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これまでHTC VIVEには専用コントローラーが付属していたものの、Oculus Riftは「Oculus Touch」というデバイスの存在が告知されていただけで、発売されてはいなかった。
しかし、とうとう2016年末にOculus Touchが発売!
二大VRデバイスそれぞれの専用コントローラーが出揃った形だ。
そこで、コントローラーの使用感という観点から改めてHTC VIVEとOculus Riftを比較したい。
HTC VIVEのコントローラーはスティック状の先端に、円形の傘のようなデザインが付属した独特の形状をしてえる。
手で持つと、表側のちょうど親指が触れる位置に円形のトラックパッドが存在。タッチしたり、スワイプしたりといった指の動きを感知してくれる。
そのちょうど裏側に銃のトリガーのようなボタンがあり、人差し指で操作が可能。
さらに両サイドにも細長いボタンが存在。手の平、もしくは中指や薬指といった指で押すことができる。
また、トラックパッドの上にメニューボタン、下にはシステムボタンが配置されており、ユーティリティ的な操作を実行可能だ。
HTC VIVEコントローラーを手に持つと、一般的な家電製品である電動シェーバーやバリカンといったものを持ったような感触に近い感触だ。
ただ、プレイ時に正しい握り方でグリップすると、コントローラー背面にあるトリガーボタンによって銃を持ったような感覚。
一方で、コントローラー表面にやや丸みを帯びていることから、「剣だ」と言われれば剣を持っているようにも思える。
このため、ゲーム中で銃と描かれれば銃だと感じられるし、剣に描かれていれば剣に、調理用具に描かれていれば調理用具のように感じることが可能だ。
ゲーム中で様々な描き方をされるVRコントローラーとして、正しい形といえるだろう。
手に握りこんで使うスティック状のオブジェクトをVRコンテンツ内で使う限り、HTC VIVEコントローラーの親和性は非常に高い。
正確にトラッキングされるかどうかという点はゲーム任せなところがあるものの、正確にトラッキングされている限り、ゲーム内の現実感が損なわれるということはないだろう。
一方、素手で何かを触れる動きだとか、パンチでキャラクターを殴る動きだとかいったシチュエーションでは、若干の違和感を覚える。
HTC VIVEコントローラーを使うゲームでは、プレイヤーが担当するキャラクターは何らかの道具を使用するという設定の方がしっくりくるはずだ。
Oculus Touchは、銃のグリップのような形状の上部に円形のお皿のようなデザインがついており、さらにお皿の部分へリング状のデザインがついているというこれまた独特のデザイン。
ファミコン世代のコントローラーに詳しい人なら、左手のみで使用するRPG専用コントローラー「アスキースティックL5」に近いといえばイメージしやすいと思う。
お皿の上部にはアナログスティックとXボタンYボタン、さらにメニューボタンが配置されており、いずれも親指で操作するようになっている。
人差し指が触れる部分にはトリガー状のボタンがあり、中指が触れる場所にも細長いボタンがひとつ。
親指でアナログスティックを操作しつつ、人差し指、中指でボタンを操作、薬指と小指は本体をホールド…という使い方を意識して設計されているようだ。
Oculus Touchは手のひらの中にすっぽり収まるような感覚がある。
持った感じに一番近いのは、任天堂が発売していたゲーム機、Wiiのコントローラーのひとつ「ヌンチャク」だ。
WiiのヌンチャクはWiiリモコンと組み合わせる都合上、基本的に左か右のどちらかの手で操作する形になっていたが、Oculus Touchは両手で持つ。
このため、両手で不自由なく使えるよう、コントローラーの形状は左右対称になっている。
Oculus Touchのユニークな点は、グリップ中、コントローラーの物理的な感触はもちろんあるものの、何かを持っているという感覚があまりしない点。
このため、HTC VIVEコントローラーのようにVRコンテンツ内で何か道具を使っているという感覚が少ない。
Oculus Touchを使った感覚は、VRコンテンツ内に手が持ち込まれたというものだった。
何かを持っているという感覚があまりない点や、ボタンを軽く押しているのか、強く押し込んでいるのかを感知してくれる点などが、この印象を作り出している。
このためVRコンテンツ内で手ぶらの状態から何か手に持つ…というようなシチュエーションが自然に感じられた。
一方で重みがないため、VRコンテンツ内で大きめの銃や鋼の剣などズッシリとした重い物体を持った際には多少の違和感を感じる。
HTC VIVEコントローラーとOculus Touchの両方を使用した結果としては、どちらが上でどちらが下というものではなく、想定されているシチュエーションが異なるということだ。
この2つを比較することは、ゲームのコントローラーでいえば、アーケードスティックとマウスを比較するようなもの。
格闘ゲームをプレイしてコンボを叩きだすなら断然アーケードスティックだが、FPSをプレイしてヘッドショットしまくるなら圧倒的にマウスだ。
ではそれぞれのコントローラーがどのようなシチュエーションに向いているかというと、HTC VIVEコントローラーは何かものを持っているタイプのVRコンテンツに向いており、素手の表現には向いていない。
この逆にOculus Touchは手で触れたり、何かを持った感覚の再現には向いているが、重みがないため重いものを使っているという感覚に乏しい。
このため、VR内で3Dモデリングするような汎用に用いるならのはOculus Touchが向いていると感じる。一方、ゲームに特化して考えると、何かしら銃や剣などを持っていることが多いためHTC VIVEコントローラーの方がしっくりくるように感じた。
できれば、プレイするコンテンツによって切り替えたいところだ。
2つのVRコントローラーを使ってみて改めて思ったことは、HTCは、何か物体を持つという設定こそがVRゲームの主流になると考えているのではないかということ。
だからこそ、「VIVEトラッカー」という、野球のバットやテニスのラケットといった現実の物体に取り付けることでVRゲームのコントローラーとして用いられるという新デバイスを発表した…そんな印象を受けた。
昨年が「VR元年」なので、VRのコントローラーの進化もまだまだこれから。
HTC VIVEコントローラーやVIVEトラッカー、Oculus Touchも含めて、この先のVRコントローラーの進化に期待したい!
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