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映画ファンにはおなじみのフィルム規格IMAXを開発したIMAX社は現在、映画とは異なる新しいエンターテインメントに力を入れている。それがVRだ。
IMAXの展開するIMAX VRセンターでは、HTCの販売するVRヘッドセットViveを使ったマルチプレイヤーに対応するVRゲームを楽しむことができる。時間あたりのコストで見ると映画よりもやや贅沢な娯楽だが、既にオープンしているセンターは好調のようだ。
IMAXの展開するVRアーケード施設IMAX VRセンターは現在、世界でも5箇所しかない。既存の施設はアメリカに2箇所(今年の初めにオープンした最初のIMAX VRセンターであるロサンゼルスと、次いでオープンしたマンハッタン)がある他、中国上海とカナダのトロントでも営業中だ。
北米と中国に続いて、ヨーロッパ初となるIMAX VRセンターがイギリスのマンチェスターにオープンする。
IMAX VRセンターは、The Voidのように施設とコンテンツが結びついたVRエンターテインメントを提供しているわけではない。使用する機材は家庭用にも販売されているHTC Viveであり、体験できるコンテンツの中にもViveportやSteamで購入可能なものが含まれている。
ハードウェアの面で家庭でのVR体験と異なるのは、ローカルマルチプレイが楽しめるところだ。マンチェスターのVRセンターでは施設内に10個のブースがある。各ブースごとに2台のHTC Viveが備え付けられており、インターネットを介したオンラインマルチプレイだけでなく隣にいる友人とのマルチプレイが可能になっている。
IMAX VRセンターではVRヘッドセットとしてHTC Viveを使っているため、Viveの購入を検討しているときに試してみるという利用法も考えられる。1区切り(プレイ時間15分程度)1,700円と、支払額で見れば映画1本とあまり変わらない金額でVR体験ができるため、VR初体験の消費者にはちょうど良いのではないだろうか。
だが、IMAX VRセンターはただ手頃な価格でVRを試せるだけのVRアーケードでもない。母体が映画業界との繋がりが強いIMAXであることを活かして映画『ジャスティスリーグ』の独占コンテンツや『Star Trek: Bridge Crew』の特別ミッションを提供するなど、他では体験できないコンテンツが用意されているのだ。
これらの作品のファンなら、自宅にHTC Viveを使ったVR環境があってもセンターを訪れる価値がある。
過去にIMAXの幹部による発言として伝えられた内容によると、IMAXのVRセンターではソーシャルなVR体験を重視しているという。
一般家庭で2人から4人が参加するVRゲームのローカルマルチプレイを行うのは、不可能ではないにしても現実的ではない。複数台のVR対応PCとヘッドセット、そしてプレイエリアを確保しなければならないからだ。
実際、ローカルマルチプレイはIMAX VRセンターの大きな魅力となっているようだ。センターを訪れる利用者の90%以上がグループであり、50%は2人ではなく3人以上のグループだという。
仕切りによって区切られたポッド(上画像のVR体験をするブース)は、友人と一緒にVRを体験することを想定してデザインされている。
コンテンツのところでも触れたが、IMAX VRセンターの利用料金はアメリカの場合Star Trek: Bridge Crewが15ドル(1,700円)だ。10ドルや12ドルで体験できるより低価格なコンテンツもあるが、おそらく体験時間も短くなると思われる。
今回予約が開始されたイギリスのセンターは11月28日現在予約サイトに接続できない状態となっているが、海外メディアUpload VRによれば1人あたり7.5ポンド(1,100円)から利用できるという。為替レートによる変動はあるとしても、価格設定はアメリカとほぼ同じのようだ。
IMAX以外にも、安価にVRデバイスを試すことができるVRアーケードを運営する企業は多数ある。日本は比較的VRアーケードの数が少ない上に都市部に集中しているが、アジアの他地域では数が増えているようだ。
個人やローカルな企業が運営するVRアーケードではVRを安価に体験できるが、提供されるコンテンツはSteamやViveportで一般に販売されているものが主になる。こうした店舗の顧客は、VRヘッドセットの購入を検討しているか、自宅には不要と判断した非所有者になるだろう。
一方、IMAXのVRセンターではここでしか体験できないVRコンテンツが提供されている。これは映画ファンにとって見逃せない特徴だ。
また、IMAX VRセンターに期待されているもう一つの役割は映画離れの進むミレニアム世代の若者をIMAXシアターに呼び戻すことだ。VRセンター訪問客の7割がミレニアム世代とされており、十分そのポテンシャルはある。
VRファンと映画ファンを相互に繋ぐ存在としてのIMAX VRセンターには、今後も映画との関わりが強い独占コンテンツが追加されていくはずだ。
参照元サイト:Upload VR
参照元サイト:IMAX VR
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