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VRアプリケーションには様々なものがあるが、一般の消費者向けアプリとしては今のところVRゲームが占める比率が高いようだ。もう一つ、注目が集まっているのがVRを使ってコミュニケーションを取ることを主な用途としたものである。
こうしたアプリにはオンラインで他のユーザと一緒に遊ぶという使い方だけでなく、離れた場所にいるユーザと連絡を取るためのツールとしての役割も期待されている。手紙や電話に始まり、メールやスカイプといったものが連なる連絡手段が、やがてVRになると考えられるからだ。
期待を集めるVRコミュニケーションプラットフォームへは、投資も盛んに行われている。15億円の資金を集めたPluto VRも、VR空間でコミュニケーションするためのプラットフォームを開発しているスタートアップ企業である。
スタートアップ企業Pluto VRは1,390万ドル(15億円)の資金を獲得することに成功した。彼らはVR空間でコミュニケーションするためのアプリを開発しており、この資金によって開発を継続する予定だ。
さらに、アルファテストの規模拡大と対応プラットフォームの増加も予定されているという。
この投資を主導したのは、シアトルに拠点を置くMaveronだ。Maveronの共同設立者にしてゼネラル・パートナーであるDan LevitanはPluto VRの取締役会に加わる。
Maveronは1998年に設立された企業だが、VRとARを有望な投資の対象だと考えている。これまでにも三つのVRスタートアップ企業に対する支援を行ってきた。
支援の対象となったのは、先日HTCとのパートナー関係を発表したVirtuix、VRソーシャルネットワークのVicariousVR、そしてコミュニケーション重視のVRアプリ『Rec Room』を開発したAgainst Gravityだ。
Virtuixはプレイヤーの歩行をVRへの入力に変換するOmniで話題になった企業だが、VicariousVRとAgainst GravityはいずれもVRにおけるコミュニケーションを重要なポイントとする企業である。今回のPluto VRへの投資もこの流れの中に位置づけられるだろう。
Maveronのシニア・アソシエイト、Anarghya Vardhanaはかつて、VR/ARがこれから果たすであろう役割について語っている。
「私たちは、VRやARが人々と世界のやり取りする方法だと考えています。ユーザ同士が、あるいはユーザとエンターテイメントコンテンツが、こうした技術で相互にコミュニケーションを取ることになるでしょう。
個人用のコンピュータと携帯電話がかつてコンピューティングの世界を変えたように、VRとARがコンピューティングの世界を変えることになると思います」
Pluto VRは、VR/ARヘッドセットを使用しているユーザ同士が会話するツールになることを目指している。創設から3年になるこのスタートアップ企業は、VRにおけるスカイプやFacebookメッセンジャーといったアプリを開発しようとしているのだ。
こうしたコミュニケーションアプリはそれ単体で動作するだけでなく、他のアプリケーションと合わせて利用できる。しかし、VR体験をしながら使えるコミュニケーションアプリはこれまでになかった。彼らが作ろうとしているのは、まさにそれが可能なアプリである。
Pluto VRを設立したメンバーの一人、John Vecheyは次のように述べた。
「Plutoの目的は、人類が物理的な場所という障壁を乗り越えるのを後押しすることです。
現代の技術は、世界中のどこにいてもテキスト、音声、映像ですぐに繋がることを可能にします。しかし、それらは距離感を縮めてくれるとは限りません。
Plutoでは、本当に一緒にいるかのように、どこからでも、誰とでも繋がることができます」
Pluto VRのアプリケーションでは現在、自分のコントロールパネルからアバターを作成したり、複数のユーザと会話するときにそれぞれのアバターを表示する透明度を調整したり、アバターを使わない「電話」をかけたりといった機能が利用可能になっている。
Pluto VRで表示されるアバターは全身ではなく、顔と手だけだ。そのため、ヘッドセット本体とコントローラーのトラッキング機能だけで動作を入力することができる。
Vecheyは、製品を一気に拡散させようとは考えていないという。今後もアルファユーザとともに地道にテストを続け、徐々に展開していくようだ。
Pluto VRは、2015年にシアトルを代表する10のスタートアップ企業に選出されている。同社には現在17人の社員がおり、人数に対して大きめなオフィスは彼らが自慢のアプリケーションを試す絶好の場となっている。
VR空間でコミュニケーションを取るためのプラットフォームも、多数の企業が制作している。
こういったプラットフォームは最低限の機能と使い勝手に加えて、ユーザの多さが最大のポイントだ。利用者が多ければ、自然と利用者が増えていく。Facebookのような既に高い知名度を持つ企業ではなく、スタートアップ企業がVRコミュニケーションの覇権を握るとすれば素早く展開することに成功したときではないだろうか。
VRにおけるコミュニケーションの代表を目指して、各社の開発競争が続いている。
参照元サイト名:Geek Wire
URL:http://www.geekwire.com/2017/pluto-vr-raises-14m-to-build-out-virtual-reality-communication-platform/
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