リハビリの問題


イスラエルのスタートアップ企業VRPhysioがリハビリを支援するVRシステムを開発している。現在はスポーツや交通事故による頚椎・脊椎などの損傷からの回復をサポートするコンテンツが用意されているが、他の部位に対応可能なシステムを準備中だという。同社の取り組みをThe Jerusalem Postが取り上げた。


相手チームの選手と接触するようなスポーツでは、関節を痛めることがしばしばある。よくある突き指から、身体の麻痺や死に繋がるような重大なものまで程度は様々だ。もちろん、スポーツ以外の場面で怪我をすることもある。自動車事故によるむちうちが身近な例だ。


こういった怪我・故障からの復帰には休養や手術に加えてリハビリが必要となる。医師や理学療法士といった専門家は患者を助けてくれる存在だが、最終的には患者自身の努力が重要だ。面倒であったり、難しかったりといった理由でリハビリが不十分になると、回復も遅れてしまう。


VRPhysioが開発したシステムは、患者がリハビリを怠けてしまう(または、やめてしまう)ことを防ぎ、楽しくリハビリを進めてもらうためのものだ。


創設者の経験


VRPhysioの創設者は、自身が頚椎椎間板ヘルニア(首のヘルニア)で苦しんだ経験があるという。日本ではあまり馴染みのない理由だが、彼はパイロットとして任務をするうちに首を痛めてしまった。


イスラエル国防軍に所属していた彼はF-16(戦闘機)のパイロットだった。右手から始まった痛みは首から下の全身に広がり、鎮痛剤無しでは眠れないほどだったという。


ヘルニアのリハビリを行うことになったが、理学療法士に課された内容を終えることができずに治療は遅れていた。彼は理学療法士が診療所の外で患者を「監視する」ことができず、患者にとってはリハビリが退屈なものであるのが理由だと考えた。


VRPhysioのシステム



VRPhysioが開発したリハビリシステムは、



  1. 患者が楽しみながらリハビリできる

  2. 専門家が患者の状況をチェックできる


という二つの利点を持っている。


VRによるリハビリ



VRPhysioが提供するシステムでは、簡単にリハビリを始めることができる。患者はヘッドセットを付けて、ゲームを選び、ゲーム内の指示に従って進めていくだけで良い。


同社は、最初に患者がゲームとして楽しめるようなコンテンツを設計するところから始めたという。そこにリハビリを効果的にする動きを追加し、最後に理学療法士が患者に合わせてカスタマイズできるようにしてコンテンツを完成させた。


達成状況の確認



エクササイズの進行状況は、クラウド上に保存される。このシステムは、専門家が患者のリハビリ状況をチェックすることを可能にする。次に来所したときに行うリハビリの計画をしたり、進捗が思わしくない患者にメッセージを送ったりといった使い方が考えられる。


患者自身にとっても、治療の進み具合を確認できるのは励みになるはずだ。どれだけ状態が改善しているのかが見えれば、より積極的にリハビリに取り組もうと考えられるだろう。


VRPhysioの現状


一般ユーザ向けには提供されていないものの、既にイスラエル空軍はF-16パイロットの頚椎椎間板ヘルニアを防止する先進的プログラムとして同社のテクノロジーを取り入れている。公式ホームページによれば、システムの一般リリースは2017年4月だ。


また、ヘッドセットの25%割引が適用されるメールへの登録も開始されている。しかし、VRPhysio専用のヘッドセットを購入しなくてもHTC ViveOculusRift、Microsoft VRヘッドセット、Google Daydream、Samsung Gear VRなどとの互換性があるようだ。


施設向けでは、2017年の第1四半期にはボストンの一部クリニックで販売を開始し、2017年の末までにアメリカ東海岸にある全ての病院とリハビリセンターに普及させることを目指している。個人用としては、2017年の中頃に発売予定だという。


さらに、2017年には肩や脚といった全身に対応できるソフトウェアとウェアラブルセンサーの発売も計画されているようだ。


VRやクラウドといったITの活用によって、リハビリのあり方も変わるのかもしれない。


 


参照元サイト名:The Jerusalemu Post

URL:http://www.jpost.com/Israel-News/Sports/A-virtual-breakthrough-in-sports-rehabilitation-480664#article=10390NDhCNTRDQTJGRkRDOTIxODhFOTNGMzI4NDQxRjZEQzM=


参照元サイト名:VRPhysio

URL:http://www.vrphysio.com/index.html


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 VRを使ったリハビリシステムをVRPhysioが開発中