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イマクリエイト社、InnoJin社、住友商事社の三社合意により開発された今回のVR弱視治療用アプリは、
VR上で左右の眼に異なる映像を表示する
ことで『アイパッチ治療』と同等の治療効果の実現を目指しています。
この「VR弱視治療用アプリ」を活用することで、”ゲーム”や”動画視聴”といった『子どもが自然と夢中になれる内容』を用いて治療が行えるため、『効果的かつ患者家族への負担が少ない治療』の実現へ期待が寄せられています。
また「VR弱視治療用アプリ」には”眼”と”手”の協応運動による『立体視訓練』も同時に実施できる仕様となっています。
さらに、『アプリの使用時間を記録すること』もできるため、『より効果的な治療計画の立案』に役立てることも可能です。
『治療用アプリ』とはデジタル技術を用いて、疾病の”予防”や”診断”、”治療”といった『医療行為を支援または実施するソフトウェア』の一つで、「デジタル治療」や「デジタルセラピューティクス」とも呼ばれています。
日本では、2014年の薬機法制定時に「医療機器プログラム」として治療用アプリが承認対象となっており、アプリ単独で、あるいは医薬品や医療機器と併用して用いられています。
一般的な”ヘルスケアアプリ”とは異なり『医療機器として医師が処方する』ことから、『臨床試験』を通じて臨床上の有用性(エビデンス)を確認し、『当局の承認』を得て保険収載され、保険適用されます。
既存医薬品では完治が難しい『生活習慣の改善』や『認知や行動の変容』、あるいは『器官を直接的に刺激すること』が必要となる疾病を中心に製品開発が進められ、治療効果が期待されています。
弱視とは『視力の発達が障害されたことで引き起こされた低視力』で、『眼鏡をかけても視力が充分でない場合』を指しています。
日本では子どもの約3パーセントが罹患する病気とされ、年間およそ3万人のペースで患者が増加している状況です。
弱視に対する現在主流の治療方法は”眼鏡装用”および”アイパッチを用いた健眼遮蔽”となっています。
”健眼遮蔽”とは視力の良い方の眼を毎日一定時間アイパッチで覆い、弱視の眼を強制的に使用させることで視力発達を促すという治療方法ですが、
・子どもが嫌がることが多い
・患者家族の協力が求められる
など、患者や家族への負担が大きいというデメリットがあります。
患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受ける『アドヒアランス』が低下することで、治療効果も低減してしまうという課題を解決するため、患者家族に負担が少ない弱視治療方法が望まれているという背景があります。
そこで、イマクリエイト社、InnoJin社、住友商事社の三社は
・イマクリエイト社:治療コンテンツの開発
・InnoJin社:学的見地からの製品監修と医学的エビデンス取得、医療機器としての承認申請
・住友商事社:開発や申請にわたる全般のプロジェクトマネジメント
を担当することで合意し、小児の弱視患者向け治療用VRアプリが開発され、臨床研究用プロダクトが完成しています。
三社は今後、治験および薬機法に基づく医療機器承認取得を進め、2025年度中の承認申請を目指すとともに、アプリ機能および治療対象の拡充を行いたいとしています。
これにより、治療用アプリの開発・普及を通じ、医療へのアクセス向上に寄与、また人々の心と体の健康を支え、地域社会の発展に貢献することを目指しています。
医療及びヘルスケアに関するITを活用した事業を展開するInnoJin社と、総合力を生かした多角的な事業活動を展開する住友商事社、XRシステムの企画および開発、運用、コンサルティングを手掛けるイマクリエイト社が共同開発している、小児向けVR弱視治療用アプリの臨床研究用プロダクトが完成しています。
2025年度中の承認申請を目指し、臨床研究や治験、薬機法に基づく承認取得が進められる予定となっています。
ゲーム感覚で楽しみながら取り組める治療ならば、親子ともに楽しく取り組むことができそうなので、しっかり治験を実施した上で、一日も早く承認されることに期待するニュースですね。
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