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一般の消費者にとってAmazonと言えば様々なものをすぐに届けてくれるインターネットショッピングサイトだが、Amazonはショッピングサイトの運営以外にも多様なサービスを展開している。その一つが、AWS(アマゾンウェブサービス/Amazon Web Services)だ。
Amazonは11月27日、毎年開催されるAWSユーザ向けのイベントの中で新たな開発ツール「Sumerian」を発表した。
AWSは、Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスだ。
無料で登録でき、ウェブサイトの解析からデータベース・サーバとしての利用や無料のゲームエンジン「Amazon Lumberyard」を使って開発したオンラインゲームのサーバ用途まで、リソースを使った分だけ料金が発生するという方式を採用している。利用者の少ない小規模なウェブアプリであれば料金を抑えられるため、新規アプリの開発にも適したサービスだ。
AWS re:Inventは、AWSの新しいサービス、製品、機能などが発表されるイベントだ。毎年1回定期的に開催されており、今年は11月27日から12月1日にかけてネバダ州ラスベガスで開催されている。
発表の様子はライブ配信も行われており、次回の配信は太平洋標準時で28日の18時(日本時間では29日の11時)からスタートする。ライブ配信時は英語のみだが、録画されたものであれば日本語、韓国語、簡体中国語の字幕付きで視聴可能だ。
ライブ配信以外でも、AWSのサイトに新製品の紹介ページが追加されていく。
Sumerianは、27日にAWS re:Inventの中で発表されたデベロッパーのための新しいツールだ。VR/ARアプリケーションや3Dアプリケーションを簡単に作ることを可能にしてくれるという。
SumerianでWebVRコンテンツを開発すれば、HTC Vive、Oculus RiftといったVRヘッドセットはもちろん、WebVRに対応したPC/スマートフォン向けのブラウザ上でVRコンテンツを利用できる。また、ARコンテンツの開発にSumerianを使った場合にはAndroidのARプラットフォームARCoreをサポートすることもできるとされている。
まだプレビュー段階ではあるが、3Dアセットとコードのライブラリを使って複雑なプログラムを書かずにWebVRアプリケーションを作ってみたいユーザから本格的なARゲームを開発するデベロッパーまで、幅広く使えるツールになっているようだ。
Amazonが発表したSumerianを使って開発可能なWebVRは、その名の通りウェブブラウザを使ってそのまま体験できるVRコンテンツを開発できるのが特徴だ。WebVRコンテンツのソースコードは一般的なウェブサイトに動きのある機能を付けるときに使われる「Javascript」によって書かれており、専用のVRヘッドセットを使わなくてもパソコンやスマートフォンの画面でVRコンテンツを視聴できる。
ただし、コンテンツを操作する方法は視聴端末によって変化してしまう。VRヘッドセットやスマートフォン+VRゴーグルで視聴する場合には頭を動かすだけで見る方向を変えられるが、パソコンであればマウスやキーボード、スマートフォンでは指を使ったタップや本体の傾きによってコンテンツを操作することになる。
体験の感覚は変化してしまうが、URLを伝えるだけで人に教えられる点もポイントだ。面白そうなコンテンツを見つけてからVRヘッドセットを準備したりダウンロードしたりする必要がないため、実際に試してみるまでのハードルを下げることができる。
VRヘッドセットの所有者が増えていると言っても、まだVRヘッドセットを持っているユーザは少数派だ。ウェブブラウジングの一般的な道具となっているパソコンやスマートフォンで視聴できるWebVRは、VRヘッドセットを持たないユーザにVRの利用が広まるきっかけとなる可能性がある。
WebVRはJavascriptの知識があれば開発を始めることが可能な規格であり、対応コンテンツの開発は他のプラットフォームに比べれば簡単な方だと言えるだろう。だが、新しい規格なだけにデベロッパーが使えるツールは不足している。
今回発表されたSumerianは、WebVR開発をさらに簡単・快適なものにすることでWebVRコンテンツの増加を促してくれそうだ。Sumerianを使って優れたコンテンツが作られるようになれば、WebVRひいてはVRそのものに注目が集まるだろう。
参照元サイト:Amazon Web Servicesブログ
参照元サイト:Road To VR
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