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US Patent and Trademark Officeが公開したPDFによって明らかになった。
今回Appleが取得した技術は、現実空間の(2D)イメージを読み取り、データ上で幾何学的オブジェクトとして再構成し、オブジェクトのバーチャルモデルを制作、現実空間にARとして投影する、という一連のプロセスが組み合わせられたものだ。
公開された特許資料(US 9,824,495)には、この一連の技術に用いられた手法やアプリケーションについての記述が見られる。
たとえばその一部を取り上げると、技術の使用例として、商品画像を読み取って必要な情報を提供するというアイデアが例示されている。
このアイデアは開封後に組み立てが必要となる製品、あるいは、ある程度試用時に取り扱いを注意しなければいけない製品などに適用することで効果を発揮するだろう。
つまり、商品を何らかのリーダーで読み取ると、状況に応じたマニュアルや、組立説明書などがARで表示されるというシステムを構築することが可能となる。
また、2Dデータを立体化して表示できるということは、デザイナーや建築家などの設計作業を効率化することができるようになるかもしれない。つまり2Dの図面を読み取って、そのまま3Dモデルとしてレンダリングできるということだからだ。
この特許は、Appleが2017年3月に設立したAR会社「Flyby Media」のエンジニアと、イスラエルの計算機科学者であるJihad El-Sana氏によって開発された。
El-Sana氏は、2012年に開催されたカンタベリー大学のセミナーで、今回の特許に使われた技術についてプレゼンテーションをおこなっている。
セミアー中、El-Sana氏はハードコピーされた(紙にプリントアウトされた)航空図に情報を埋め込みAR化する方法や、航空図を認識したカメラのデータからARモデルをレンダリングする方法について発表したようだ。
さらにEl-Sana氏は、コンピューターが2Dアイコンの形状や姿勢をいかにして認識し、それと一致するような3Dモデルを作るのか、といった諸点についても解説したようだ。
セミナーで披露した技術のデモは、以下の動画から確認できる。
動画で確認できるように、El-Sana氏は、手描きの動物シルエットから3Dモデルを制作することに成功している。この技術が、Appleの特許でも活用されることになりそうだ。
今回紹介したような、「現実空間のイメージからARモデルを制作する」という技術自体は、Appleに限らずほかの競合会社も開発に取り組んでいる最中だ。
たとえばVuforiaは、ARコンテンツ制作ソフトウェア「Vuforia 7」において、 ARKitにもARCoreの両方に対応する、現実空間のオブジェクト認識技術を実装したことを発表している。
動画を見て分かる通り、現実空間のオブジェクトイメージをARモデルに変換するという点では、Appleの特許技術と類似した内容を含んでいるように思われる。
実社会で幅広い応用方法が考えられる技術だけに、多数のプレイヤーが熱心に開発に取り組む事態は、不思議なものではない。
今後、この分野の技術がどのように成熟していくのか、注目が集まる。
参考URL:
US Patent and Trademark Office, Next Reality
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