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ARテクノロジーを世界に普及させる急先鋒とも言えるHololensには、ひとつの限界がある。その限界とは、視野角の限界だ。
メガネ状のカタチをした同デバイスは、レンズから見えているリアルな世界に対してホログラフィックなARオブジェクトが重なって見えるようにするものも、レンズを通しては見ていないけれどもヒトの目には見える同デバイスの視野角の範囲外では、ARオブジェクトが表示されない言わば「裸のリアルな世界」が広がることになる。
同デバイスの視野角とヒトの視野角(一般に180°〜200°と言われている)が一致すれば問題ないのだが、VRヘッドセットとは異なり視野全体を覆うわけではないメガネ型の同デバイスには、ヒトの視野角をカバーしきれない「死角」が避け難く生じてしまう。
Microsoftは、そんなHololensの死角を補う方法に関する特許を2015年6月17日に申請し、2016年12月22日に発行の許可がおりた。この特許を簡単に説明すると、Hololensの視野角の範囲外はプロジェクターを使ってARオブジェクトを表示する、というものだ。
同特許に掲載されている模式図によると、Hololensの視野角を補うためには、まず同デバイスと連動したプロジェクターを複数用意して部屋に設置する。そして、プロジェクターからHololensが表示するARオブジェクトと連続するようなAR表示を、部屋いっぱいに投影するのだ。こうすることで、部屋いっぱいにAR世界が広がる体験を実現する。
実のところ、コンシューマー版もリリースされていないHololensに以上のような特許が実装される保証は何ひとつない。ただ、同デバイスにAR表示に関する死角が存在するのは事実であり、実際、2016年12月6日、Microsoft Researchは同特許をさらに発展させたようなARデバイスのデモ動画を公開している。
上の動画では、ARデバイスを装着したユーザーの視線を感知して、ARデバイスがカバーできない範囲を特定したうえで、プロジェクターを使って死角を埋める、というデモを実行している。
Hololensが本格的に市場に出回るのは来年以降と思われるが、現段階からその弱点を克服する方法を抜かりなく研究しているところを見ると、MicrosoftはHololensの普及にかなり「本気」だと言えるのではなかろうか。
Hololensの視野角の範囲外を補う特許を掲載しているアメリカ特許局のウェブページ
http://appft.uspto.gov/netacgi/nph-Parser?Sect1=PTO2&Sect2=HITOFF&p=1&u=%2Fnetahtml%2FPTO%2Fsearch-bool.html&r=8&f=G&l=50&co1=AND&d=PG01&s1=microsoft.AS.&OS=AN/microsoft&RS=AN/microsoft
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