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先日、公開したVRInside1周年企画、”突撃となりのVR” VR元年の事実を取材から読み解く あのVR企業・VRサービスの今?の記念すべき第一回は、『GREE VR Studio』になる。
2016年3月に『GREE VR Studio』を取材した際には、プロジェクトスタートが2015年の4月頃とかなりの早期の参入となり、VR業界の先駆者を目指すと語られていた。
当時4名でスタートした『GREE VR Studio』だが、この1年でスタジオはどう変化したのか?全体を統括する、江本 真一氏にインタビューした。
—比較的VRへの参入が早かったと思いますが、先行参入のメリットなど具体的に見えてきていますか?
大きくは2つ感じている事があるようであった。
一つはマーケットの動向が先行して入ってくる事。色々な企業から
プラットフォーマーやキャリアからの情報も、先行して入ってくるので、マーケットの状況がいち早く捉えられる事は非常に大きいと考えている。
1年前は、HTC ViveやOculusRiftなど、ハイエンド機がコンシューマーに行き渡り、PSVRが更にそれを牽引し、コンシューマー系のVRが盛り上がると予測していたが、実際PSVRが牽引している状況ではありつつも、HTC ViveやOculusRiftは、一般コンシューマーという意味では、想像していたよりは普及が遅れている。
もう一つ良かったのは、アドアーズ社とのVR PARK TOKYOの取り組みであり、ロケーションベースのVRが2016年は、盛り上がりがあったと感じている。
VR PARK TOKYO以外のロケーションVR事業者と、ビジネスネットワーキングという形で、話をさせてもらう中で、ロケーションベースのVRのトレンドが分かったところは大きい。
—では、ロケーションベースでお持ちのコンテンツをOEM展開する事なども視野にあるのですか?
自分たちで、ロケーションの運営などは考えてないが、アドアーズ社と協力してコンテンツ開発をして、その運営ノウハウを展開していく事は考えられる。
—実際、VR PARK TOKYOでコンテンツを提供していく中での反響や課題はありますか?
反響は、場所柄凄くよくて、TV取材なども入ったりと、来場者数は増えていっている。
やってみて、感じた課題は、我々は基本オンラインで事業を進めてきたので、決められた場所で、どれだけ効率よくお客さまをアテンドするかは、当初一番に出てきた課題であった。
例えば具体的に行った改善策は、『対戦!ハチャメチャスタジアムVR』での時間短縮である。
当初ゲームは7回から始まっていて、10分程の時間がかかり、間延び感があったが、8、9回からの開始ができるようにカスタマイズして、現在8回からの開始バージョンを稼働させている。
プレイ時間は、5分~6分ぐらいに短縮でき、かつ、お客さまの満足度も、非常に良くなっている。
—1年前の取材では、VR事業の専属メンバーは10人程と聞いていました、現在メンバーの数は何人ぐらいになりましたか?
現在は、専属で25名で、3Dアーティストやスマホゲームの掛け持ちも含めると、30名ぐらいが常にVRに関わっている。
—その30名は、どのようなプロジェクトに割り振られていますか?
約半数は、ハイエンドVRにアサインされている。
ただ、ハイエンドがくるかな?と思ったらロケーションがきて、今年はモバイルがくると考えているので、モバイルの方に10名ぐらいアサインをして準備を進めている。
アーケードでも仕込んでいて、関わっているのは約5名で、外部のパートナーも巻き込んで進めている。
現在は、このような割合だが、今後はモバイルVRでの人の比率を上げていきたい。
—事業としての成長スピードはどのように感じでていますか?
正直、今までの色々な事業と比較しても市場の成長スピードがかな
—成長スピードが遅い事に対して、投資フェーズだと考えているのか?もしくは、次の一手を仕込んでいるのか?
VRだけではなく、もちろんARも視野に入れて動いている。起爆剤になると考えているのが、2020年で、単純にオリンピックで盛り上がる事もあるが、技術的には『5G』が開始されるので、超高速回線で大容量のデータ通信が可能になった時に、モバイルVRやARでリッチコンテンツが配信できる事で、花開くのではないかと期待している。
事業スピードは遅いが、そこを一つの起爆剤と考えて、それまでは着実に技術力をつけていく事が重要だと考えている。
ビジネス的には、プロモーション用途でVRを利用したいというニーズに対応したり、プラットフォーマーと協業してVRコンテンツを広めていくようなスキームで、市場を作っていくことが重要だと考えている。
—ここからの1年の目指す具体的なビジョンや、今後の事業内容を教えてください。
今年はモバイルVRにフォーカスする1年、恐らくDaydreamも2017年にはくると想定していて、もともとソーシャルであったり、フリートゥプレイがグリーは得意な企業なので、スマホで培ったモデルを、モバイルVRで試して行きたいと考えている。
—現在VRコンテンツは売り切り中心だが、フリートゥプレイのハードルは越えていくのですか?
そこは、VR空間の中でシームレスに完結して課金をしてもらえるようにしていく。
スマホゲームと同じようにネイティブアプリが中心となるので、特にGREE Platformとの連動というわけではなく、各マーケットなどの決済を利用して提供していく予定。
—今年のモバイルVRコンテンツのローンチ目標は何本ですか?
あくまで目標だが、2本はリリースしたいと考えている、ただVRゴーグルをかぶる障壁は高いので、被ってでも見たいと思うようなIPと組んでいく事も考えている。
—最後に、VRInsideに期待する事など一言ください!
一般ユーザーへの認知はまだまだ。
業界関係者は当たり前のように知っていることでも、一般ユーザーはそうではない。その辺りの認知の広がりをメディアには期待したい。
■江本 真一氏プロフィール
2011年よりグリーにて、SNS、プラットフォーム部署を担当。
ゲームデザイナー部署の統括を経て、2016年よりGREE VR Studioを統括。
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