- 週間ランキング
ForbesにUpload, inc.とそのCEOを取り上げた記事が掲載された。VR/ARといった技術が注目されるのに合わせて、この業界が発展するために力を尽くしてきた企業にも世間の関心が向き始めている。
少し前には、海外の投資情報サイトで割安に買えるVR関連企業としてSonyが紹介されたこともある。「いまさら投資先としてSony?」という感もあるが、半導体メーカーやFacebookに比べればVR関連でSonyの株価が上がったことはない。その記事では、「まだ高騰していないのでチャンス」といった調子だった。
ARグラス(スマートグラスではなく、動画の撮影ができるサングラスだ)の販売を開始したSnapにも投資家は注目しているようだ。Spectaclesの影響だけでなく、ユーザの生活に深く食い込んだSNSとしてのSnapが魅力とみられる。
26歳のTaylor Freemanは、UploadのCEOだ。彼は同じく26歳で、Uploadの共同設立者であるWill MasonとともにForbesが選ぶ30歳以下の30人(メディア部門)に選出されている。Freemanは、Forbesが選んだ他の30人がそうであるように使命感によって行動している。
自社製品の販売が目的というわけではない。そもそも、UploadはVRヘッドセットを製造している企業ではないのだ。
Uploadは、VR/AR産業を成長させて消費者にとって手の届くものにしようとしている企業だ。その方法は、情報の提供や指導が中心となっている。Uploadは個人や企業に対してのスキルトレーニング、海外の有名オンラインメディアUploadVRの運営、共同スペースの提供といったVR/ARに関連するスタートアップ企業のための支援を行っている。
同社がスタートアップ企業のために提供するサンフランシスコ・インキュベーションスペースは、45社以上が利用している。また、Google、HTC、Udacityとの協力で作成されたオンライン教育プログラムの受講者は数千人に上る。
Uploadは2013年にMeetupのグループから始まった企業だが、現在は200以上のイベントを開催して2万人以上の人々を参加者として迎える規模に成長している。
Uploadは、「VRの可能性は無限である」と掲げている企業だ。これはVR技術がこの数年に獲得してきた役割の多様さを見れば頷けるものであり、言い過ぎということもない。
また、同社は「なぜ今なのか?」という疑問についても答えている。Uploadによれば「10年から15年ごとに主要なコンピューティングプラットフォームが登場する」という。
10年前には、インターネットやPCが登場した。これらの次に来る10年は、VRが主役になるプラットフォームだとUploadは主張する。
「現在は、VRに登場するあらゆるアイデアが新しくて革新的である時代です。VRはまさに開拓時代にあり、誰でも将来に対して大きな影響を与えるチャンスに恵まれています。技術革命前夜なのです」
Freemanは、VRが持つ有用な可能性を指摘する。VRはゲームやインタラクティブなコンテンツでユーザを楽しませてくれるだけでなく、うつ病やPTSDのような病の理解を促進したり、リハビリを助けたりすることもできる技術だ。
さらにはダイエットにも活用できる。UploadVRで最も読まれている記事の一つは、VRゲームで体重を50ポンドも減らした男性のエピソードである。この記事についてはVRInsideでも紹介しており、VRInside内でも人気があった。精神疾患の治療のような専門的な用途だけでなく、より身近にあるダイエットにもVRは有効らしい。
ARにも健康上の利点があるかもしれない。現代人が苦しむ肩こりや眼精疲労の軽減に役立つ可能性があるのだ。
ARグラスで視野の一部に情報を表示できれば、パソコンやモバイル端末の画面を覗き込む必要がなくなる。この画面を見る姿勢は首や肩に過度な緊張を強いるものであり、長時間続けることでストレートネックや様々な不調の原因になると言われている。ひどくなると抑うつ状態を引き起こすという説もあるほどだ。
パソコンが普及した現代では、画面を見ない生活は考えられない。テクノロジーによって得られる効率性や利便性を捨てることなく、より進んだ技術によってそのマイナス面が緩和されるならばありがたい。
期待されることが多いVR/ARにも、もちろん否定的な側面はある。これはどのような技術でも逃れられない宿命だ。使い方によって毒にも薬にもなるのが技術である。
VR/ARで特に指摘されるのは、人間関係の問題だ。これは従来のSNSでも言われていたことだが、デジタル技術を用いたコミュニティに依存しすぎることでリアルな人間関係に支障を来す可能性がある。特に子供や若者への悪影響が懸念されている。
最新のテクノロジー利用することは問題ではないが、依存するようになればVR/ARでもそれ以外でも問題だ。ソーシャルARに依存してグラスを外して過ごせなくなったり、VRに没頭しすぎて社会生活が送れなくなったりするなら、それは依存症である。
こうした負の側面を表に出さないためにも、Uploadが行っているVR/ARの教育は重要になるだろう。結局のところ、消費者がどのように活用するかがVRの行方を決める。
参照元サイト名:Forbes
URL:https://www.forbes.com/sites/cherylsnappconner/2017/03/05/visual-communication-takes-a-giant-leap-forward-with-upload/#4988900b2773
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.