VRやARなど仮想現実テクノロジーはゲームや産業、教育など幅広い分野で活用されるようになりました。

そんな中でこれからさらなる活用が期待されているのがMRです。

この記事は年々注目度が上がるMRについて

・どんな技術なのか?

・どんなことができるのか?

といった点についてまとめました。



MRとは?

MRとはMixed Realityの略で「複合現実」と訳されます。

現実世界の情景に重ね合わせる形で仮想現実を表示する技術です。

部屋のレイアウトや家具の配置など空間の様子を専用デバイスがリアルタイムで認識し、本当に存在しているかのようにピッタリ合った位置やサイズで仮想オブジェクトが表示されます。

装着するデバイスの動きにシンクロして、利用者の位置に応じて見え方が変化するのも特徴です。

MRはどんなことができる?

現実空間の中に仮想現実を違和感なく重ね合わせるMRでは、

・仮想オブジェクトを実寸大で表示

・歩き回りながら仮想オブジェクトを確認する

・複数人で同時に仮想オブジェクトを共有する

といったことができます。

そのため、さまざまな分野で活用が進められるようになりました。

MRの活用例

では、実際にどのような分野でMRが活用されているか詳しく見ていきましょう。

エンタテインメント

XRを活用している分野の代表といえばエンタテインメントです。

MRに関しても例外ではありません。

2018年に東宝と日本マイクロソフトが開催したMRイベント「ゴジラ・ナイト」では、東京・日比谷のビル街にゴジラが登場する体験が実現しています。

雄叫びをあげながら118mもの巨体が大暴れし、目の前に迫ってくる大迫力の体験はゴジラファンならずとも大きな話題となりました。

製造業

製造業はMRが大活躍する分野の一つです。

製造作業や保守点検において現場の様子をリアルタイムで共有し、逆に離れた本部から現実空間にマーキングしながら指示を送ることができるようになります。

また、MRを活用すれば完成品のイメージを他のスタッフと共有しつつチェックすることも可能です。

実寸大の3DCGを現実に配置することができるため、完成イメージ画像やミニチュア模型を使うよりもデザインなどをしっかりと確認できます。

建設現場

土木建築の分野はVRやARを使った施工管理システムが登場するなど、XRを積極的に導入している分野です。

特にMRは建設現場で事故の危険を減らしながら効率的に工程確認をするためのツールとして活用が進んでいます。

大林組は駅の補強工事や橋梁建設の現場でMR投影によって施工手順を可視化し、

・実際のスケール感

・危険箇所

・危険作業

などを事前に作業員が共有することで安全と効率を両立した作業に役立てたとのことです。

外部サイト:大林組

インフラ整備

発電所などの重要インフラでは一つの作業ミスが重大事故につながったり、多くの人々の生活や生命に影響を及ぼします。

そこで、発電所などの整備作業を効率化するために東京電力はポケット・クエリーズ社とMR現場支援システム『QuantuMR(クァンタムアール)』を共同開発しました。

作業員が装着したMRグラスのカメラを通して本部のスタッフが現地の様子をリアルタイム確認した上で、

・双方向の音声会話

・適切な作業マニュアルを仮想表示サポート

・必要なデータ等の表示サポート

など遠隔支援を行い迅速かつ正確な作業を実現することができるとのことです。

外部サイト:QuantuMR[東京電力HD]

医療現場

画像:リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ社の治療シミュレーションシステム

医療においてもMR技術は活用されるようになっています。

患者のデータを元に作成した人体モデルを使ってシミュレーションを徹底的に行うことで、安全かつ効率的に手術を行うことが可能です。

例えば、リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ社とモリタ社が開発した歯科医向け治療シミュレーションシステムでは、患者の口腔内3DCGモデルを使って治療方針の検討やシミュレーションを行うことができます。

また、治療方針、手術の説明の場面においても患者の3Dモデルを活用することによって、わかりやすい説明ができるようになりインフォームドコンセントの実現にも役立ちます。

さらに、役立つとされているのが遠隔医療です。

現地に経験不足の医師しかいない場合でも、遠隔地にいる熟練医師のリアルタイムの指示を受けながら手術を行うことができます。

同じように医師のスキル訓練において実際の症例に合わせた3DCGモデルを使って、現場医師の手技を確認できるので、効果的にスキル向上につなげることが可能です。



ARやVRとの違い

MRはARやVRとともに「XR(X Reality:クロスリアリティー)」とまとめて表現されます。

いずれも仮想現実に関する技術であるため、似たものと捉えられることが多いようです。

しかし、それぞれに特徴があり大きな違いがあります。

どのような違いがあるのか詳しく見ていきましょう。

ARとの違い

AR(Augmented Reality)は「拡張現実」と訳されるもので、3DCGで表現された仮想現実やデジタル情報を現実世界に投影する技術です。

スマホ、タブレットのカメラやARグラスを通して世界を見ることで、現実世界に仮想現実が重ね合わされたような体験ができます。

「ポケモンGO」や「SNOW」の大ヒットによって一気に普及し、

・ゲーム

・ファッション

・マーケティング

など幅広い分野で活用されるようになりました。

ARとMRは現実世界の中で仮想現実を体験できる点で混同されがちです。

しかし、ARでは仮想現実が現実世界に投影されただけにとどまりますが、MRの場合には現実世界と仮想現実がお互いに影響し合う点で異なります。

例えば、MRでは仮想現実のモノに触れたり、回り込んで違う角度から見ることができるなど、仮想現実をよりリアルなものとして感じることができます。

VRとの違い

VRとはVirtual Realityの略で仮想現実と訳される技術です。

専用のゴーグルを装着し、3DCGによって構築されたもう一つの現実世界に視界と聴覚を没入させて体験します。

仮想空間での体験があたかも現実での体験かのように感じられるため、

・ゲーム

・社内研修・トレーニング

・オンラインミーティング、イベント

など幅広い用途で利用されているのが特徴です。

MRとVRは3DCGを使った仮想現実を体験できる点で共通しています。

しかし、VRが現実世界と隔離された体験をするのに対し、MRでは現実世界をベースに仮想現実が追加される点で異なります。

MRを利用するには?

MRを体験するためにはMRグラスといった専用デバイスが必要です。

専用デバイスは頭部に装着するヘッドセットタイプが主流ですが、近年ではより装着しやすいメガネ型のモデルも登場しています。

最も有名なMRデバイスはマイクロソフト社の「HoloLens2」です。

本体のみで完結するヘッドセット型で、シースルータイプのディスプレイに3DCGを投影することでMR体験を実現します。

また、Windows MR(Mixed Reality)ゴーグルは、視界を完全に遮断してMRコンテンツを表示するVRゴーグルのような方式を採用しているのが特徴です。

これらを含めた主要MRグラスについては以下の記事に詳しくまとめました。

関連記事:MRグラスとは?主要MRデバイスにARグラスとの違いも紹介

まとめ

現実空間と仮想現実を融合するMRは

・リモートワーク

・メタバース

などをはじめ今後ますます活用が期待されています。

ただ、MRの普及にはMRグラスの少なさという課題が残っています。

そのため、MRには産業向けのXR技術というイメージが強く、一般への普及浸透が不十分です。

しかし、近年ではMRグラスの開発を行うメーカーも増えており、一般向けのMRグラスも登場するようになってきました。

より手に入りやすく、使いやすいMRグラスが登場すれば、MRの普及にとって大きな一歩となるのではないでしょうか。








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情報提供元: VR Inside
記事名:「 MRとは?AR・VRの違いなどMR技術について解説