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ベゼルに部品を集約したシースルーなディスプレイのiOSデバイスのイメージ図
海外メディアNext Realityによると、Appleが2016年4月26日に特許を申請した特許は、現在のiOSデバイスとはかなり異なる構造となっている。
特許文書に描かれているiOSデバイスは、CPUやカメラといったスマホとタブレットを製造するのに不可欠な部品が、何とベゼルに集約されているのだ(上の画像参照)。そして、ベゼルに部品を集約したことで空白となった部分には、透明なディスプレイがはめ込まれる。
ディスプレイが透明なので、ユーザはディスプレイを通してディスプレイのむこうにあるリアルなモノを見ることができる(本記事トップ画像参照)。当然ながら、この透明なディスプレイはただのガラスではないので、現在のiOSデバイスのように文字や画像、キーボードといったデジタルオブジェクトを表示できる。
透明なディスプレイにオブジェクトが表示されるということは、ユーザから見るとディスプレイのむこうにあるリアルなモノに重なるようにしてオブジェクトが表示されることになる。つまり、現在ではカメラが撮影した画像にAR表示している代わりに、ディスプレイのむこうにあるユーザの肉眼で見えるリアルなモノにAR表示することが実現するのだ。
以上の特許はまだ申請中であり、実際に実用化される保証は何ひとつない。しかしながら、この特許は、Appleが水面下でARテクノロジーの様々な可能性を模索していることの証左となっているのだ。
もっとも、同社が現在もっとも注力しているのはARグラスの開発だと思われている。本メディアでも、以下に挙げるように同社のARグラス開発関連の記事を多数報じてきた。
以上のように、AppleはARグラス開発に役立ちそうな機能あるいはデバイスを開発したスタートアップを買収し続けている状況なのだ。この状況から、現在ARグラス開発に役立ちそうなことを研究開発しているスタートアップは、いずれAppleに買収される可能性が高いと言える。
まとめると、AppleのARグラスの開発進捗を知りたければ、Appleの動向だけではなく、ARテクノロジーを研究開発しているスタートアップにも注目すべきなのだ。
ARKitを発表したAppleのCEO
それでは、AppleはARグラスの世界にリリースすることによって、どのような世界を実現しようとしているのか。こうした疑問に関して、同社CEOのティム・クック氏は海外メディアBloombergのインタビューにおいて、以下のように答えている。
ARは、企業が現在行っている業務に不可欠となることでしょう。また、いくつかの一般消費者向けのプロダクトは信じられないくらいクールになるでしょう。
…テクノロジーとは、滑走路のようなものです。しかも、とびきり素晴らしい滑走路でもあります。今はシートベルトをして出発したばかりなのです。そして、ARの可能性について理解し始めたとき、人々はARに興奮することでしょう。ちょうど、Apple社が、ずっとARに興奮してきたように。
同氏は、ちょうど現在のスマホが生活に密着したものとなったように、ARテクノロジーをもっともクールに実現するARグラスは日常生活を一変させ、それなしでは生活できないものにする、と考えているのだ。
現在ARグラスに類似したものとして、Microsoftが開発しているHoloLensがある。同デバイスは、メガネというよりはバイザーに近い形状をしており、業務用に使うには問題ないものも、日常使いできるかと問われれば、難しいだろうと答えざるを得ない。
日常生活に密着した「スマホの次」に当たるデバイスが何であるか予想するならば、それはやはりARグラスということになるだろう。そして、日常使いできるARグラスの実現に最も近いポジションにいるのは、Appleではなかろうか。
ソース:Next Reality
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