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DXプロジェクトの予算策定は、プロジェクトにおける最も重要な段階の1つです。
予算策定は、DXプロジェクトの全体的な成功に影響を与えるため、慎重かつ戦略的に進めなければなりません。また、プロジェクトの進行に伴い、予算計画を定期的に見直し、必要に応じて調整を行う柔軟性も必要です。
予算策定のプロセスにおいては、以下のポイントに注意すると良いでしょう。
まずは、これから取り組むDXプロジェクトの範囲を明確に定義します。
これらのポイントをしっかりと事前に決めておかなければ、予算を正確に算出することはできません。
自社の抱える課題のうち、どこからどこまでの範囲を、いつまでにDXによって解決するのか。これを明確に定義するところから、DXの予算策定は始まります。
プロジェクトの範囲が定まったら、解決すべき課題の優先順位に沿って、できる限り正確なコストを見積もります。
この場合のコストとは、システムの開発や導入・運用に関わるコストだけでなく、それに関わる人材採用や教育費を含む人件費や、場合によってはコンサルティング費用なども含まれます。
ここでの見積もりが後の計画の基礎となるため、費用対効果を含めた正確な見積もりを行うことが肝要です。
見積もりをもとに、予算的に実現が難しいと判断される施策については取り組みを一旦見送ったり、優先順位を下げるなどの調整が必要となる場合もあるでしょう。
社内の予算を踏まえて、DX推進にどれだけの資金を充てることができるのか、自社のリソースだけでは必要なコストをまかなえない場合は、どうやって資金を調達するかを検討し、特定します。
これらの方法のうち、どれが自社には最も適しているのかを理解し、適切な方法を選ぶことでより戦略的なDX推進が行えるでしょう。
各資金源ごとのメリット・デメリットについては、次章で詳しく解説します。
プロジェクトを成功に導くと同時に、投資先を説得するためにも必要となるデータが、投資した費用に対してどれだけの利益が期待できるかという予測です。これを正確に把握するために、ROI(Return On Investment/投資利益率)を計算します。
ROIによって予測される結果をみて、プロジェクトが財務上合理的であるかを評価します。
予算策定にはリスク管理が不可欠です。
予期せぬコストの発生やプロジェクトの遅延、あるいは需要の変化による計画変更など様々なリスクを考慮に入れる必要があります。
このリスク管理に関しては、次回後編でさらに詳しく解説します。
前述の通り、中小企業がDXプロジェクトの資金調達をする際には、いくつかのオプションがあります。それぞれのオプションには、それぞれのメリット・デメリットがあり、そのうちどれが最適かは、企業のニーズと状況によって異なります。
これらのオプションを検討する際には、企業の状況、将来の成長戦略、返済能力などを考慮して、資金調達戦略を決定することが重要です。
場合によっては、複数の方法を組み合わせてリスクを分散するなど、より柔軟な資金計画を検討してみても良いでしょう。
社内資金だけでDXプロジェクトを進められない場合の、最もポピュラーな資金調達方法が融資を受けるという方法でしょう。
これには、銀行などからの融資のほか、政府系金融機関や信用組合、ノンバンク系からの借り入れが含まれます。
融資元は利息というリターンが期待できるため、安定したキャッシュフローと信用履歴がある企業の場合は、スムーズに資金を調達できる可能性が高く、有効な選択肢となるでしょう。
しかし、当然ながら返済義務がありますので、元本・利息を合わせた返済を予算編成に組み込んで考えなければなりません。また、不渡りになるリスクも考慮する必要があるでしょう。
一部の政府機関や公共団体は、特定の条件を満たす事業に対して助成金や補助金を提供しています。
特に、IT関連の分野は政府が旗振り役になってDXを推進しようとしているため、助成金や補助金が比較的充実している分野です。
デジタル化による業務プロセスの効率化や新規ビジネス創出に関わるシステムの開発・導入や雇用促進など、広範囲に利用できる場合もありますので、適切なプランを選べば返済不要の資金が獲得可能です。
ただし、助成金や補助金は多くの場合「かかった費用のうち一定の比率に基づいた金額を補助」する仕組みになっているため、一度は自社で費用を「立て替える」必要があります。
また、その申請プロセスが複雑で競争が激しいという側面もあり、誰もが必ず受けられるわけではありません。そのため、受給の確立を高めるためにはプロの力を借りることも検討すると良いでしょう。
ファクタリングとは「売掛債権の売却・譲渡行為」です。そのため、融資や補助金と違って、ファクタリング会社の審査に通りさえすれば最短即日で運転資金を手にすることができます。
ただし、これはあくまでも「先に受け取る予定の売上を、一定の手数料を支払い前金で受け取っている」ということです。そのため、実質的には短期融資とあまり変わりがありません。
そのため、ファクタリングの利用が有効なケースは、助成金や補助金が決定したものの、一時的な費用負担が難しい場合などに限られます。使いどころを間違えないように注意が必要です。
DXプロジェクトへの投資評価とは、投資に対して期待されるリターン(ROI)を最大化することを目指します。
ただし、DXプロジェクトへの投資は単に財務的な利益を追求するだけでなく、企業のデジタル化と長期的な成長戦略の一部として位置付けられます。そのため、ROIの計算は、財務的な側面だけでなく、戦略的な側面も考慮することが重要です。
以下、投資評価のポイントについて解説します。
投資利益率(ROI)は、投資による利益を投資額で割ることで求められます。
この指標は、DXプロジェクトの財務的な成功を評価するための客観的な数値となるでしょう。
例えば、DXによって達成される予想収益、コスト削減、生産性向上などを「数値」として評価し、これらを初期投資と比較してその差益を計算します。当然ながら、正確なROIの計算のためには、投資による利益の正確な予測が不可欠です。
先にも述べたように、DXプロジェクトの費用には、技術の導入、システムの統合、スタッフの採用やトレーニングなど様々なコストが含まれます。
一方でそれによってもたらされる利益は、増加した収益、削減されたコストといった目に見える数字だけではなく、顧客や従業員の満足度の向上など必ずしも数値として表すことが難しい成果も含んでいます。
これらの要素をできる限り正確に数字に落とし込みROIに反映させることが、DXプロジェクトの成功への欠かせないポイントとなるのです。
投資の成果を最大化するためには、適切なテクノロジーの選定、効果的なプロジェクト管理、組織内のスキルアップなどが必要です。
また、それに加えてプロジェクトの継続的な監視と評価を行い、必要に応じてプロジェクトの調整を行うことも重要なポイントとなります。
成果を最大化するポイントについては、次章で詳しく解説します。
効果的な資金活用とその成果測定は、DXプロジェクトの成功と競争力の向上に不可欠なプロセスです。そのためには、明確な戦略とKPIの設定が必要です。
以下に、資金投資の効果を測定し、持続的な改善を図るポイントをまとめます。
DXを成功させるための資金戦略は、中小企業にとって極めて重要です。戦略なくしては、中小企業が持続可能な成長とイノベーションのための基盤を築くことはできないでしょう。
こうしたポイントに注意して進めることで、DXを成功に導くための適切な資金戦略が立てられるでしょう。
次回は、特にリスク管理とコストコントロールに焦点を当て、中小企業のDX予算編成の戦略についてさらに考えていきましょう。
The post 【DXの予算編成/前編】予算策定のポイントと資金調達の方法、投資効果の測定 first appeared on DXportal.