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当然ながら、結婚式場を借りてリアルで行われる。
それだけに、「バーチャル」なイメージを持つVRやARと結びつかないという人も多いだろう。
だが、実はVR・ARはブライダル業界においても導入が進んでいる。
この記事では、ブライダル業界におけるVR・ARの事例をご紹介したい。
ブライダル業界は現在、縮小が進んでいる。
矢野経済研究所が行った市場調査によると、2015年のブライダル関連市場規模は前年比99.3%と縮小している。
日本が少子化傾向にある以上、国内においてこの傾向は今後も続く可能性が高い。
少子化だけでなく、昔と今とでライフスタイルが変化したことによって、「そもそも結婚をしない」という選択…未婚化・非婚化も進んでいる。
ブライダル業界にとっては、潜在顧客の減少要因が多く、向かい風の状況だ。
さらには、結婚をする人においても、遠方の親戚から旧友まで広く大勢集める大掛かりな結婚式ではなく、家族だけの結婚式や二人きりの結婚式など、小規模な「スマ婚」を選ぶ人が増えている。
つまり、顧客から得られる売り上げも減少する傾向にあるといった状況。
こうした状況にあって、当然、ブライダル業界側も様々な施策を行っている。
VRの活用も、その一つだ。
では、具体的にどのような形で活用されているかを見ていこう。
株式会社ブリッヂが提供する「パノラマウェディング」は、結婚式の各シーンを360度のパノラマ写真で撮影するというサービス。
大掛かりなものであっても、身内だけの小規模なものであっても、結婚式が大切なメモリアルであるということに変わりはない。
だからこそ、できる限り鮮やかな結婚式の情景を残しておきたいと願うのは自然なことだ。
360°写真で残したものをVRで見返すことで、結婚式の空気感まで残しておくことができる。
結婚記念日に振り返る時はもちろん、当時のことを思い出して夫婦ゲンカから仲直りするきっかけとしても効果がありそうだ。
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メモリアルとして残すのではなく、結婚式をVRでライブ配信してしまうおうというのが、「SHOWROOM」を使ったVRライブ結婚式。
ただ360°動画をライブ配信するというだけでなく、視聴者から配信者に対してギフトを贈ることもできる。
ギフトとは、視聴者が配信者を応援するためのコミュニケーションシステムで、無料で贈ることもできるが、有料のギフトも存在。
配信によって、新郎新婦の関係者はもちろん、「まったく無関係だけど、おめでたいことをお祝いしたい!」という人まで参加できる。
こう書くと、Youtube動画やゲーム実況などのノリを想像して、カジュアルすぎるイメージを持ってしまう人もいるかもしれない。
ただ、スマ婚のように結婚式のあり方が変化していく中、これからは結婚を「おめでたい、エンターテイメントのひとつ」として楽しんでいく…という方向性もアリではないだろうか。
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続いてご紹介する「HUG PROJECT」は、ブライダル業界というより、VR・AR業界からのアプローチ。
「HUG PROJECT」は、VRヘッドセット「Fove」とソフトバンクグループのロボット「Pepper」を組み合わせて、結婚式への遠隔参加を可能としたシステム。
参加側はVRヘッドセットによって、結婚式場をリアルに体験でき、結婚式場側は「Pepper」を置いて参加者の動きとシンクロさせることで、参加者がそこにいることを強く実感できる。
結婚のみならず、コミュニケーション全般を変えうる可能性を持ったシステムだ。
ここまでの事例は、いずれも実際の結婚式を記録に残したり、配信したり…といったものだったが、疑似的に結婚式が体験できるというものもある。
ワタベウェディングの「リゾ婚Cafe」は、VRによってハワイでのリゾートウェディングを疑似体験できるというイベント型のカフェ。
疑似体験することで、それまでは結婚式に興味がなかったという人でも興味を持ち始める…ということを少なからず見込めるだろう。
ブライダル業界が「結婚式」というイベントをプロモーションしていく上でも興味深い事例だ。
紹介した中で筆者が個人的に興味を持ったのは「SHOWROOM」のVRライブ結婚式だ。
この記事でも書いた通り、少子化や未婚化・非婚化、結婚式の小規模化が進んでいく今後の日本において、これまで通りの大規模な結婚式は現実的でなくなっていくだろう。
そうした中で、「SHOWROOM」のVRライブ結婚式は、コンテンツとしての結婚式に新しい方向性を示しており、カジュアルでエンターテイメントな結婚式として、可能性を感じさせる。
これが普及すれば、ゲーム実況などの動画配信と同様、結婚式は、興味を持った人なら誰でも祝えて、楽しい雰囲気に浸れるというものになっていくかもしれない。
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