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同メディアは、真に3Dホログラムを表示すると称するARデバイス「RealView」について、長年VRの研究をしているOliver Kreylos博士を招いて、その真偽を検証する記事を公開した。
同デバイスの真偽を確かめるためには、現在のVR・ARテクノロジーに共通して認められる「適合的眼球離反運動の不一致」を理解しなければならない。
この問題は、人間がふたつの眼球でモノを立体視することに根ざしたものである。なぜヒトがひとつではなくふたつの眼球を使うことによって立体的にモノを見ることができるかと言えば、左右それぞれの眼に入った視覚情報のズレをもとにして、脳が立体的なモノの知覚を合成しているからである。
現在のVR・ARテクノロジーにおいて、リアルなオブジェクトが存在しないにもかかわらず、奥行きのあるバーチャル・オブジェクトを見れる仕組みとは、左右の目の焦点が合うより遠方に「ズレ」に関する視覚情報を生成して、目の焦点があう距離にバーチャルなオブジェクトが現れるように脳に錯覚させているのである。
こうした仕組みは、VR・ARに限らず、紙に印刷された模様を目の焦点を外してみると立体的な図形が浮かび上がる現象にも共通している。
上述のような仕組みだと、両眼が知覚している視覚情報がもっている奥行きと、脳が立体視するバーチャル・オブジェクトがもつ奥行きは原理的に一致しないことになる。こうした視覚情報と脳の立体知覚の不一致は、「適合的眼球離反運動の不一致」(Vergence-accommodation conflict)と専門用語で呼ばれている(下の画像および動画を参照)。
だがしかし、「適合的眼球離反運動の不一致」が生じないホログラム合成テクノロジーが現在研究されている。それが「計算機合成ホログラム」だ。
同テクノロジーは、目の焦点より遠方に「ズレ」を見せることなく、ヒトが実際にモノを立体視する現象をコンピュータで再現して、リアルなモノと同等な奥行き=リアリティーもつバーチャル・オブジェクトを見せることを目指している。
現在、同テクノロジーには大きく2種類の手法があることが知られている。ひとつは、「フーリエ変換メソッド」で平面的なホログラムを見せる時に使われる。もうひとつが「点源ホログラム(Point Source Holograms)」であり、立体的なホログラムを見せる時に使われる。
どちらの手法もまだ実用化には至っていないが、「点源ホログラム」の方がコンピュータへの負荷が大きく実現困難とされている。
RealViewは、同社公式サイトに以下のような開発中のARデバイスのデモ動画をアップしている。
同動画を見たOliver Kreylos博士は、同動画がCGではないと仮定すると、「フーリエ変換メソッド」を使って平面的なホログラムを生成した後に、何らかの仕組みを使って立体的なホログラムに合成している、と推測している。
また同博士は、同動画に見られる影の入り方からすると、CGではなく本当にホログラムを生成していると考えられる、と述べている。
ただ、実際にARデバイスを入手しない限りは、詳しいことはわからない、と結論づけている。
なお、同ARデバイスのリリース日等の詳細情報は、現時点では全て不明である。
謎多きデバイスと言えばMagic Leapの名前が真っ先に挙るのだが、VR・AR業界にまたひとつ大きな謎が生まれたようである。
RealViewの真偽を考察したRoadtoVRの記事
http://www.roadtovr.com/realview-holoscope-ar-headset-hologram-display/
RealView公式サイト
http://www.realviewimaging.com/
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