The AustralianがVRとARを活用したNASAの取り組みを紹介している。


2025年には小惑星、2030年には火星の有人探査を目指すNASAでは、VRがこれほど知られたものになるよりも前からバーチャルリアリティを活用していた。1980年台には、既に現在使われているのと非常によく似たヘッドセットが使われていたらしい。金額や開発の規模は桁違いだと思われるが、目指すところは同じだろう。


VRの進歩により、NASAの取り組みの中で活用可能な場面は増えている。VR/ARは宇宙飛行の前、途中、後のいずれにおいても活用できるという。ミッション前には地上でVRによるトレーニングを行い、宇宙空間では作業手順をARで確認しながら実験を進め、帰還後はVRコンテンツを利用したエクササイズで地球の重力に身体を適応させるといった利用法が考えられる。


NASAのソフトウェア主任によれば、VRのような技術の活用によって地上で行うトレーニングがリアルかつ低コストになるという。


現在のVRでは、実際の物体とシミュレーション内のオブジェクトを結びつけることが可能だ。電動ドライバーのような道具を使った船外作業を地球上でリアルに再現する場合、本物の道具は何百万ドルもする。本物を使っていても、重力が無い宇宙での感覚とは異なるはずだ。そして、訓練中に道具を落としてしまえば壊れる可能性もある。


VRはこういった問題をシンプルに解決してくれる。本物と同じ形をした道具を3Dプリントするだけなら、非常に安価だ。数百ドルかければ、センサーを追加してトラッキング機能とトリガーを付けることもできる。この道具を操作すると、バーチャルでは本物同様に動作して実際に作業しているような感覚になる。


これまでのトレーニングでは、本当に宇宙に居ると感じさせることができなかった。しかし、VRを使ったトレーニングであればそれが可能になっている。


こうしたVRプログラムは、単に宇宙飛行士個人のトレーニングに活用されるわけではないという。人間はリアルなVRでの刺激に対して、実際にその出来事が起きたかのように反応してしまう。作業中にトラブルが起きたときに宇宙飛行士がどういった反応を示すのかを確認し、必要であれば緊急事態を防ぐために予め作業計画を見直すこともできる。


もう一つの利用法が、船内で地球の環境を再現することだ。


人間が宇宙に滞在する場合、骨密度や筋肉量を維持するために毎日2時間程度の運動が必要になる。実験のためにISS(国際宇宙ステーション)に長期滞在する場合、あるいは小惑星や火星へとより長い旅をする場合には、狭い船内で単調な運動をこなさなければならない。VRを使って周辺の環境を変えることができれば、運動の助けになるだろう。船の壁を見ながらウォーキングを続けるのと、VRで再現された自然の中を歩くのとでは全く運動へのモチベーションが異なるはずだ。


滞在期間が長くなれば、精神面の負担も避けられない。リラックスできるVRコンテンツによって、長期ミッションのストレスが軽減されることも期待できる。


 


参照元サイト名:The Australian

URL:http://www.theaustralian.com.au/business/technology/nasa-team-boldly-going-deep-into-virtual-reality/news-story/ca9b9dabe270e43cd4449bced73df996


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 NASAがVRとARを宇宙飛行士のトレーニングやエクササイズに活用