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AMDがGDC 2017でゲーム産業に関わる複数の発表を行った。その中には、VRを扱う技術も含まれている。UploadVRがAMDによって発表された内容を伝えている。
AMDが発表した内容には、Asynchronous Reprojection技術のサポートがある。Valveとの協力により、AMDのAsynchronous Reprojectionに対するサポートが実現した。この機能は、Valveが独自に開発したものである。
VRのチラツキを軽減することで、ViveでのVR体験の質を向上させるための技術だ。役割としては、名前が似ているOculusのAsynchronous Time Warpとほぼ同じである。ただ、Asynchronous Time WarpはOculusRift用の技術なのに対してAsynchronous ReprojectionはHTC Viveプラットフォームで使われる技術となっている。
Asynchronous Reprojectionの恩恵を受けるために新しくAMDのパーツを購入する必要はない。この機能への対応はドライバのアップデートによって配信される。
NVIDIAのGPUを使用するユーザは昨年の11月からこの機能を利用できるようになっていたが、この3月に提供されるアップデートによってAMDユーザでも利用が可能となる。AMDのグラフィックボードを搭載したマシンでViveを運用しているユーザにとっては嬉しい機能追加だ。
Vive用にNVIDIA GPUを選ぶ利点は薄れることになる。ViveのVR用途に限らず、価格と性能のバランスを考えてパーツを選択できるようになり、PC構築の幅が広がる。
Unreal Engine 4は世界中で一般的に使われている人気のゲームエンジンだ。インディーズデベロッパーによる作品から誰もが知っている有名作品まで、多くのタイトルがUnreal Engineを使用している。そんなUnreal Engine 4でForward Rendering Pathがサポートされた。
Forward Renderingは、VR映像の速度や品質を改善してくれる。このことには、VRヘッドセットに使用されているディスプレイと一般的なPCモニタやテレビに使われるディスプレイが別物であり、仕組みが異なることが関係している。
Forward Renderingを採用したVRアプリケーションでは、映像による体験の質が向上すると期待できる。もちろん、全ての開発者がForward Renderingを採用するとは限らない。しかし、AMDがこの機能をサポートすることは同社とVRとの関係を考える上で重要だ。
AMDは、ゲーム開発・販売を手がけるベセスダとの協力体制を発表した。このパートナーシップはAMDのVR分野に大きな影響を持つ。
ベセスダはVRに対応した『Fallout 4』を開発している。このAMDとのパートナーシップは、AMDのGPUやCPUの性能を最大限に引き出し、VRゲームを実行するときのパフォーマンスを高めるためのものだと考えられる。
ベセスダとの連携は、VRタイトルの開発以外にも拡大するかもしれない。将来的にはベセスダのゲームを遊ぶならAMDのハードウェア、という理由でパーツを選ぶこともあるのだろうか?
Vegaというコードネームを持つ新しいGPUについて、AMDはほとんど何も発表しなかった。伝えられたのは、コードネームである「Vega」がそのまま商業名にも使用されるということだけである。
AMDはVegaアーキテクチャを搭載した新型GPUを発表しなかったが、NVIDIAはGTX 1080 Tiを発表している。AMDはGTX 1080 Ti以上のインパクトを持つ新製品を用意しているのだろうか。
GDC 2017でAMDが発表した内容は全く新しい製品や技術に関するニュースではなく、従来の製品を強化するような内容だった。Vegaアーキテクチャを搭載した次世代GPUの発表がなかったのは寂しいところだが、注目すべきはベセスダとのパートナーシップだろうか。
ハードウェアメーカーのAMDと、ゲームの開発や販売といったソフトウェア企業であるベセスダ。ハードとソフトで異なる領域を専門とする2つの大手企業によるパートナーシップだけに、協力して取り組むことのできる分野はかなり広いはずだ。
参照元サイト名:UploadVR
URL:https://uploadvr.com/amd-asynchronous-reprojection-vr-gdc/
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