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昨年リリースされたVIVEに加え、年末にはOculus Touchもリリースされ、その他にもハンドトラッキングのツールは幾つか存在する。
今後こちらのコンテンツが増えていくだろうと予想されるなか、これまで多数の大がかりな仕掛けのVRアトラクションを多数手掛けてきた株式会社ハシラス代表の安藤(旧:藤山)晃弘氏に、2017年ハンドトラッキングVRについての見解を聞いてみました。
VRにおいて、最初に「自己」を認識する手がかりに、「手を動かして見てみる」というのがあります。
これは、ヒトだけに限らず、自己認識の発達したサル科の動物においても共通のようです。
手を顕在化する、というのは直近の重要な課題なのは間違いないです。
五指を滑らかにセンシングし自己の手として認識させる方法は無数にありますが、普及モデルとして安価で高性能なものについては、LEAPが先駆けであり、特にV2の改善は目を見張るものがありました。
しかし、現状でも視界全てを覆うほどのセンシングエリアが無いため、「自然に没入できる」という域には達していないのが実情かと思われます。また、仕組み上、触覚を再現するには別機器との連動が必要になると思われます。
Oculus Touchは、手とボタンとの距離によってサムズアップなどの表現ができる所は面白いものでしたが、薬指・小指で掴んだまま中指で拾う・放すという操作をさせる動作は、直感との乖離が大きいことから、標準化に至るほどのインパクトは無いだろうと思っています。
VIVE、PSVRのコントローラーは、棒を握っている感での実装となっており、「手」を表現する優先度を下げているのだろうと思われます。
(これは最初から目指していないというのではなく、価格とリリースタイミングの都合だと想像しています)
グローブ型で完璧なフィードバックがあるタイプが家庭用に入るというのはしばらく無いでしょう。
普及に至る最小要素を持っていてコストが安いことが肝要になると思われます。
以下のポイントを評価軸として考えています。
①センシングの外れにくさ
これは最重要項目と思います。あれ?動かないよ?というのはゼロにする、というのがスタートと思われます。
②価格等の普及しやすさ
これは言い換えると、「HMDを出している会社とどれだけ顕密に連携しているか」に依存すると思われます。
HMDのポジションを取る仕組みと連携できない場合、ハイコストになることが明らかだからです。
この点、各HMDメーカー製のコントローラーこそが最重要になると考えています。
③直感と操作の一致
握る、放す、押す、使う、などがどれだけ直感的にできるか。ここは、コントローラー形状として優れたものに
収斂していくのではないかと思っています。
④五指の動き等、「手感」
タイトに一致させるのは、コストパフォーマンスが悪いと感じています。Touchのようにまあまあ一致であっても
プレゼンスは剥がれにくいので、バランスの良いソリューションが求められるでしょう。
⑤触覚フィードバックの有無
こちらは、あった方が良いのは間違いありませんが、「重量」「硬度」などにこだわると果てしなくコストが上がるので、
まずは「有る」「無い」感じや「押し込んだときのクリック感」などからと思われます。
LEAPはこの感触がゼロであることはハンディであり、主流となるのは苦しいと思われます。
HTCが新コントローラーとしてチラ見せしているこちらに最も期待を寄せています。
OMG OMG OMG ABOUT TO TRY THE FUTURE #SteamDevDayspic.twitter.com/a1SVHUeqos
— Eva (ee-vuh) Hoerth (@downtohoerth) 2016年10月12日
Light Houseという、現状最もセンシングが外れにくい仕組みの中でこれを使い、「握る」「放す」をストレスなくできて、触覚が発生する、というのは一歩リードという感じです。
棒状コントローラーであっても、棒の先端に突起をつけ、それで物を触る、持つ、などの操作をすることで強いプレゼンスを感じられることを確認しています。
特にロケーションVRにおいては、「VR内と同寸法にて筐体デザインをしたものを置き、一致するようにキャリブレーションする」という手法で、バーチャルワールドの物体に自分の手で触れられるというアプローチがあります。
これは、アドアーズ渋谷店に納品している「ソロモン・カーペット」にて効果を確かめて頂くことができます。
また、足そのものをセンシングする替わりに、少しカタカタする板をセンシングしてそれに乗ることで、足の置き位置を脳内補完させる、とういアプローチもあります。これは「ツリバシ→コウカ」というコンテンツにて体験できます。
上記の例のように、直接的に手を再現する手法と合わせて、「手にもったマジックハンドで物を持つ」かのような二次的触覚フィードバックを活用すると、既存デバイスでも高い「手感」を持ったコンテンツ制作ができます。
コントローラーの発展をウォッチしながら、その時のデバイスに合わせて表現・構成も洗練して行きたいところですね。
全天球実写映像を使った「少し自由に動き回れる実写」とテーマにしたVR観光用アトラクション。
座間味 ロケットジャンプ
VR技術を身体の活性化やトレーニング、福祉スポーツに役立てようとする試み。
オム二ジャンプ
ソロモンカーペット VR
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株式会社ハシラス 代表取締役社長
http://hashilus.com
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