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ユーザーの視界に様々な情報を表示できるARゴーグルは、現在主にエンタープライズ分野において活用の取り組みが進んでいます。
アマゾンも同社の倉庫内で働く従業員用ARゴーグルの開発を計画しており、アマゾン従業員向けのARゴーグルの特許を取得したことが明らかになりました。
今回アマゾンが取得した特許は「業務改善を促進するARユーザーインターフェース」というタイトルで、同社の倉庫内従業員向けのARゴーグルに関して記載されています。
アマゾンのような大手であれば巨大な倉庫を抱えています。
そのため、倉庫のあちこちにある商品をピッキングするには倉庫中を歩き回る必要があり、多大な時間と労力がかかります。
アマゾンは仕分け作業にロボットを活用することで、従来よりも大幅に業務効率を改善していますが、ここにスマートグラスを導入することで、業務効率をさらに改善して、より正確な指示が出せるようになります。
デバイスを装着した従業員の視界に様々なナビゲーションをAR表示するので、目的の商品がある場所まで素早くたどり着くことができます。
特許に記載されている内容によると、このデバイスは装着者の様々なデータをトラッキング可能で、方位データから身体の傾きや向き、加速度データまでもがトラッキングできるとのこと。
それによって、従業員の歩くスピードや正確な位置、向いている方向までもが把握できます。それぞれの従業員の動きや業務スピードが包括的に分かるので、倉庫内の配置や経路など、業務効率の改善につながる問題点を見つけやすくなります。
また米ギズモードでは、特許中に記載された本デバイスの使用例として、装着者の視界に様々なインストラクションや指示を表示できることを挙げています。これらの情報は装着者が止まっているときに表示されるとのことで、歩行中にデータを視界に表示しないのは、おそらく安全対策と思われます。
今回アマゾンが特許を取得したスマートグラスが実際に製造されるかはまだ不明です。しかし、グーグルグラスなどの様々なスマートグラスがエンタープライズ向けに登場しており、複数の企業では現場作業にスマートグラスを活用する取り組みも行っています。
アマゾンはドローンを用いた配送や、倉庫内にいち早くロボットを導入するなど、最新テクノロジーを活用することで大幅な業務改善を行っています。アマゾンがスマートグラスを導入する可能性も大いにあり、続報に注目されます。
ARゴーグルをはじめ、スマートグラスは製造業から倉庫内作業など様々な現場において活用できるデバイスですが、いくつかの企業ではすでにスマートグラスやMRデバイスを活用する取り組みを進めています。
エンタープライズ、コンシューマー向けのスマートグラスメーカーであるVuzixはシンガポールの航空会社にスマートグラス「M300」を納品しており、空港スタッフはスマートグラスを装着してリアルタイムで手荷物や貨物コンテナの搭載を確認することで、作業効率の向上を図っています。
また、米の航空機エンジンメーカーのGE Aviationは、グーグルグラスを活用することで作業スピードが16%早くなったことを実証しています。
その他、MRデバイスHoloLensを用いて、これまでは習得に時間のかかった技術を若手社員が素早く習得できるソリューションなど、様々な分野においてARの活用が進んでいます。
アマゾンが計画しているスマートグラスはまだ特許の段階ですが、使用者の様々なデータをトラッキング可能であるなど、これまでのARゴーグルにはない様々な機能を備えた高性能なデバイスのようです。
自分が探している商品の位置などが視界に表示されるので、倉庫内を迷い歩かなくて済むので、これまでの倉庫内作業に要していた時間的コストを大きく削減できそうです。
一方で、使用者の位置や動きなどをリアルタイムで把握できるという機能は、サボり防止になる反面従業員のストレスにもなりかねず、慎重な扱いが必要となります。
ARゴーグルやMRデバイスの現場での活用はまだ始まったばかりで、多くが実証実験レベルですが、このような取り組みが増えるにつれてスマートグラス活用の様々なメリットが見つかりそうです。
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