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2016年の1月にCrytecによって設立され、現在はどのVRプラットフォームとも関連のない独立した団体として活動を続けるVR First。VR Firstは世界中の大学や学術機関にVRとARのハードウェア・ソフトウェアを提供し、彼らがVRをテーマとした研究を行うことを支援している。
そのVR Firstは4月13日、新たな計画を発表した。2017年の末までに、彼らが支援するVR研究施設の数を倍近くにまで増やすという。
VR Firstは現在、アメリカ、ヨーロッパ、アジアとオセアニアで世界26の研究施設に対して支援を行っている。この研究施設の数を40にまで増やす予定だ。
VR Firstプログラムは、VRイノベーションの促進を考えて作られている。
その方法としては、全く新しいVR研究施設を設立することが一つだ。それに加えて、これまでにパソコンを扱っていた研究施設をVR/ARの研究に転用させることも含まれている。
この方法ならばVR用に新しくマシンを購入するよりもイニシャルコストを抑えられ、コンピュータの扱いに慣れた研究者がそのままVR/ARの研究を始められるというメリットがある。
実際に、VR Firstは世界23カ国のトップ大学とサイエンスパークでこうして研究施設を設立している。その中には、パデュー大学、フロリダ大学、南カリフォルニア大学ビタビ・エンジニアリングスクール、オクラホマ州とバンクーバーの映画学校などが含まれる。
大きなイニシャルコストをかけずにPCベースのVRを研究することができ、しかも十分な研究能力を持つ場所がプログラムの対象として選ばれている。
コンピュータを研究対象として扱っている研究者は、VRやARといった最新の技術に興味を持っていることも多そうだ。ハードウェアだけでなく、研究に携わる彼らの興味や研究の能力をそのまま活用できるという点でも、PCの研究施設をVR/AR対応の研究施設にする方法には意味がある。
多くの大学にコンピュータを扱う研究室があるはずなので、裾野が広いことも魅力だ。ゼロから立ち上げるのは難しくても、基盤が整っていればVRの研究ができる環境を作りたいと考えている大学は多いだろう。
VR Firstが研究対象としているものは幅広い。35%の施設がVRゲームを扱っているが、それだけではない。VRゲームのようなエンターテイメントだけではなく、12%が心理学や神経科学、7%が教育、7%が観光、6%が建築・不動産といった分野に注力している。
VRゲームという回答の割合が一番多いのは、一般消費者への訴求力が強いからだろうか?
開発を行うプラットフォームも単一ではない。
VRヘッドセットではHTC ViveとOculusRiftがそれぞれ31%を占め、残りのプロジェクトはSamsung Gear VRやOSVR、Google Daydreamといった主要なプラットフォームで開発されている。
ARヘッドセットではMicrosoft HoloLensが43%と最大の勢力だ。他にはGoogle Glass、Vuzix ARヘッドセット、Epson Moverio、Meta AR Dev Kitといったプラットフォームでも開発が行われている。
ARプロジェクトの25%は「その他」のプラットフォームで開発されている。これはGoogle Glassのようなサングラス型のARヘッドセットが無数に存在することがその理由だろう。
業界の標準となるようなプラットフォームが定まっていないために、その他が多数という形になってしまっていると考えられる。
使用されているエンジンもUnity(48%)、Unreal Engine(20%)、CRYENGINE(14%)となっている。VR Firstプログラムは当初Crytecに主導されていたが、特にCRYENGINEの割合が大きいわけではない。
VR Firstの設立者、Ferhan Özkanは以下のようなコメントでプログラムへの参加を呼びかけている。
「VR Firstの研究施設は26施設がオープンし、さらに増えようとしています。そして、その施設で開発されているVRプロジェクト群はVRとARのイノベーションを促進し、あらゆる人にとって手の届く技術にする大きな力となるでしょう。
大学の65%以上が専門のVR研究所を作ることを計画しており、サイエンスパークや各国の政府もVRに関心を持っています。VRの継続的な成長に疑いの余地はありません。私たちも努力を続けています。私たちは、この有意義なプロジェクトに参加する業界のテクノロジープロバイダーやステークホルダーのみなさんを歓迎します」
また、ÖzkanはVR Firstが中立的なプログラムであることを付け加えた。エンジンやプラットフォームに縛られずにVR/ARの開発をサポートできるのは、VR Firstが特定のベンダーとの繋がりを持たずに中立的な立場を取っているからこそである。
彼らが目指しているのは特定のプラットフォームを採用するユーザや企業を増やすことではなく、VR/ARイノベーションを多くの人に届けることだ。今後の拡大を応援したい、高邁な理想を掲げるプロジェクトである。
参照元サイト名:VR First
URL:https://www.vrfirst.com/
参照元サイト名:Road to VR
URL:http://www.roadtovr.com/crytek-vr-first-program-double-number-of-vr-ar-labs-in-2017/
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