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VRはもっぱらゲームなどのエンターテイメントにおいて普及が進んでいますが、トレーニングや教育、メンタルヘルスの治療など多岐にわたる分野でも活用できるものとして、様々な取り組みが行われています。
そのうちの一つが、受刑者の教育にVRを活用するというもので、米国では服役中の受刑者向けの矯正プログラムにVRを取り入れています。
米国では複数の刑務所において、受刑者が社会復帰するための矯正プログラムにVRが活用されています。
場合によっては数十年という長い年月を刑務所で過ごすと、社会生活におけるマナーや、日常生活で行う様々な行為を忘れてしまい、釈放後も社会生活にうまく適応できない、といった問題があります。
VRはこうした問題の解決策として活用されており、VR空間で社会生活を疑似的に体験することで、受刑者の社会復帰をサポートしています。
海外VRメディアのVRFocusは、米国内にある複数の刑務所において、VRを受刑者の矯正に活用する事例を紹介しています。
ペンシルバニア州にあるBureau of Community Correctionsの所長であるDanny McIntyre氏は、受刑者が釈放後の社会生活を疑似的に体験するためのツールとして、VRは興味深いツールだと述べています。
また、コロラド州で受刑者矯正プログラムのコーディネーターを務めるMelissa Smithは、Nsena VRというVR企業の協力のもと、受刑者向けのVRプログラムの開発を行っています。
このプログラムは、受刑者が釈放後に社会復帰した際に行う様々なことをVRで再現するもので、たとえば
など、合計で32のシチュエーションをVRでシミュレートできるとのことです。
こうして、日常生活で行う様々なことをVRで疑似的に体験することで、受刑者が釈放後、社会生活にスムーズに馴染めることを目的にしています。
もちろん、VRのみで社会復帰後のスキルや知識をすべて学ぶことはできませんが、VRでは様々なスキルや状況を実際に体験することによって学習できるので、知識のみの学習に比べるとより直感的で、高い学習効果を期待できます。
VRに加えて、矯正プログラムでは様々な講習を通して新たなスキルを身に着けたり、ソーシャルワーカーとの協働によって受刑者のストレス耐性を向上させたりなど、様々な方法を通して矯正を行います。
現在のところ、VRを用いた矯正プログラムを受けた受刑者のうち、実際に釈放された例はまだなく、したがってVRが受刑者の矯正において真に有効なものかどうか、まだ判断はできないとMelissa Smithは述べています。
しかし、米国では上記で述べたペンシルバニア、コロラド州以外でも、受刑者の矯正にVRを活用しようとする州が複数あり、このような事例は今後多くの施設にて採用されていくものと考えられます。
VRを用いた教育では、実際の知識やスキルを体験できるので、より実際の状況に近い環境で学習することができます。
この特性を活かして、たとえば従業員のトレーニングや手術のシミュレーションなど、様々な分野において活用が見込まれています。
受刑者の矯正においても同様ですが、社会生活をVRで体験させることによって、受刑者の社会復帰のモチベーションを向上させることにもつながりそうです。
願わくば、VRによって受刑者の社会復帰がより円滑になることを願うばかりです。
参考サイト:VRFocus
VR店長
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