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MediumにVRにおける「におい」に関する話題が掲載された。
現在のVRは、目に見える映像と、耳に聞こえる音声を組み合わせて仮想世界を作り出す技術だ。人間が視覚に依存する割合は大きいので、それでも一定の没入感を提供できている。だが、現実とVRはまだ違う。
人間は五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)によって現実の世界を認識している。一方で、一般的なVRがもたらしてくれるのは視覚と聴覚への刺激だけである。他の感覚を提供できれば、より没入感の高いVRを提供できるのではないだろうか。
テーマパークのライドや一部の映画館では、香りや熱、そして動きを感じさせる工夫がされている。あれをVRに取り入れられれば、体験は全く違ったものに進化するだろう。
目で見て、耳で聞くだけではない映像は、「視聴」以上の「体験」を作り出す。
映像に他の感覚を加える実験を通して、次のようなことが見えてきた。既に以下の事実を元にした次の映像が制作されているという。
暑い国をVRで体験しているとき、視聴者は熱を感じることを期待する。寒い部屋で、暑い砂浜にいる感覚を味わうのは難しい。適切な温度であれば作品の没入感は一層高まり、レスポンシブだと感じることができる。
他の感覚に比べ、嗅覚は記憶を想起させる能力が優れているという。嗅覚は生物にとって、外界を識別するための原始的な感覚なのだ。においを再現できれば、作品中の物体が実在する感覚が高まる。
実験ではいくつかの香りが用意されたが、体験者にとって十分ではなかったという。もっと多くの香りがあれば、体験はより豊かなものになっただろう。
複数の感覚を刺激する作品は、その強さを変化させることができるようにしなくてはならない。実験では、映像に合わせて温度を変化させた。しかし、においの強さや方向をコントロールする技術はなく、一定のものだった。体験者は変化を求めた。
360度映像ににおいや温度を付け加えることで、体験はより現実に近いものになる。実際に世界が存在する感じ、自分がそこにいて行動している感じを強くする。
Meidumの記事では、複数の感覚で「感じる」映像を体験した人を”experiencers”と呼ぶことを提案している。視聴者という表現では、VRを感じた人を表せない時代が来そうである。
どこの家庭にでもテレビやオーディオ機器はあるだろう。これを小型・軽量化したものがヘッドセットだ。しかし、においを再生するような装置はメジャーなものではない。におい付きVRの実現には、まだ時間がかかりそうだ。
もしもにおいを体験できるようになるとしたら、未来のヘッドセットは鼻まで覆うような形になるのだろうか?
参照元サイト名:Medium
URL:https://medium.com/@perspectivesvr/bringing-back-smell-o-vision-93fc39495a59#.kq8x5xlvd
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