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昨年の「VR元年」を経て、ハードウェア・ソフトウェアともに百花繚乱の様相を呈しているVR・ARプラットフォームは、現在ある問題を抱えている。それは、プラットフォームが乱立してしまったために、それぞれのプラットフォームに対応したハードウェア・ソフトウェアを開発するためには、個別の開発リソースが要求されてしまうことだ。
この問題は、開発者だけではなく、消費者にとっても悩みの種でもある。この悩みの種の具体例は、VIVEとOculus Riftの関係だ。今までは専用コントローラーがあるVIVEコンテンツのOculus Riftへの完全移植は不可能であった。やっとOculus Touchがリリースされて、VIVEとOculusで互換性が確保されたとしても、自分が欲しいコンテンツが移植されるとは限らない。
こうしたプラットフォーム乱立の現状を視覚化すると、以下のような図になる。開発者・消費者とも一見すると多様な選択肢があるように思われる。しかし、どの選択肢を選ぶにしても、少なくないコストがかかる。VR・AR市場の成長にとって、こうしたプラットフォーム乱立に由来するコストはマイナス要因でしかない。
以上の状況を解決するため、CG技術の規格統一を推進する非営利団体Khronos Groupは、2017年2月27日から3月3日まで開催中のGDC2017において、VR・ARの統一的なプラットフォーム「OpenXR」の確立を目指すワーキング・グループの結成を発表した。
同グループが目指しているプラットフォーム「OpenXR」とは、多様な選択肢を少ないリソースで実現することを理念としている。そうしたプラットフォームの概念図が、以下の図だ。
同プラットフォームは、ふたつの部分より構成される。ソフトウェアを開発する際に利用する統一的なプラットフォームが「OpenXR Application Interface」だ。このプラットフォームには、主要なゲームエンジン間の互換性を実現するためのAPI(Application Program Interface)用意される。この用意されたAPIを使えば、どのゲームエンジンでコンテンツを開発しても簡単に移植が可能となる。
もうひとつの部分が、ハードウェア間の互換性を実現する「OpenXR Device Layer」だ。この部分で用意されるソースコードを用いると、異なるプラットフォームのVRヘッドセットへの対応が簡単に実行できるようになる。例えば、ハードウェア・メーカーが同じデザインのVRヘッドセットで、ひとつはOculus Rift、もうひとつはVIVEとして製造する、というようなことが簡単にできるようになるのだ。もしかしたら、単一のVRヘッドセットでOculusとVIVEの両方が使えるクロスプラットフォームなデバイスが実現するのかも知れない。
以上のようなプラットフォームを実現するために、ソフトウェア・サイドにはUnity、Unreal Engineの開発元のEpic Games、ハードウェア・サイドではOculus、ValveといったVR業界を代表する企業がパートナーシップを締結している。
とは言え、同プラットフォームはまだ計画中のものであり、実際に実現した時には上記の構想とは異なったものとなる可能性もある。同プラットフォームの実現時期は不明であるが、VR・AR業界全体が足並みを揃えたという点において、OpenXRは非常に意義深いプロジェクトであることは間違いない。
OpenXRについて報じたUploadVRの記事
https://uploadvr.com/gdc-khronos-group-unveils-vr-ar-api-standard-openxr/
OpenXRを発表したKhronos Groupのページ
https://www.khronos.org/blog/the-openxr-working-group-is-here
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