日本人の2人に1人が罹患すると言われているがん。決して他人事ではなく、誰もが罹る可能性があることから、令和3年度より中学校でがん教育が必修化されています。

その授業の中で使うオリジナルの教材として2月4日(火)のワールドキャンサーデーより、中学生向けのがん教育用教材「未完成マンガ ーUnfinished Mangaー」が、一般社団法人 日本がん・生殖医療学会の公式WEBサイトにて公開されます。

これは医療的見地に基づきながら「知識の習得だけに留まらず、生徒たちががんに対する心構えを持つ」ことを目的とし、一般社団法人 日本がん・生殖医療学会が(株)三菱UFJフィナンシャル・グループの支援のもとに作成されたもの。

公開に先駆け、新教材を使ったモデル授業が愛知県愛西市立 立田中学校の中学2年生を対象に行われました。「未完成マンガ」とはどのような教材なのか、その興味深い内容をレポートします。
がんの基礎知識をクイズ形式でわかりやすく学べる


この教材は、がん全般に関する知識の要点をわかりやすく学習できるインプットワークと、自分ががんになったときに「かけられたい言葉」をセリフ化する「未完成マンガ」というアウトプットワークの、2つのパートで構成されています。

知識学習で学ぶ要点は、以下のようなもの。

・がんは誰でも罹る可能性があるが、生活習慣を改善することで罹りにくくすることができる
・早期発見すれば治すことができる
・そのためには毎年の検診が大事



また、若い人も罹りやすい「子宮頸がん」と「乳がん」がピックアップされ、予防接種の重要性やセルフチェックの仕方などをわかりやすくレクチャー。

クイズやクラスメイトとの話し合いを交えながら進むため、生徒たちが能動的に授業に参加している様子が印象的でした。
「未完成マンガ」を通してがんへの偏見をなくし生き方の多様性について考える


がんについての知識を学んだ後は、「がんと生きる」をテーマに、「未完成マンガ」を作成するパートへ。

「未完成マンガ」は、がんになることを自分事として捉えることができるように、中学生にも受け入れやすいマンガをベースにして開発されたもの。

「がんに罹患している登場人物=自分」という仮定のもと、がんになった人物になりきって自分の心の中を想像し、相手に「かけられたい言葉」を考え、セリフとして言語化するワークです。

異なるテイスト、異なるシチュエーションで4つのストーリーがあり、生徒が想像しやすいもの、考えやすいものを選べる形になっています。



作成後、隣の席の生徒と完成したマンガを発表し合い、その後クラス全体への発表へ。

「困ったことがあったら何でも言ってください」という助け合い・支え合いの言葉や、「退院したら一緒に美味しいご飯を食べようね」という励ましや希望をあたえる言葉、「大丈夫?」というあえていつも通りの言葉を選ぶなど、さまざまな角度からのセリフが発表されました。

「かけられたい言葉は人それぞれで、がんになった人の想いも多様である」ということがわかります。
大切な人を守ることができる声かけの重要性を学ぶ


最後に、がんに関する知識を大切な人へ共有することや、早期発見のために定期的な検診をすすめるなどの「声かけの大切さ」を先生が強調。

がんになった相手の立場に立ち、明るく幸せな気持ちにできる声かけをしてもらいたいとの言葉に、生徒たちも深く共感している様子でした。

 

「未完成マンガ」は自分が「がんになった主人公」の立場で病気について考えさせられるので、同じがん罹患者でも病気への考え方はさまざまであるということを実感。

こうした教材で学ぶことにより、他人の心に寄り添い、思いやることの大切さが広がっていくことを強く願います。
情報提供元: ANGIE
記事名:「 がんの知識から心構えまで深く学べる!中学生向けがん教材「未完成マンガ」を使ったモデル授業を体験!