の一元管理、業務効率化と安全の支援、業務・顧客データの集約、現場作業の標準化と複数拠点管理などのためにDXツールを導入しています。特に省人化と安全確保のニーズが高い現場で応用できそうな事例です。
ホテルや旅館などの運営管理を受託する東京都のスマートホテルソリューションズも、経済産業省のDXセレクション2022で優良事例に選定された中小企業の一つ。
自社開発の生体認証システム、PMS(個人情報保護マネジメントシステム)、IoTプラットフォームを一つにしたITツールを開発し、宿泊施設の利用客の顔認証によるチェックインや支払いなどを自動化しました(※9)。
同社は地域連携プラットフォームを開発して町おこしにも取り組み、宿泊施設の周辺店舗でも顔認証決済を可能にする実証実験を石川県や島根県で実施。
また、産学連携によるビジネスアイデアの事業化などを行い、地域を巻き込んだ町づくりにも貢献中です(※10)。デジタル技術を活用しつつDXで地域全体の価値を高めている事例といえます。
同社ではクラウドツール内で開発などができる業務体制を整え、スタッフの多くはリモートワークが可能。対象地域に長期滞在しながら働くなど、新しい働き方も実現したDX事例です。
神奈川県のかまぼこ製造販売の老舗、鈴廣蒲鉾本店も積極的にDXを推し進める企業です。DXへの注目が高まる以前の2014年からビジネスチャットを導入しています(※11)。
全社のコミュニケーション手段の統一による情報管理の徹底というニーズが存在した同社の事例では、セキュリティ面やコスト面も検討して「WowTalk(ワウトーク)」を選択しました。WowTalkはSNSのような使い心地やビジネス向けのデザインが特徴のビジネスチャットで、コミュニケーションインフラとしてビジネスの加速に寄与しています。
WowTalkでメッセージ履歴の一括管理が可能であることから、同社の事例では繁忙期のトラブル対応を後から振り返りやすくなりました。リモートワーク中の従業員との連絡もスムーズで、働きやすい職場環境の醸成にも役立っています。
この事例では、ビジネスチャットの導入でコミュニケーションの円滑化と業務効率化を実現しています。緊急時の安否確認手段も確保でき、DXにより会社と人のつながりも強化されていることがうかがえます。
※11:【株式会社 鈴廣蒲鉾本店 WowTalk導入事例】老舗企業のDX化推進の一環としてビジネスチャットが全社で活躍!
日本のみならず、海外でも豊富なDX事例を見つけることができます。特に、デジタル技術の活用がビジネスモデルに組み込まれているテクノロジー企業Amazon、Uber、Netflixの事例では、早くからDXに注目していたことが分かります。3社の事例を通して、DXで実現する企業の発展を考えてみましょう。
アメリカの巨大テクノロジー企業Amazon社は、DX事例の中でも成功企業の代表格。同社のDXは、倉庫やECサイト、そしてビジネス向けクラウドサービスのAWS(Amazon Web Service)など多岐にわたり展開されています。
倉庫内では商品の位置情報のデジタル化で商品管理効率を上げ、出荷作業を迅速化し、顧客満足度をアップ。
ECサイトでは、機械学習を使ったおすすめ機能でクロスセルやアップセルを促進し、決済を効率化する「1クリックで注文」の機能でカゴ落ちの機会損失を防いでいます。DXによる小売サービス進化の成功事例といえるでしょう。
2006年に提供を開始したAWSは、企業から政府機関・自治体まで幅広くDXを支援し、現在では世界で数百万の組織が利用中。自社の技術力を活かして他社のDXをサポートする優れた価値創出の事例です。
同社は従業員のリスキリングによるデジタル人材強化への巨額の投資でも知られ、継続的なDXのための社内教育の重要性に注目していることが分かります(※12)
※12:アマゾン、ウォルマート、AT&T…従業員再教育に巨費を投じる海外企業の「リスキリング」 | 「DX人材」採用・育成最前線 | ダイヤモンド・オンライン
フードデリバリーや配車サービスで知られるUberは、ドライバーを雇用するのでなく、働きたい人とサービスを利用したい人が活用できるデジタルプラットフォームを提供しています。DXで新しい働き方やビジネスモデルという価値を生み出した事例とも換言できます。
同社のサービスは、受発注から決済、利用後のフィードバックまで、全操作をアプリ1つで完結できる設計です。
また、顧客情報がデジタルに集約されているため、データを活用した事業改善や情報収集もシームレスに実行可能。2009年の創業から瞬く間に世界に広まったスピード感も、属人的でないデジタルサービスをベースとする企業の強みであり、DXで進化しやすいビジネスモデルの事例として参考になります(※13)。
※13:Uber の歩み – 企業沿革 の最新ニュース | Uber ニュースルーム
話題性と質の高い映像コンテンツ、サブスクリプション型のサービスとして人気を集めるNetflix。
1997年にDVDの郵送レンタルサービスで創業した意外な歴史を持ち、当時登場したばかりのDVDや、オンライン予約のIT技術など、テクノロジーを下地とするビジネスモデルでした(※14)。
その後、データ活用でビジネスモデルを転換しながら、サブスクリプション型の動画配信にビジネスの軸足を移します。延滞料金なしで利用可能なメリットや、機械学習によるおすすめ機能などを備え、生活様式が変わったコロナ禍にもユーザー数を伸ばしました。
現在の同社は、オリジナルコンテンツの製作にユーザーの視聴データなどを取り入れ、「データを活かした製品作り」も特徴となっています。DXで進化を続けてきた企業の事例として、ものづくりなどの業界にもヒントになりそうです。
国内外に多様な規模のDXの成功事例が存在しますが、求められるDXの手法は組織によって異なります。事例を参考にしつつも、最初から大きな取り組みを検討するのでなく、スモールスタートを意識して着実に進めていきましょう。
DXに踏み出すおすすめの方法は、コミュニケーションを活性化するビジネスチャットの導入からスタートすることです。
高セキュリティのビジネスチャットは平常時から緊急時まで利用頻度が高く、比較的早く効果を感じやすいDXツールといえます。
個人情報保護などの情報セキュリティは多くの組織にとって喫緊の課題であることから、ビジネスチャットでコミュニケーションのデジタル化を促進し、連絡内容や履歴の管理を徹底することは企業価値にも直結します。社内のコミュニケーションが活発になれば、ビジネスの加速や新たな価値創造が進展しやすくなることもメリットです。
目的に応じたビジネスチャットの選定やトライアルは慎重に進める必要があり、使用方法の複雑なツールであれば導入や定着にかかる時間についても念頭に置いておきましょう。そのため、導入事例を参考に、使いやすく組織内に浸透しやすいツールを選ぶことがDX推進のポイントです。
弊社ワウテックが提供するビジネスチャット「WowTalk(ワウトーク)」は、直感的な使いやすさが魅力のビジネスチャットツールです。個人SNSと近しい操作感を有しているので、ITに不慣れな方でも直感的に操作方法や使い方を理解できます。
すぐに使い始めることができ、コストも1アカウント300円からとリーズナブルなので、DXのスモールスタートに好適です。
DX推進の第一歩を、WowTalkを活用したコミュニケーション改革からスタートされてみてはいかがでしょうか。