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「VRChat」や「AltSpace」など、バーチャル空間で様々な人と交流できるソーシャルVRが流行っていますが、これを業務に取り入れることで大きな業績を出している企業が存在します。
eXp Realtyという北米の不動産会社は、企業活動の大半をバーチャル空間内で行うことによって、物理的なオフィスを持たずに事業を展開しています。
eXp Realtyは2007年に創業した北米の不動産企業ですが、今急激に成長していることで注目を集めています。
海外メディアSinguralityHubが行った取材によると、2017年10月以降、eXp Realtyの株価は約3倍に成長、2018年に入ってからは7カ月足らずで代理店スタッフの数が2倍に増加、また5月にはナスダックにも上場するなど、その著しい成長ぶりが伺えます。
この高い成長率の要因となっているのは、VRだといいます。eXp Realtyでは、従来はオフィスで行ってきた業務活動のほとんどをバーチャル空間に移行することで、物理的なオフィスに出社する必要がまったくないという、これまではあり得なかったワークスタイルを実現しています。
eXp Realtyは、リアル世界に物理的なオフィスを一切持っていないので、したがって電車や車で通勤する必要がありません。
もちろん、会社登録の際の住所や、書類などの物理メディアを保管するための場所は所有していますが、社員が出社するためのオフィスというものは基本的になく、社員間のコミュニケーションはほぼすべてがバーチャル空間内で行われます。
社員は、アバターでVR空間内のオフィスに「出社(=ログイン)」するだけで良く、同僚との打ち合わせや、会議、研修など、これまでは物理的なオフィスでないとできなかったことのほぼ全てを、バーチャル内で完結することができます。
ですので、オフィスに通うための時間が実質的にゼロで、また出社もログインするだけで済むので、交通費もかかりません。
社員は、専用のソフト「eXp World」をダウンロード、PCにインストールすることで、eXp RealtyのVRオフィスに「出社」することができます。
バーチャルオフィスにはVRヘッドセットを用いてログインすることもできますが、通常スペックのPCから使用することもできるので、VRデバイスやハイスペックのPCを必要としません。
実際、eXp Realtyの社員でVRデバイスを使用している人はほぼおらず、PCの2D画面からオフィスにログインして、会議や研修などに参加しているとのこと。
eXp RealtyのCTO(最高技術責任者)であるScott Petronis氏は、SingularityHubの取材において、「バーチャル空間内のオフィスは弊社の成長において重要な要素だ。もし物理的なオフィスを構えていたら、ここまでの成長はあり得なかっただろう」と述べています。
ちなみに、この時の取材もバーチャル空間内で行われたもので、SingularityHubの記者は「eXp World」をPCにインストールして、アバター姿のPetronis氏とのインタビューに臨んだとのことです。
eXp Realtyは土地の売買を業務とする典型的な不動産会社ですが、共同作業やセミナーなどを実施するにあたって、そのための場所を必要としていました。
そして、これらのことはリアル世界でなくても行うことが出来るとの結論に至り、バーチャル空間を利用するというアイデアに至ったそうです。
会議室やオフィスを借りる必要がないので、場所代にかかる費用は実質ゼロで済みますし、また実際のオフィスに足を運ぶ必要がないので、住んでいる場所を問わずに様々な場所の人材を雇うことができます。
実際、eXp RealtyのCTOであるPetronis氏はニューヨーク在住で、CEOはワシントン州、COOはアリゾナ州、CFOはネバダ州、といった具合に、それぞれの社員が遠隔地に住んでいても、仕事はバーチャル空間内を舞台にスムーズに進んでいるとのこと。
eXp Realtyの取り組みがうまく行っている証拠として、冒頭で述べた高い成長率を挙げることができます。
このような、業務のほとんどを仮想化するという取り組みは、eXp Realtyなどのごく限られた企業のみが行っているのが現状ですが、今後VR技術が進化するにつれて、たとえば会議やちょっとした打ち合わせなどにVRを活用する企業は増えてくるものと思われます。
業務の大半をバーチャル空間で行う企業が実際に存在すること自体が驚きですが、それによって高い業績を上げていることが、VRがワークスタイルにもたらすメリットを考える上で大きな参考になります。
eXp Realtyのような例は特異であり、業務内容やビジョンと、VRがよくマッチしているからこそ実現できたことかもしれませんが、これからVR技術が進化していくにつれ、より多くの企業がVRをビジネスに取り入れやすくなりそうです。
一体型VRデバイス「Oculus Go」のような手軽に使えて、より高性能なデバイスが登場すれば、カフェや車の中でヘッドセットを装着して、バーチャル空間内の会議や打ち合わせなどに、まるでその場にいるかのような感覚で参加することができます。
そうすれば、移動にかかっていた時間やコストを削減できますし、電話やメールよりも、より実際に会っている感覚でコミュニケーションを取ることができます。
VRは、現在はもっぱらエンターテイメントを中心に普及が進んでいますが、様々な分野でVRが活用されるにつれて、VRが持つ可能性がより広く見つかりそうで、今後に期待できます。
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Inside a $1 Billion Real Estate Company Operating Entirely in VR(SingularityHub)
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